本サイトでは国内の電動工具情報に限らず、海外の電動工具情報も紹介しているため日本で販売されていない電動工具に興味持つ方がいるかもしれません。
海外の電動工具を日本で利用するのは難点も多く、輸入してまで使用するのはおすすめできません。本記事では、海外電動工具を日本市場で利用する場合のメリットとデメリットを解説します。
目次
【メリット】最先端の電動工具やサービスを使用できる
海外メーカーの電動工具を輸入する最大のメリットは最先端の電動工具やそれに付随するサービスを使用する事ができる点です。
海外の電動工具メーカーは特徴的な製品が多く、多種多様な製品展開を行うDeWALT・Milwaukeeや、新ジャンルの電動工具を提案するBOSCHと比べると、日本の電動工具メーカーが販売する製品は比較的保守的と言えます。
特にHiKOKI マルチボルトを超える54VバッテリーのDeWALT FLEXVOLTや、BOSCHの12Vコードレスハンディカンナなど、海外市場でしか販売されていない電動工具を待ち望んでいるユーザーも多いと思います。
【メリット】 周りと違う電動工具を使用できる
プロの現場などでは周りと使用するメーカーを合わせたり最寄りの販売店の傾向などから電動工具メーカーを選ぶ方が多いと思いますが、お金に余裕さえあれば自分だけの電動工具を使いたいと考える方もいると思います。
周りと異なる電動工具はバッテリーが使いまわせないデメリットもありますが、目立つので取り間違いが少なくなる、話のネタになるなど印象的な面でのメリットがあります。
【デメリット】 アフターサービスがない
海外電動工具最大のデメリットが修理・問い合わせ等のアフターサービスを受けられないことです。
原則として製品の修理やメンテナンスなどのアフターサポートは、販売されている国でしか依頼できません。壊れてしまっても修理依頼は不可能です。
日本の電動工具メーカーでも海外販売品の修理受付は不可としているため、
国内の電動工具メーカーの営業所が修理を受け付けてくれないのはもちろん、修理部品の手配も難しいので、基本的に修理不可能、部品取り寄せできても輸入・税関などの手続きで数か月の時間を要します。
プロ用途で海外輸入の電動工具を使用する場合、修理ができないのは長期的なコストパフォーマンスも悪く、急なトラブルにも対応できなくなるのでおすすめできません。
【デメリット】アクセサリが日本の規格と異なる事も
海外と日本の電動工具の規格の違いにより使用できないケースがあります。その最たる例がインパクトドライバのビット形状です。
海外のビットはくびれの部分が短く9mmしかないため、海外仕様のインパクトドライバに日本のビットを差し込むとビットが奥まで入りきらないためビットの固定ができずに落ちてしまいます。
USマキタの製品などは、国内仕様のアンビルに交換すれば対応できますが、自己責任での改造となります。
【デメリット】 海外の製品は電圧が異なる
欧州地域の230Vや北米地域の120Vなど比べると日本の商用電源の電圧は100V低く、1500Wを超える高出力な電動工具は使用する事ができません。
120Vの製品で電子制御が入った製品の場合であれば電圧が低くても動作できる場合があります。ですが、電圧が低くなっているのをカバーしようと電流を増やして必要な電力を確保しようと動作するため、モーターや回路の損失が増えて過負荷故障となる場合があります。
変圧器を使用する方法もありますが、数100Wクラスの変圧器は大きく高価なので持ち運びには不便となるでしょう。
【デメリット】法規制で使うことができない
電動工具は使用者の危険や健康に直結する道具なので、保安に関する法律や電子回路の規制など様々な法規制の影響を多く受けています。製品によっては国ごとに規格を取得していたり、対象国用の製品を設計していたりするので安易に輸入して使用する事は推奨されません。
無線搭載工具は技適マークがない
海外電動工具メーカーではBluetooth搭載電動工具が普及しつつあり、最先端の電動工具を日本で使ってみたいと思う方も多いと思います。しかし、これらの電動工具は日本で使用する事ができません。
日本で無線機器を使用する場合には「技術基準適合証明(技適)」の認定を受けた無線機器を使用しなくてはならず、海外でしか展開されていないBluetooth搭載電動工具は技適の認可を受けていません。これに違反した場合は電波法違反となる可能性があります。
EMC規格が国ごとに異なる
これは少しこじつけな理由ですが、日本と海外ではノイズや電磁波に対する規制内容が若干異なります。
対象地域のEMC規格を満たしていれば、ノイズや電磁波による誤作動や故障を心配する必要はありませんが、対象とは異なる地域で電子機器を使用すると、その地域で使用されている機器がノイズや電磁波が原因となって様々な機器に悪影響を及ぼす場合があります。
銃刀法に抵触する可能性がある
コードレスフレーミングネイラなどのホースがない釘打ち機、バッテリーで動作するコンプレッサーなどのコードがない状態でも使用できる釘打ち機などは、銃刀法対象外製品を除き「銃砲刀剣類所持等取締法」の規制対象となる「鉄砲」に該当する可能性があるので注意が必要になります。
【デメリット】 事故発生時には自分自身で責任を負わなければならない
海外から製品を輸入した場合、事故発生時の責任は製造メーカーではなく輸入者が負うこととなります。
参考 輸入品安全確保の手引き|一般財団法人 対日貿易投資交流促進協会
輸入品に対しては、電動工具を原因とする事故(発火、怪我)等が発生しても、その責任を海外の電動工具メーカーに負わせることはできません。これは海外市場向けの日本の電動工具メーカーの製品を輸入して国内で使用した場合にも当てはまります。
Amazonなどでは、海外の電動工具を輸入販売している業者もありますが、Amazonの出品は簡単にできる点もあって業者の入れ替わりが激しく、問題が起こったときには連絡が取れなくなる場合もあります。
【デメリット】 高容量のリチウムイオンバッテリーは輸入が難しい
現在のリチウムイオンバッテリーは大容量化が進んでおり、リチウムイオンバッテリーは「危険物 第9類」に該当します。特に、バッテリー容量100Whを超えるバッテリーは航空危険物に該当するため、専用の梱包やラベルの表記などが必要になり、そのままの梱包状態では日本へ発送する事ができません。
これらの機器を輸入するためには、海上輸送や空輸便各社のリチウムイオンバッテリーの航空輸送条件を満たす形で発送してくれる業者を探さなくてはいけません。
参考|リチウムバッテリーや危険物の輸送・発送 | FedEx(フェデックス)
参考|ANA国内貨物 リチウム電池航空輸送ガイド|ANA