海外工具ブランドKIMOの充電式12Vポリッシャ QM-5001をレビューします。
レビューに際し「製品分解写真を掲載したり良いレビューは書かないかもしれないけども良いか?」と確認し、承諾頂いたので、今回はWeb通販サイトで話題のKIMOブランド電動工具がどのようなものか見てみます。
目次
KIMOとは?
ここ数年の間に、Amazonで急速に存在感を増した電動工具ブランドがあるのをご存じでしょうか。緑色のボディが特徴の電動工具ブランド「KIMO」です。
KIMOは2019年から展開が行われている新興の電動工具ブランドです。中国の電動工具メーカー「永康市奇磨电动工具有限公司」によって展開され、日本では約10種類近い充電式電動工具のシリーズ展開が行われています。
輸入事業者はTesting Center Technology Japan合同会社
KIMO製品の輸入事業者はTesting Center Technology Japan合同会社(北海道旭川市)です。
サポートは海外事業者のKIMOが行っていますが、電気用品安全法および製造物責任法上の責任者はTesting Center Technology Japan合同会社です。このようなサポートを担う企業と法令責任を負う企業の分離は海外輸入販売品に多く見られます。
初期不良対応や一年保証対応はKIMOによるメール対応が行われますが、製品の品質欠陥に起因する重大な人的・財的損害が発生した場合、製造物責任法上の求償を求める相手はTesting Center Technology Japan合同会社になる点に留意しましょう。
製品の特徴「中国ブランドの低価格充電式ポリッシャ」
それではKIMO 12V充電式ポリッシャ QM-5001を見てみましょう。
基本操作は本体上部のロックボタンを押してパッドを装着し、パッドのマジックテープにバフを装着して電源を入れるだけです。
工具の質感は悪くありません。バッテリーの脱着感や工具の剛性なども良く、質感も日本ブランドの電動工具に通じるものがあります。細かいところまで見てしまうとバリや傷もありますが価格を考えれば妥協できるレベルです。
KIMO電動工具はエラストマ部分がHiKOKIのデザインに近いので、ロゴを隠して本体の外観だけを見るとHiKOKIの新製品と間違えてしまいそうです。
品名 | QM-5001 |
パッド寸法 | 100mm |
回転数 | 600/1,200/1,800/2,400/3,000min-1 |
モーター | ブラシモーター(ケーシング) |
動作電圧 | 10.8V |
寸法 | 100×265mm |
重量 | 800g |
付属品 | バフ3種、バッテリー・ACアダプタ・ツールバッグ |
回転はシングルアクション
回転方式は先端が回転するだけのシングルアクション方式です。
シングルアクション方式は構造がシンプルで研磨能力に優れているのが特徴ですが、その分ムラや磨き傷もつきやすいので綺麗に研磨するには慣れが必要です。
電源操作はボタン長押し
回転始動は「電源ボタンを長押し→+ボタンを押す」の操作が必要です。
電源ボタンを長押しすると、赤いLEDが点灯するのでその状態で+ボタンを押して始動します。一度回転が始まれば、+と-ボタンで速度調整が出来ます。スピードの状態に応じて5段階のLEDランプが点灯します。
回転を停止させるには電源ボタンを長押しして電源をOFFにするしかないので、回転ON/OFFの細かな切替はできません。
重心の中心がちょうど操作パネルの位置にあるので、握ったときなどに操作ボタンを誤って押してしまいやすいので注意が必要です。
研磨力は十分、プラスチックから金属まで作業可
実際にプラスチックの傷取りを行ってみました。
ポリッシャ自体は強い押し付け力を必要としない製品ですが、曲面研磨や入り組んだ部分の研磨などでは強く押し付けないように研磨作業を進めていきましょう。
パネルシートが無いので汚れや水の付着に注意
操作パネルのLED点灯部分の穴にはシートやプリズムがありません。穴を覗いてみると制御基板上に実装されたLEDがそのまま見えます。
水や異物が浸入すると制御回路の呼称の原因になるので注意して使いましょう。
個人的な推測ですが、湾曲形状にシートパネルを張り付けても剥がれてしまうことに気づきはしたものの、パネルが無くても実用性には問題がなく原価的な都合も良かったのでパネルなしの状態になったんじゃないかと予想しています。
バッテリーはPSE対応、充電にはACアダプタを使用
バッテリーのラベルを確認してPSEマークの表記を確認します。
2019年2月1日から電気用品安全法(PSE法)の改正により「PSEマーク」を表記していないリチウムイオンバッテリー機器の製造・輸入・販売は禁止されています。
バッテリー底面のラベルにはPSEマークと輸入事業者の表記を確認できました。電気用品安全法のPSEマークの表記基準に問題ありません。
12Vと記載されていますが、実際はリチウムイオンバッテリー3セル直列構成なので定格電圧は10.8Vです。日本の慣例的な表記ではありませんが海外では一般的な表記方法です。
KIMO12Vバッテリーは、充電制御回路がバッテリー側に内蔵されています。バッテリー上部にDCジャックがあるので付属のACアダプタを接続して充電を行います。
インパクト・ドリルのポリッシャアダプタとの比較
インパクトドライバやドライバドリルなどの電動ドライバーの先端につけるポリッシャアダプタを使えば同じような作業ができますが、専用のポリッシャーを使うメリットは何でしょうか。
ポリッシャアダプタは、回転だけの研磨運動になるためシングルアクションのポリッシャと原理は変わりません。シングルアクションポリッシャは研磨力が高いので、仕上げの際には回転速度を下げて研磨スピードの調整が必要です。
電動ドライバーの場合、トリガー無段階変速なので速度調整には微妙なトリガ操作が必要です。また、無段階変速機能付きのブラシモーター電動ドライバはトリガスイッチの引き込み量が少ない状態の作業を推奨していません。
電動ドライバの変速機能はカムアウトやビットのブレを抑えるため機能で、常に低速域で使うような仕様になっていません。(ブラシレスモーターであれば低速域で使い続けても問題ありません)
簡易的な研磨作業であれば六角軸のポリッシャアダプタを使ってポリッシャの代わりにもなりますが、広い範囲やしっかりとした仕上げ作業を行う場合にはポリッシャを使うのがおすすめです。
KIMO QM-5001ギャラリー
価格相応の充電式ポリッシャ、コストパフォーマンスは優秀
DIY向けの充電式ポリッシャは国内主力電動工具メーカーが展開を積極的に行っていないため、製品の選択肢はあまり多くありません。
バッテリーシリーズのラインナップ数や競合製品が少ない点を考えれば、今回紹介したKIMO充電式ポリッシャは有力な選択肢です。ただし、バフは100mm径と流通量が少ないサイズなので、予備バフの手配に少し困ってしまうのが難点です。
以前紹介したSnapFreshブランドのレビュー時にも述べましたが、海外ブランドの電動工具で問題となるのは、性能的な面ではなく、法令への不適合や消費者保護の軽視・アフターサポート不備のようなコンプライアンス的な部分が大きな割合を占めます。
製品評価そのものとしては、細かい部分に関してはいくつか不安な部分もあるものの、シンプルで危険性も低い電動工具なので、コストパフォーマンスを考えて割り切れるなら十分活用できると評価できます。