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2021年5月11日

マキタ MR113 充電式ラジオスピーカー、Bluetooth機能を強化

マキタ MR113 充電式ラジオスピーカー、Bluetooth機能を強化

マキタから2019年6月に新型ラジオ『MR113』が発売された。MR108の発売から約3年ぶりとなる新型ラジオだ。スピーカーは101.6mmのウーハースピーカーを新たに加え重低音が強化されており、Bluetooth周りの機能も機能追加されており、前モデルとなるMR108からの順当な後継モデルとなっている。

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高音質トリプルスピーカー&マルチアンプを搭載

マキタが2019年6月に販売した新型ラジオ「MR118」はスピーカーの構成を一新し、同社初となるトリプルスピーカーを搭載したモデルだ。63.5mm中高音スピーカー×2と101.6mmウーハースピーカー×1の構成は広い帯域をカバーしており、前モデルのMR108よりも高い高音質で再生できるようになっている。

モデルチェンジで変わったのはスピーカーの構成だけではない。Bluetooth関連の機能も強化され、強化された機能の中にはオーディオメーカーが販売するBluetoothスピーカーと遜色のない機能も搭載されている。単なる頑丈さがウリだっただけの電動工具メーカー製スピーカーが洗練されたオーディオスピーカーとも思える逸品となっている。

MR113に搭載された新機能はオーディオメーカーの機能にも負けない

MR113ではスピーカーの増強の他にBluetooth周りの機能も強化された。

単純にペアリングを行い音楽を再生するだけの機能だったBluetoothだが、複数台を接続する事で「ステレオモード」と「ダブルモード」の2つの機能が追加されている。

Bluetooth接続で無線ステレオサウンドを構築

MR113が搭載する新機能で最も注目するのは2台のMR113を使用する事で実現できる「ステレオモード」だ。他社オーディオメーカーの名称ではワイヤレスステレオペアリングとも呼ばれている。

この「ステレオモード」は2台のMR113をそれぞれ右と左のスピーカーとして独立させることで本格的なステレオオーディオを楽しめるようにする機能だ。

ダブルモードで最大10台が接続可能

新しく搭載されたもう1つの機能が「ダブルモード」だ。ダブルモードでは1台のスマホから複数台のMR113で同じ音を再生する機能だ。この機能を使用すれば階の異なる現場でも同じ音楽を再生する事ができるため、複数台設置すれば音量を大きくすることもなく近隣からのクレームなども減らすことができるだろう。

このダブルモードで気になる点はBluetoothの送信出力を表すClassが、どの規格になっているかだ。

ダブルモードを想定しているのであればスピーカーを複数台設置する事も想定され、当然送信元となるデバイスとスピーカーの距離は遠くなるだろう。前モデルのMR108はこの送信出力を表すBluetoothがClass2であり、規格上の最大通信距離は10mとなっている。ダブルモードと呼ばれる複数台での通信機能を搭載するのであれば、搭載されるBluetoothの送信出力規格は当然Class1の100mとなるのが望ましいだろう。

朝礼や現場の呼びかけに使えるマイクアンプ内蔵

MR113には新しくマイクアンプが内蔵されている。有線のΦ6.3mmジャックの有線マイクを接続する事で簡易的な拡声器として使用できる機能だ。

マキタの汎用的なバッテリープラットフォームで使えるコードレスの25W拡声器として考えるのであれば、この機能は少し魅力的だ、朝礼はもちろんの事、工事現場での簡易的な呼び出し設備や災害時の呼びかけなどにも活用することもできるだろう。

対応するマイクはΦ6.3mmのジャックと記載されているため、無線マイクやBluetooth接続のヘッドセット及びスマホからの音声入力には対応していないものと考えられ、カタログの注記は誤記と推測される。今後取扱説明書を入手し確認する。

IP65対応で防じん防水性能もアップ

前モデルMR108の防じん防水性能はIP64と生活防水だったが、MR113では更に防水等級が上がりIP65となっている。

IPX4では飛沫に対する保護だったが、IPX5となる防噴流形では噴流水に対する保護となり誤ってホースから噴流される水を浴びせてしまっても使用できる等級となっている。電動工具メーカー各社が販売するラジオは防水等級がIPX4であり、初のIPX5となるMR113は特に水に強いモデルとなっている。

先ほどのマイクアンプなども合わせ、強化された防じん防水性能は豪雨災害の場合の呼びかけなどにも活用できる画期的な製品と言えるかもしれない。

差し込み式バッテリーには非対応

MR113ではMR108まで対応していた差し込み式バッテリーに非対応となってしまった。

7.2Vユーザーは14.4Vまたは18Vバッテリーを所持している事も多く、10.8V差し込みバッテリーも順次スライド10.8Vに移行したことから、差し込み式のバッテリーを非対応としても影響は少ないと判断したものと考えられる。

過去モデル MR108との比較

過去モデルとなるMR108と比較すると、スペックは全体的に高性能化されている。一方で対応しているバッテリーが減ってしまった点には注意が必要だ。

製品名 MR113 MR108
製品外観
スピーカー 63.5mm ×2
101.6mm ×1
89mm ×2
実用最大出力(18V) 5W ×2+25W 3.5W ×2
ワイドFM
マイクアンプ ×
防じん防水規格 IP65 IP64
Bluetooth機能 マルチモード
ステレオモード
ペアリングのみ
対応電源 18V, 14.4V
スライド10.8V
AC100V
18V, 14.4V
スライド10.8V
差込10.8V, 7.2V
AC100V
本体寸法[mm]
長さ×幅×高さ
268 × 164 × 295 282 × 163 × 294

他社モデル HiKOKI UR18DSDLとの比較

競合する他社モデルとなる製品はHiKOKI(旧日立工機)のUR18DSDLだ。

純粋なスペックであれば2015年発売となるUR18DSDLはマキタ前モデルのMR108を基準にした性能となっているため、若干見劣りするスペックとなっている。

ラジオ等の周辺機器はユーザー手持ちのバッテリーに左右されるので、ラジオのスペック自体はそこまで重要視されるものではないが、スピーカーの出力やBluetooth機能には大きな差が発生していることに留意したい。

製品名 MR113 UR18DSDL
製品外観
スピーカー 63.5mm ×2
101.6mm ×1
90mm ×2
実用最大出力(18V) 5W ×2+25W 7W ×2
ワイドFM
マイクアンプ ×
防じん防水規格 IP65 IPX4
Bluetooth機能 マルチモード
ステレオモード
ペアリングのみ
対応電源 18V, 14.4V
スライド10.8V
AC100V
18V, 14.4V
AC100V
本体寸法[mm]
長さ×幅×高さ
268 × 164 × 295 312 × 405 × 265

順当に進歩を続けるマキタのラジオ

マキタの販売するラジオは順当な進歩を感じさせる製品だ。リチウムイオンバッテリー登場当初の「とりあえず音が出ればいい」時代のラジオと比べれば音質は格段に良くなっており、今やオーディオメーカーの販売するスピーカーと比較しても遜色はないだろう。

機能的にも家電メーカーやオーディオメーカーの販売するBluetoothスピーカーに搭載される機能を積極的に取り込んでおり、Bluetoothスピーカーとしての完成度を高めている点も見過ごせない。

このように電動工具以外の分野であっても開発に力を抜ことなく、堅実に製品の完成度を高めている部分こそが熱狂的なマキタユーザーを引き付ける魅力となっているのだろう。

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