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2021年10月19日

ハンマとは?工具の特徴・選び方を解説

ハンマとは?工具の特徴・選び方を解説

ハンマとはコンクリートの削り・解体等のはつり作業に使う工具

ハンマとは、ブルポイントを装着し「はつり作業」に使用する電動工具です。一般的に手持ち金槌のハンマーと分けるため「電動ハンマ」または「ハンマ」のように語尾を伸ばさずに呼びます。

「はつり」とは、コンクリートなどの石材の削りや穴あけ・切削等の加工作業全般を指す作業です。電動工具製品の分野ではハンマやハンマドリルにブルポイントを装着し石材を削る作業を「はつり」作業と呼びます。

ハンマの種類は、作業者が両手で保持して対象物に押し当てながら使用する10kg以下のクラスと、先端工具を地面に当てて倒れないように作業者が抑えながら使用する10kg超の大型クラスに分けられます。

(左)HiKOKI H60MEY[10kgクラス]と(右)HiKOKI H90SG[30kgクラス]
参考:締付け・穴あけ・ハツリ – ハンマ|HiKOKI

先端ビットの差し替えで はつり以外の作業にも対応

ハンマは先端工具を交換によって溝つき、角出し、土掘り、地固め、面荒らし、剥がしのよな土木作業やリフォーム作業にも使用できます。

ハンマの先端工具交換で対応できる作業。
画像参考:HiKOKI総合カタログ2021

エンジン発電機と併用することが多い電動工具

ハンマはアスファルトやコンクリートに対して使用する電動工具なので、電源が取れない場所で使われることが多い電動工具です。

工事の契約上電源を使えない現場や屋外でハンマを使うケースが多く、その場合はエンジン発電機を使用するのが一般的です。

モーターを搭載する電動工具は、始動時に定格電力の数倍の電力を必要とするため、1kW~1.5kWクラスのハンマを使用する時は3kVA~4kVA出力のエンジン発電機が必要です。

ハンマドリルに「はつり」機能を搭載するモデルも

マキタ 52mm充電式ハンマドリル HR006G

ハンマドリルは打撃+回転でコンクリートに穴を開ける電動工具ですが、ドリルビット40mm前後のモデルでは打撃のみの「はつり」機能を持つ製品もあります。

はつり性能を搭載していれば同クラスのハンマと同じような作業を行えるため、ハンマドリルはハンマの上位互換のような製品ですが、はつり作業中心の作業であれば本体重量や製品価格の関係からハンマが使われます。

はつり作業は長時間の連続作業を行うことが多い電動工具なので、必要とする作業がはつりのみあれば、軽量で価格の安いハンマを選ぶのが良いでしょう。

ハンマドリルはレバーの操作で回転と打撃の動作を切り替えられる。一部のモデルでは打撃のみの動作を搭載するモデルもある。

最近ではハンマの充電式モデル化も進む

2021年には充電式のハンマの展開も進み、その分野で先行しているのがマキタミルウォーキーです。

マキタは40Vmaxバッテリーを2本装着する80Vmaxシリーズを持ち、ミルウォーキーは電動工具メーカー最大容量バッテリーのMXFuelシリーズを展開しています。これらのバッテリープラットフォームはハンマが必要とする高出力高容量を満たせる最低限の性能を満たしています。

残念ながら、2021年時点でもハンマを運用するための従来方式である「エンジン発電機+電源コード式」と同じような使い勝手とはなりませんが、溝入れや角取り・小規模な解体作業であれば十分活躍できます。

日本の電動工具市場では、ミルウォーキーとマキタの2社がハンマの充電式化に耐えうるバッテリープラットフォームを持つ。

性能も重要だが、運用面が最も重視される電動工具

ハンマは性能や価格より運用が最も重視される電動工具です。

ほかの電動工具と異なり「メンテナンス前提の電動工具」「現場での連続稼働時間が長い」「工具本体が大型で高価」などの理由から、メーカーサービスや地域販売店の修理体制の影響を最も受けやすい特徴があります。

工期全体のスケジュールに直結する電動工具なので、万が一の故障時でも潤沢な修理部品を持ち、早急に修理できる体制が整っているメーカーが好まれる傾向があります。

この分野で特に優れているのが、日本各地に密な営業網を持つマキタと、配送修理でありながら優れた修理体制を整え3日修理返却を実現しているヒルティです。

ハンマの選び方・カタログスペックの見方

  • 消費電力
    消費電力が大きいほどモーター出力が高くなり効率的に作業が行えます。ただし、実際のはつりスピードは打撃エネルギーやブルポイントの先端形状に依存します。
  • 打撃エネルギー
    ストライカの質量と打撃速度によって表されるエネルギー量です。この数値が高いほどハツリ能率が向上します。
  • 振動3軸合成値
    手腕に伝わる振動を表す数値です。この数値は振動ばく露限界として作業者が受ける一日当たりの振動量の計算に使われます。白蝋病等の労働災害を避けるため低振動の製品の使用が望まれます。
  • シャンク形状
    先端に取り付けるビットの軸の形状を表します。10kgクラス以下ではSDSシャンクが使われますが、30kg超の大型ハンマではメーカー毎の独自寸法の六角ビットを使用します。
  • 電源
    電源コード式のAC100V電源で動作します。一部のモデルではAC200Vやバッテリーの製品もあります。

各メーカーの代表製品をピックアップ

主要電動工具メーカーの中ではマキタ・HiKOKI・BOSCH・ヒルティが電動ハンマを取り扱っており、2021年にはミルウォーキーも加わり5社が電動ハンマの製品展開を行っています。

先述の運用について解説した通り、ハンマは性能よりもアフターサポートなどの運用面が重要な電動工具です。

ネット通販で購入することで多少は安く購入できますが、実際のハンマ運用の際は地域の修理事情や販売店で修理を行っているかなどを事前に調べ、「修理体制に優れたメーカーの製品」を「信頼のある店舗や商社から購入」するのがおすすめです。

ここでは、各社が展開する電動ハンマをピックアップして紹介します。

HiKOKI ハンマ H90SG

HiKOKI(ハイコーキ)
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プロ向け電動工具ブランドHiKOKIを展開する工機HDのハンマ H90SGです。

70Jの国内トップクラスの打撃エネルギーを搭載し、作業効率に優れているのが特徴です。

消費電力 1,430W 動作電源 AC100V
打撃エネルギー 70J シャンク 独自28.5mm六角
振動3軸合成値 7.7m/s2    
寸法 重量 33kg

マキタ 80Vmax充電式ハンマHM002G

マキタが展開する充電式の10kgクラスハンマドリル HM002Gです。

最新の40Vmaxバッテリーを2本搭載する80Vmaxによって、充電式モデルでありながら電源コード式に匹敵する出力を備えています。

充電式化によって使い勝手の面で優れているハンマですが、バッテリー容量が不足気味で最大出力で15分程度の連続稼働しか対応できません。

80Vmaxに対応するポータブル電源も無いため、実際に活躍できるシーンが限られている製品です。

消費電力 動作電源 80Vmax
打撃エネルギー 20.9J シャンク SDSマックス
振動3軸合成値 8.0m/s2    
寸法 574×146×324mm 重量 12.1kg

BOSCH 破つりハンマーGSH 11 VC Professional

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ドイツの電動工具メーカーBOSCHの破つりハンマー GSH11 VCです。

29ジュールの強力な打撃力と下向き作業が行いやすいインラインデザインが特徴のハンマです。

カーボンブラシが切れる8時間前に点灯するサービスサインランプも搭載し、メンテナンスの時期が早くからわかるのも特徴です。

消費電力 1,350 動作電源 AC100V
打撃エネルギー 29J シャンク SDSマックス
振動3軸合成値 8.0m/s2    
寸法 680×236mm 重量 11.4kg

ヒルティ 電動コンクリートブレーカーTE 3000-AVR

このクラスの30kgハンマとしては珍しいブラシレス(SR)モーターを搭載しており、トリプルチャンパー潤滑システムと合わせ長い、製品寿命を実現しています。

他社品の同クラス比では価格の面で突出していますが、脱着可能なコードやヒルティが提供する3日間修理なども合わせ、最も信頼性の高いハンマとして評価されている製品です。

ヒルティが提供するフリートマネジメント契約によって、ヒルティ直営月額レンタルで必要な時に合わせて手配できるのも特徴です。

消費電力 動作電源 AC100V
打撃エネルギー 68J シャンク 独自28mm六角
振動3軸合成値 7.0m/s2    
寸法 808×610×209mm 重量 29.9kg

ミルウォーキー MXFuel MXF DH2528H

2021年に日本正式展開を開始したミルウォーキーブランドの充電式ハンマ MXF DH2528Hです。

電動工具業界最大となるMXFuelバッテリーの搭載により、30kgクラスのハンマでありながら充電式の業界唯一の構成を実現しています。

XC(6.0Ah)バッテリー搭載時では1充電あたり約2トンのはつり作業量を実現し、電源環境の乏しい現場でも快適なはつり作業を実現します。

消費電力 動作電源 MXFuel
打撃エネルギー 64J シャンク 独自28mm六角
振動3軸合成値 5.17m/s2    
寸法 818×638×295mm 重量 29.6kg
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