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HiKOKIバッテリーをマキタ充電式電動工具に変換するアダプタを検証

HiKOKIバッテリーをマキタ充電式電動工具に変換するアダプタを検証

当記事は製品の解説・調査を行う検証記事であり、解説している製品の使用や購入を推奨するものではありません。

HiKOKIバッテリーをマキタに変換する「アダプタ」

以前、電動工具メーカー間の共通バッテリーについてお話しましたが、それとは別に、異なるメーカー間でバッテリーを使用できるもう一つの方法があります、それこそが「バッテリー変換アダプタ」です。

海外通販サイトでは見かけることもある製品ですが、日本ではマキタ一強市場だったり、互換バッテリーが普及していたり、日本お膝元のマキタ・HiKOKIが目を光らせているためか、見ることが少ない製品です。

今回の記事では、HiKOKIバッテリーをマキタ18V製品で使えるようにする変換アダプタについて、マキタ・HiKOKIのバッテリー制御についても軽く触れながら調査してみます。

アダプタ外観を確認

アダプタのマキタ側端子を見ると3端子仕様になっています。マキタ製品はライトやラジオなどの低負荷製品は2端子ターミナルですが、電動工具などの負荷が高い製品には3端子ターミナルで動作します。

マキタバッテリーは3端子目にサーマルプロテクタが接続されていて、バッテリーの過熱状態を検知して工具側で止まる仕様になっています。このアダプタもそれに準じた3端子構造になっているようです。

マキタ側端子には、プラスとマイナスのほかに過熱保護の3端子目がある。

HiKOKI側を見てみると、HiKOKIバッテリーを2端子で取り出す構造になっていました。

HiKOKIバッテリーは3端子目でセルのアンバランスや過熱保護などを検知して工具本体側で停止する仕組みになっているため、3端子目を省いているこの構造はアウトです。

HiKOKi側端子側には、プラスとマイナスしかない。保護を検知する3端子目が無く保護動作が働かなくなる。

HiKOKIのマルチボルトバッテリー BSL36A18に装着してみます。

攻めた寸法になっているため装着時のガタツキはほとんどありません。むしろかなり硬いので、振動や異物が入り込んだ時の樹脂同士の固着が怖いです。

今度はマキタの充電式ライト ML812に装着してみます。

こちらの方は寸法に余裕があるようで、スムーズに取り付けできます。ラッチのスプリングが軽いので簡単に脱着できます。ただし、バネ荷重が軽いと衝撃や落下などでラッチが外れてしまうので、軽すぎるのも良くありません。

ちなみにこのアダプタは黄色い通信ターミナルが無いので、マキタ充電器には装着できない仕様になっています。

マルチボルトバッテリーを装着してマキタ製品を動かす

HiKOKIバッテリー端子側の3端子目を省いている時点でアウトな製品ですが、一応、手持ちのマキタ18V充電式製品に装着して動くかの確認も行ってみます。

原理的にはバッテリーからプラス端子とマイナス端子を取り出して製品側に繋げているだけなので、ほぼすべての18V充電式工具が動くはずです。

充電式ライ ト ML813

3端子のターミナルを搭載しているインパクトドライバのような高出力電動工具でも動作します。

充電式インパクトドライバ TD148

実際にコーススレッドを締結して行って高負荷時の挙動を確認しているわけではありませんが、恐らく高負荷作業に使っても動作すると考えられます。むしろバッテリー側の停止信号は発せられず工具側の過熱検知も動作しないため、保護が一切機能せず完全に動かなくなるまで放電するか発熱で火を噴くまで使い続けられるはずです。

分解して内部構造を確認

HiKOKI側が2端子の時点でアウトな製品なんですが、せっかくなので蓋を開けて中身も確認してみます。このアダプタは四隅のトルクスねじで固定されているので、ねじを外せば簡単に分解できます。

内部はシンプルで、インサート成型されたターミナルとターミナルを実装した基板と配線で構成されています。

18V充電式工具の高負荷作業で使うには配線が少し細い気がする。

マキタ側3端子目の基板裏側部分にはサーマルプロテクタの代わりになっている抵抗が実装されています。

ちなみに、アダプタケースを固定しているネジは山の浅い小ねじで止められています。

ナットやインサートナットなどの金属部品は無く、樹脂に対する締結としては不適切な部品選定です。ねじのかかっている長さも短いので、落下や衝撃などでネジが抜けて外れてしまうと考えられます。

ネジ山の浅い小ねじを使っているため、ねじ止めの部分の耐久性は低いと予想される。

打撃締結を中心としたインパクトドライバ作業やハンマドリルなどの使用は脱落の危険性が高くなるので避けた方が良いでしょう。

使用は非推奨、電動工具の保護機能が働かなくなる

今回、HiKOKIバッテリーをマキタ製品に使用できるアダプターを調査してみましたが、バッテリー保護が機能しなくなるため、使用は避けた方が良いでしょう。アダプタそのものの作りも稚拙なので、長く使い続けるとトラブルの元になります。

HiKOKIバッテリーに関しては保護の構造をバッテリー外に依存しているため、まともな保護構造を内蔵するアダプタや製品を勝手に作って売ってしまうとほぼ確実に特許侵害になってしまいます。

HiKOKIバッテリーの変換アダプタに関しては、特許侵害と安全性の2つの理由から販売すること自体がアウトな製品です。HiKOKIバッテリーを安全に使用するには特許を盛り込まねばならず、それを回避すれば安全性に問題が発生してしまうので、このアダプタはそもそも市場に存在してはいけません。

類似製品では国内企業が販売しているマキタ→HiKOKIの変換アダプタもありますが、それらもHiKOKIバッテリーから2端子しか取り出しておらず、リチウムイオンバッテリーの常識的な使用方法から逸脱するため安全性に問題があります。

国内工具メーカーが販売するバッテリー変換アダプタ。販売に対する規制は無いが、リチウムイオンバッテリーに対して常識的な理解があるメーカーであればこのような製品を販売することは無い。

残念ながら、この手のアダプタはPSEを含む各種法律の規制対象外の製品なので販売を規制する法律はありません。このアダプタを使ったからと言って確実に事故が起こるわけではありませんが、リスクは確実に存在します。

ちなみに、変換の方向が逆の「マキタバッテリー →HiKOKI」の場合であれば、特許を侵害せず技術的に実用的な変換アダプタを作ることは可能です。しかし、開発元の開発力不足や販売元の怪しさなどもあり、いざ製品事故が発生すると責任元などもややこしくなるので、無用なトラブルを避けるためにも純正バッテリーを使用しましょう。

HiKOKIバッテリー→マキタバッテリーアダプタまとめ

HiKOKIバッテリー→マキタアダプタ

VOLTECHNO製品評価 1 out of 5 stars (1 / 5)

HiKOKIバッテリーをマキタ18V電動工具に変換するアダプタ。安全保護が機能しなくなるため非推奨

良い点
悪い点
  • HiKOKIのバッテリー仕様に準じていない
  • 各種安全保護が機能しなくなる
  • 使用中に脱落する可能性が高い
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