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インジェクションケース：広く使われるスタンダード
インパクトドライバなどに付属するケースとして主に使われるのが、インジェクション（射出）成形の電動工具ケースです。
インジェクションとはプラスチック製品を作るための手法の一つで、溶けた樹脂を金型に射出することで成型する方法です。形状の自由度が高く複雑な形状も成型できるので、小物収納部や防水機能など付加機能を備えたケースになっているのが特徴です。
ケースサイズ自体は比較的小さく高機能で価格も安いのが特徴ですが、ケース全体が樹脂なので耐衝撃性はそこまで高いものではなく、落下時などにはケースの割れや収納している電動工具へ直接衝撃が加わることになります。またケース構造もインパクトやドライバドリルなど形状の近い製品しか収納することができないケースも多く、小物や資材を収める用途にもあまり向かないケースです。
ブローケース：大型製品向けの耐衝撃に優れたケース
ハンマドリルやマルノコなどに付属する大型製品向けのケースがブローケースです。
ブローもプラスチック製品を作るための手法の一つで、溶けた樹脂に空気を吹き込んで膨らませるのが特徴の方式です。金型が比較的低コストで、少量多品種生産に向く利点があり、主に中～大型の電動工具に採用されています。
ケース内側が中空構造になっているので耐衝撃性に優れ、落下などの大きな衝撃に対してもケースがへこむことで収納内部の製品を守ってくれる利点があります。その一方で、中空構造のため製品以上に大型ケースになることが多く、電動工具のブローケースは収納する製品に合わせた専用設計になっていることも多いので、対応製品以外の収納はできない欠点があります。
システムケース：スタックや運搬性能に優れた高機能ケース
近年電動工具市場で注目を集めているのが、連結できるタイプの高性能ケースです。呼び方は各社で異なりますが連結ツールボックスと呼ばれる場合もあります。
特徴として、ケース同士の連結によって工具や資材の運搬を容易とする構造を備えており、防水性能や優れた耐久性によって収納している電動工具を保護できる堅牢な構造を備えています。ケースの種類も豊富で、パーツボックスからスタックしたまま中身を取り出せる引き出し方式のケースなどもあるので、細かい資材から大型の電動工具までそれを全て連結収納して運搬できる高い汎用性を備えています。
一昔前のシステムケースは、Festool社のSystainer規格をベースとした各社共通のケースが使われていましたが、現在は独自規格による大型システムケースが人気を博しており、ミルウォーキー PACKOUTシリーズを代表として、ボッシュ L-BOXXシリーズ、DeWALT TOUGH SYSTEMなどがあります。
アルミ(金属フレーム)アタッシュケース：高耐久向けや高級感重視
レーザー墨出し器や真空ポンプのような、振動や衝撃に弱い工具の収納に使われるのがアルミアタッシュケースです。
アルミ製の堅牢な外殻に衝撃吸収に優れたスポンジ緩衝材を組み合わせることによって、優れた耐衝撃性を実現しています。電動工具以外の用途としては、測定器の収納などにもよく使われます。ケースとしての汎用性に優れているので、自作の工具ケースにもしやすく、社外品のアルミケースを購入して仕切りやスポンジを入れることで高い耐衝撃性を持つケースを作る方もいます。
見た目に高級感のあるケースなので、期間限定モデルの製品の同梱品になったりノベルティとして配布されることあったりなど、プレミア感を出すのにも一役買えるケースです。
ソフトケース：小物やアクセサリ入れに重宝
電動工具アクセサリーの収納用途や中国ブランドの低価格電動工具によく付属するのがソフトケースです。
布生地をベースとしたファスナーで開閉できるケースなので、細かいものをまとめて収納できるのが特徴です。
仕切りや緩衝材を入れて収納することが難しく、布地ベースなので大型や重量工具の収納にも適していないため、バッテリーやブレードなど剥き出しで保管するには難のある細かい部品の小分け収納に役立つケースです。
ツールバッグ：厚手生地の工具向けバッグ
厚手で頑丈な生地で作られた大型の収納ケースです。複数の小型電動工具や中型の電動工具を収納するのに適しています。
耐衝撃性はほとんどありませんが、アクセサリ小物やちょっとした資材類も収納できる優れた汎用性と取っ手やベルトによる可搬性に優れているので、広い現場内での移動や車両積み込みなどに活用できるツールバッグです。
意外とこの分野ではマキタのツールバックが人気で、普通のバックにはない特殊な仕切り構造を活かして工具以外の収納に活用する方も多いようです。
ソフトシェルケース：手ごろな小～中サイズ工具向け
ソフトケースにアウターシェルとして硬質プラスチックを仕込んだ収納ケースです。
ソフトケースの使いやすさと硬質シェルによるケース自体の耐久性を兼ね備えているので、中型サイズの電動工具の収納に最適な製品です。ケース自体の剛性はそこまで高いものではないため、車載して積み重ねるなどの収納方法には向きませんが、収納した電動工具を本棚にいれるなど、新しい収納スタイルも考えられる家庭向きのケースです。
最近は中国ブランドによる各電動工具メーカーの製品に合わせたサイズのソフトシェルケースを販売しているので、選択肢の幅も増えてきています。
