電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2023年1月に電動アシスト自転車 BY001Gを発売する。40Vmaxバッテリーの装着に対応し、1充電あたり約132kmの最大走行距離に対応する。希望小売本体価格は298,000円(税抜)
目次
マキタ 電動アシスト自転車 BY001G
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、2023年1月に40Vmax 電動アシスト自転車 BY001Gを発売します。
BY001Gは、40Vmaxバッテリーに対応する電動アシスト自転車です。アシスト補助による「駆動補助機付自転車」に分類される製品で、運転免許やヘルメット装着および自賠責加入が不要の普通自転車として走行できます。
1充電あたりの最大走行距離はBL4080Fバッテリー(36V-8.0Ah)で約132kmに対応します。
販売仕様は本体のみのBY001GZのみ販売します。
- BY001GZ 本体のみ 希望小売価格298,000円(税抜)
製品仕様
製品名 | BY001G |
---|---|
外観 | |
ホイール系 | 24インチ |
タイヤサイズ | 24×1.95 |
フレーム材質 | アルミ |
アシスト方式 | 前輪アシスト |
アシスト切替 | 強/中/弱 |
ギア変速 | 3段 |
変速機 | シマノ Nexus |
ブレーキ | 前輪:Vブレーキ 後輪:ローラーブレーキ |
スタンド | 両立スタンド |
鍵 | なし |
バッテリー | 40Vmax |
バッテリーロック | 後付けワイヤー錠 |
重量 | 22.9kg |
寸法 | 1,845×595×1,000~1,050mm |
本体価格 | 298,000円(税別) |
販売年月 | 2023年1月 |
製品の特徴
「40Vmaxバッテリー対応の電動アシスト自転車」
BY001Gは、マキタ40Vmaxバッテリーシリーズ初の電動アシスト自転車です。1充電当たりの最大走行距離 約132kmに対応する走行仕様を備えています。
アシスト切替は3モード・ギア変速は3段階を備えており、現場や作業場間の移動を快適にアシストします。
製品名 | BL4025 | BL4040 | BL4050F | BL4080F |
---|---|---|---|---|
強モード | 約16km | 約22km | 約29km | 約39km |
中モード | 約27km | 約37km | 約49km | 約66km |
弱モード | 約54km | 約75km | 約98km | 約132km |
便利で使いやすい充実の機能
前カゴはインパクトケースをそのまま収納できます。リアキャリアはフレーム一体型で耐荷重10kgを備えています。
防犯登録は街の自転車防犯登録所へ
今回のマキタ電動アシスト自転車はマキタブランドの製品です。
マキタ製品を取り扱う工具店などは自転車を通常販売しない店舗であるため、購入の後に販売証明書と自転車本体を持って「自転車防犯登録所」で防犯登録を行う必要があります。
- 防犯登録に必要なもの
- 防犯登録する自転車本体
- 保証書または販売証明書
- 身分証明書
- 登録料
地域によっては交番での登録も可能なので、購入前に一度確認しておきましょう。
パナソニック パートナー・Uとの違い
ビジネス用途を視野に入れた電動アシスト自転車としては、パナソニック パートナー・Uが競合モデルになります。
残念ながら、今回のマキタ BY001Gに関しては他社製の電動アシスト自転車に遠く及ばない仕様であり、価格・スペック・販路等全ての面において推奨できない製品となっています。
唯一の利点と言える40Vmaxバッテリー装着対応もBY001GZの店舗販売想定価格(20万円前半)を考えれば、バッテリー込みで販売されているパナソニック パートナー・Uを購入した方がコストパフォーマンス的に優位となります。
さらに、電動アシスト自転車の性能としても、パワーモードでの走行距離でパートナー・Uが若干勝っており、用途的に最も重要視されであろう最大荷重もほとんどのケースでパートナー・Uが上回ることになります。
残念ながら今回のマキタ電動アシスト自転車の評価としては「熱狂的なマキタユーザー向けのコレクターアイテム」に留まる製品であり、実用的に運用するのであればマキタ電動アシスト自転車は選定から外した方が良いと結論付けられてしまいます。
製品名 | BY001G | BE-ELGU433 |
---|---|---|
外観 | ||
ホイール系 | 24インチ | 24インチ |
タイヤサイズ | 24×1.95 | 24×1-1/2 WO |
フレーム材質 | アルミ | アルミ |
アシスト方式 | 前輪アシスト | クランク軸上合力発生一体型 |
アシスト切替 | 強/中/弱 | パワー/オートマチック/ロング |
回生ブレーキ | ? | × |
ギア変速 | 3段 | 3段 |
変速機 | シマノ Nexus | ? |
ブレーキ | 前輪:Vブレーキ 後輪:ローラーブレーキ |
前輪:V型キャリパーブレーキ 後輪:ローラーブレーキ |
スタンド | 両立スタンド | 両立スタンド |
鍵 | × | 〇 |
バッテリー | 40Vmax | 25.2V |
バッテリー容量 | 最大288Wh | 403.2Wh |
バッテリーロック | 後付けワイヤー錠 | 〇 |
最大荷重 | 前カゴ:6kg リアキャリア:10kg |
乗員+荷物:95.0kg |
重量 | 22.9kg | 35.6kg |
寸法 | 1,845×595×1,000~1,050mm | ? |
本体価格 | 298,000円(税別) | 204,000円(税込) |
販売年月 | 2023年1月 | 2022年8月 |
現状、マキタバッテリー装着対応以上の価値が無い製品
正直な印象としては、価格・販路・製品仕様全ての面において中途半端な製品であり、熱心なマキタファンしか購入しないであろう完成度の電動アシスト自転車です。
ビジネス用途(?)や工具資材積載を想定している割には、最大積載量も控えめであり、マキタが強みとする工具関連とのアクセサリ展開も無かったりと、「とりあえず電動アシスト自転車を作って売ってみた」以上の評価が無い製品です。
そもそも電動アシスト自転車は、バッテリー性能や法律上の出力制限があるため、一定の性能を超えてしまえば各社との差異を出しにくい分野の商材です。そうなるとマキタならではの強みが欲しいところではあるものの、現状においては40Vmaxバッテリー対応以外の利点が無く、そのバッテリーの利点さえも価格的には他社の電動アシスト自転車を買った方が良いと結論付けられてしまいます。
デザインとしては、シルバーやブラック調の無難なカラーリングにして小さくマキタロゴを入れるデザインにしてほしかったのが正直なところでしょうか。マキタブルーは普段の作業移動や街乗り用途としては目立つので、もう少し控えめにしても良かったと思います。
一応ブランドカラーが強い自転車ブランドとしてGIOSなどはあるものの、あちらはスポーツサイクルの分野だからこそ許されているカラーリングであり、街乗り普段使い用途も想定した自転車でコーポレート色が強いカラーリングにする必要は無かったと思っています。
ちなみに、とある販売店のレビューによればフレームは台湾製のアルミフレームのようなので、スポーツサイクルで有名なG社製フレームの推測としていました。
さて、本機は最近のマキタが掲げる「充電式サプライヤー」の一環に当たる製品であり、主に電動工具で売上成長を続けてきたマキタとしては手探り状態に近い状態で販売が行われている分野の商材です。この辺り、率直な意見を述べれば、今回の電動アシスト自転車や前回の充電式電子レンジなどは、明らかに工具取扱店やホームセンター工具コーナーに陳列して良いような製品ではなく、適切な販路を伴って販売するべき商材であると考えています。
マキタの売上拡大戦略として充電式製品を多様化して売り出すことに異論はありませんが、現時点ではマキタ既存販路に押し込んでいるだけの状態であり、結局のところ熱狂的なマキタファンの買い支えを前提とした甘えに近い考えで企画された製品と見ています。
マキタ電動アシスト自転車は、2008年のアシスト力1:2 規制緩和・2015年のアシスト力1:3 特例措置など規制緩和による新市場創出のタイミングを逃した周回遅れの状態です。マキタにとっては新分野開拓の戦略だったとしても市場構造的には遥かに強力な競合が先行する困難な分野での戦いとなります。
今後に関してはモデルチェンジやバリエーション展開・拡販戦略の中で少しずつ改善を進めながら、マキタとしての強みを見出し、早い段階でイロモノ状態から脱して世界的な充電式家電メーカーに成長してほしいと願っています。