目次
電動工具メーカーが進める家電のコードレス化
コードレス家電といえば長い間クリーナーくらいしかなく、それすらバッテリーのパワーが不足しており、ハンディクリーナーのような小さい掃除機しかありませんでした。
最近のリチウムイオンバッテリー性能向上によって取り回しやすくなったコードレス掃除機は新しい需要を作り、普通の掃除機を置き換えバッテリークリーナーによる新たな清掃市場を形成するまでに普及が進んでいる製品になりました。この先掃除機に限らず、様々な家電のコードレス化が進むと考えられます。
近年、このコードレス掃除機の成功によって、電動工具メーカーは家電関連の製品に恐る恐るではありますが展開を始めています。
マキタはコードレス工具で培ったバッテリーの技術と近年の急速なバッテリー容量の発展によって、家電業界への進出も視野に入れてるのかもしれません。一部の電動工具はAC電源から充電式へ完全に置き換わったので、家電でもこの流れが発生しても不思議ではありません。
ハンディクリーナー マキタCFシリーズ
コードレス掃除機と言えば、ニッカド電池の時代からのコードレス家電代表です。掃除機は家電の中でも負荷が低く、構造も簡単なため早期にコードレス化が進みました。
この分野で圧倒的に強いのがマキタです。マキタのターボは通販生活などでおなじみで、ホームセンターに限らず東急ハンズやLoftなどでも販売しているほどの人気機種です。マキタの掃除機はシンプルで種類も多く、価格もお手ごろなのがおススメです。
乾湿両用ハンディクリーナー HiKOKI R18DSL(S)
乾湿両用タイプの掃除機なら液体も吸い込むことが出来ます。例えば、水をこぼしてしまっても掃除機で吸い込んでタオルでサッと拭けば、すぐに綺麗にできて洗濯物も増えません。
日立工機のR18DSL(S)は乾湿両用で水も吸える万能掃除機ですが、延長ホースが付属しておらず吸込仕事率も低いのでクリーナーとしての使い勝手は悪いかもしれません。
背負い式クリーナー マキタVC 背負いクリーナー
清掃業者向けに作られたのが背負い式クリーナーです。36V(18Vバッテリー2本)で動きます。
背負いクリーナーは本体を引きずることが無く強力な吸引力を持つので段差の多い階段や座席の隙間の清掃などに重宝します。また、HEPAフィルタも搭載しているため研削作業で発生する粉じんも除去できます。
稼働時間はハンディクリーナーよりも長く、吸引力も大きいため清掃作業では非常に便利な掃除機です。
充電式集じん機 マキタVC集じん機シリーズ
バッテリーで動作する業務用集じん機です。
掃除機と集じん機の違いを簡単に説明すると、掃除機は少ない風量で高圧吸い込みでゴミを吸い込むことですが、集じん機は大きな風量で大量のゴミを吸い込む構造になっています。
本来の集じん機は清掃作業のほか、工具に集じん機の吸い込み口を繋げて直接集じんするのにも使います(特にサイディングボードのカットなどでは必須です)。ですが、連動機能は付いていないようなので、清掃がメインの使い方になりそうな製品です。
マキタ ロボット掃除機 RC200DZ
マキタがシャープと共同で開発したバッテリーで動作するルンバです。これを初めて見たときはあまりのインパクトに驚きました。
一般的なロボット掃除機よりも一回り大きくタンクも大容量なので、落ち葉や段ボールの切れ端などもガンガン吸い込んでくれます。
倉庫やオフィスなどの広い環境を想定したロボット掃除機なので、掃除の性能は高くなっていますがその分音もうるさいので、家庭用には向きません。
残念なのは、ロボット掃除機本体に充電機能がない点です。
充電式ラジオ マキタ MR108
バッテリーで動くラジオと言えば、乾電池式の小さいポータブルラジオが一般的ですが、大工の現場などではラジオをかけながら仕事をする方が多いため、コードレスの大型ラジオの需要が多いそうです。
電動工具メーカーがラジオ?と思う方もいるかもしれませんが、掃除機の次くらいに実用化されたコードレス家電がラジオです。
外で使うことが前提に作られているので持ち運びしやすい形となっており、耐久性にも優れていて防水機能も付いています。最近ではBluetoothにも対応したラジオもあり、スマホから直接音楽を流すこともできます。
扇風機 マキタCFシリーズ
夏場の現場作業を快適にしてくれるのが扇風機です。バッテリーでも5時間ほど動かすことができます。
場所を選ばず設置出来て、持ち運びも簡単なので簡単な熱中症対策などに重宝します。電源を用意しなくていいため、冬場でも局所的に風を当てたい場合や、部屋の換気したい場合などにも使えそうです。
コードレス高圧洗浄機 HiKOKI AW18DBL
バッテリーで動く高圧洗浄機です。電源不要で水もタンクに入れておけば使用できるため、今まで水道の確保が難かった所を清掃することが出来ます。車やバイクの清掃以外にも、車で持ち運んでアウトドアの洗浄などにも使えます。ほかにも散水機などにも使い道がありそうです。
一般的な高圧洗浄機に比べパワーは低めですが、車や家に付着した泥・土埃なら簡単に落ちるようです。AW18DBLは他社のコードレス高圧洗浄機に比べて非常に高価ですが、稼働時間も長く耐久性も高いので使い勝手は良いようです。
Bluetoothスピーカー マキタMR203
近年流行りのBluetoothスピーカーです。最近ではポケットサイズのモバイルBluetoothスピーカーも人気ですね。
一般的なオーディオメーカーのBluetoothスピーカーと異なるポイントは、稼働時間が非常に長いこと(最大39時間)、スピーカーが大口径ウーハーとツィータで構成されていること、防じん・防水性能 IP64を取得していること等があります。
作業現場に音楽を掛ける用途以外にも、アンプを繋げば会社の朝礼や集会などの用途に使えるのかもしれません。
マキタ コーヒーメーカー CM501DZA
現場作業にも一服が欲しいですね。マキタのコーヒーメーカーです。
野外の電源が無い環境でもコーヒーを入れられる充電式家電。アウトドアでもガスを必要とせずコーヒーを飲めるのは便利です。残念ながらバッテリー動作限定です。
ですが、バッテリーでお湯を沸かすのは結構厳しめなので、バッテリー動作時ではドリップに約7分必要です。バッテリー1個で3杯ほどしかコーヒーを入れる事が出来ません。
マキタはこの製品の発売と共にコーヒー豆まで取り扱うようになりました(部品番号A-66472)。マキタ派の方は是非一度試飲してみては。
電動アシスト自転車(海外のみ)
マキタの快進撃はまだまだ続きます、マキタは海外市場で電動自転車まで販売しています。折り畳み自転車のため小さくして持ち運びができるようです。
18Vバッテリーを2個差しで動く自転車のようですが、マキタ36Vシリーズとは違い、並列18Vで動作する製品のようです。
特徴としては、電動工具のバッテリーと共用であることと一般的な電動アシスト自転車のバッテリーと比べ充電速度が速い点でしょうか。電動自転車そのものの性能としてはそこまで差異はないように感じます。(日本では販売されていないため詳細不明です)
コードレス冷温庫 HiKOKI UL18DB
-18℃冷凍機能を備えた驚異のコードレス家電です。
充電式ながらも普通の冷蔵庫と同じコンプレッサー式の冷却性能を備え、どこでも冷蔵・冷凍を実現する最強の現場・アウトドア製品です。もちろん、ACコンセントを接続してバッテリーの接続にも対応します。
UL18DBは他社製品と異なり、2部屋冷却も可能なので冷蔵と冷却を同時に行うこともできます。まさに夏のリーサルウェポンと言える充電式家電でしょう。
コードレス冷温庫 HiKOKI UL18DA
こちらはペルチェ素子で動く冷温庫です。コンプレッサー式よりも軽くコンパクトで保冷と保温も両方の動作に対応しています。ただしコンプレッサーで動く冷蔵庫のような高い冷却性能はありません。通常のクーラーボックスのように、冷やしたものがぬるくならないように使用するのが主な使い方です。
アウトドアで活用できそうなので、使ってみれば案外便利かもしれません。このUL18DAにはバッテリーの充電機能も内蔵しているので、車の中に常備しておけば他のコードレス家電の充電器としても使えそうです。ワンボックスカーやトラックに積むと便利かも。
充電式保冷温庫 マキタ CW180DZ
電動工具のトップメーカー マキタが送るバッテリー式クーラーボックスCW180DZは工具業界のみならず、アウトドア業界・フェス業界さまざまな業界に激震が走る革新的な製品になりました。保冷だけではなく60度までの保温動作も可能で、オールシーズンで使えるクーラーボックスです。
コンプレッサー搭載によって庫内-18℃の圧倒的な冷却性能を実現。販売直後の店舗初回納入分は即売り切れの大ヒット商品でマキタ史上最大の話題製品になりました。
コードレステレビ HiKOKI UR18DSML
どこかのメーカーが出してしまうのだろうか、と思っていたところに日立工機が販売してしまったコードレステレビです。
一般的なポータブルテレビと比較すると『ラジオも聴ける』『Bluetoothスピーカーにもなる』『スピーカーが大きい』『工具バッテリーが使えて長時間視聴できる』がメリットでしょうか。ラジオの上位機種と考えるならアリかもしれません。
外部アンテナ等に対応しているため、屋内でも受信感度を保ちつつテレビを視聴する事が可能です。BSCS受信や録画機能・外部ディスプレイ表示等・ネットワーク接続等には対応していません。
バッテリーの進歩はコンセントを置き換えるか?
バッテリーの進歩はすごいもので、当初Li-ionバッテリーは18650サイズ1セルで1Ahの容量しかなかったのに、近年では電動工具用の1セル3.0Ahの容量のバッテリーが登場しており、現在では1セルあたり9.8Ahという大容量のバッテリーセルまで販売されています。
ただし、リチウムイオンバッテリーがどんなに容量が増加していても、AC電源を完全に置き換えるにはまだまだ性能不足です。
現在のリチウムイオンバッテリーは、AC電源の出力に相当する最大1500W(100V, 15A)の電力を長時間安定して取り出せるバッテリーは存在せず、家電を完全に置き換えるにはまだまだ力不足なのが現状です。そのため、ヒーターやドライヤーなど熱源と必要とする家電を動かすには更なるバッテリーの発展を待たなければなりません。
コードレス家電はまだまだ発展途上の製品で、限定された状況下でしか使えない製品です。
今後バッテリーの進歩が進み、家電のコードレス化が積極的に進むようになればマキタやHiKOKI(旧日立工機)などの電動工具メーカーは将来的に家電メーカーとしての側面も持つようになるのかもしれません。