先日、海外の電動工具フォーラムからマキタのバッテリーパック試作品を紹介しましたが、2019年の6月に日本国内でも正式販売となったようです。今回紹介するマキタの新製品は、バッテリーを4本装着して大容量バッテリーとして使えるポータブル電源ユニットPDC01(A-69098)です。
目次
マキタ充電式電動工具の欠点を克服、連続動作時間の向上へ
2019年7月にマキタが販売するのは、電動工具のバッテリーを4本装着して1つのバッテリーパックにできる電源ユニットPDC01(A-69098)です。
PDC01は、マキタの18Vバッテリーに対応するバッテリーパックで、BL1860Bの4本装着によって”18V 24Ah”のバッテリーまたは”18V×2″の12Ahのバッテリーとして使用できます
18V電動工具にも使える、18Vと18V×2の切り替え機能
PDC01は、18Vバッテリーを装着する電源ユニットですが、装着するアダプタを付け替える事で18Vと18V×2の2モードで使用する事が可能です。
18V×2はもちろんの事、18V電動工具にも対応するため様々な電動工具に使用する事が可能で、丸のこやボード用ドライバなど充電不要で丸一日使用する事もできます。
ちなみ各接続アダプタの36V用アダプタ[A-69076]と18V用アダプタ[A-69082]はそれぞれ別売りなので、必要とする製品に応じたアダプタの購入が必要です。
マキタ18Vバッテリーを40Vmaxで使える唯一の方法
PDC01と40Vmax用アダプタ[A-72241]を組み合わせれば、マキタ18Vバッテリーで40Vmaxシリーズの電動工具を動かせるようになります。
36V動作のために最低限2本のバッテリーを装着しなければいけませんが、大量の18Vバッテリーを持ち40Vmax移行を考えている人にとって朗報になるかもしれません。
手持ちバッテリーを大容量化するアクセサリ
18V 6.0Ahのバッテリー4本搭載によって、18Vバッテリーとして24Ahの大容量バッテリーとして扱えるようになり、手軽に連続作業量を増やせるアクセサリになっています。
ちなみに、本体の装着する電動工具バッテリーの最大容量は、海外電動工具メーカーではDeWALTのFLEXVOLTとMilwaukee のM18 REDLITHIUMが共に18V 12Ah、国内工具メーカーではHiKOKIのBSL36B18が18V 8Ahで最大容量です。
背負い式のバッテリーとしては、HiKOKIから大容量バッテリーパック「BL36200(SA)」があり、36Vで21Ah(756Wh)と他社を凌駕する大容量バッテリーです。
初期コストも安く、導入しやすい
PDC01の最大の利点は、バッテリーが内蔵されておらず別売りとなっている点です。これは2つの意味で大きな利点を持ちます。
1つ目の利点は、既存のバッテリーを流用する点です。
これまでの大容量バッテリーは初めから多数のバッテリーセルを内蔵しており、価格が非常に高い欠点がありました。その上にユーザーは既にバッテリーを持っている事も多く、背負い式電源は非常に高い初期コストを支払う必要がありました。
今回のPDC01は、手持ちのバッテリーをそのまま流用する事が可能で、18Vと18V×2の両方に対応しているためラインナップ数の多いマキタバッテリーの強みを十分生かせる電源ユニットとなっているのが特徴です。
もう1つの利点が、バッテリーの故障に強い点です。
高電圧大容量のバッテリーを構成する場合、何本ものバッテリーセルを構成しなければならないため、その中の1本でも不良になると他のセル全てが正常であってもバッテリーパックとして使用できなくなってしまいます。
PDC01はバッテリーを交換できる構造になっているため、バッテリーセルが不良となった場合でも該当するバッテリーを1つ交換すれば対応可能で、バッテリーセルに関する修理が不要で、不良発生時の作業停止の時間を最低限にできる特徴を持ちます。
他社モデルとの比較
製品名 | PDC01 | BL36200 |
---|---|---|
製品外観 | ||
バッテリー電圧 | 18V, 36V | 36V |
電池プラットフォーム | 18V, 18V×2 | 旧36Vシリーズ(N)(S) マルチボルト(SA) |
バッテリー容量 | BL1860時432Wh | 756Wh |
質量 | 7.0kg | 7.8kg |
USB出力 | × | USB5V(500mA)出力 |
カラー | マキタブルー | 緑 |
販売年月 | 2019年7月 | 2013年5月 |
本体価格 | 47,700円(税別) | 172,000円(税別) |
欠点は充電器、業界全体の課題となる充電時間
マキタの36V充電式電動工具は18Vバッテリーを2本使用する方式を採用しているため、バッテリーサイズの変更は、バッテリー互換性が失われマキタ最大の優位性である製品ラインナップを損ねる可能性がありました。マキタで大容量化を実現するには外付けのバッテリーユニットしかなかったと考えられます。
今後、この手の大容量バッテリーが問題となるのはバッテリーの充電時間と電力許容量になると考えられます。マキタ最速の充電器「DC18RF」で実用充電した場合でも27分×4本で2時間近い充電時間を必要とし、しかも27分に1度バッテリーを差し替えなければならず作業性が良いとは言えません。
解決策として、4台の充電器を用意して同時に使用方法もありますが、最高330WのDC18RFを4台使用すると最高1,320Wになり、電源の許容量を超えてしまう可能性も高く、ブレーカーの遮断や発火等の原因にもなります。
同社からは4本充電のDC18SFも販売しており、バッテリー差し替えの手間はないものの、充電時間260分と充電時間については改善されていません。今後、電動工具メーカー各社は大容量バッテリーに対する充電速度に対して何らかのアクションが必要になってくるでしょう。
PDC01 まとめ
ポータブル電源ユニット PDC01
VOLTECHNO製品評価 (4 / 5)
マキタ18Vバッテリーを最大4本装着できるポータブル電源
36V専用大容量品 | マキタ PDC1200 |
- 既存の18Vバッテリーを活用できる
- 初期費用が安い
- 40Vmaxに対応可
- 体積比では容量が少なめ