ハンディサイズのクリーナーは国内家電メーカーやダイソンの製品が注目を集めていますが、最近ではプロ向け電動工具シリーズの充電式クリーナーが一般ユーザーからも注目を集めています。プロ向けの製品を作っているメーカー故にラインナップや性能の違いについて複雑なところも多く、製品の選び方が難しくなっています。今回は、電動工具メーカーのプロ向けクリーナーのポイントを解説します。
目次
電動工具メーカー プロ用クリーナーの特徴
電動工具メーカーのクリーナーが一般家庭に一躍人気になった大きな理由こそ通販生活の「マキタのターボ」です。
元々、マキタのクリーナーはプロユーザーが現場の清掃などに使われていた製品でしたが、必要最低限な機能やシンプルなデザインが一般ユーザーにも受け、現在では清掃業者や公共機関などのプロユーザーにも逆輸入されるほど人気の製品となっています。
電動工具メーカーのクリーナーは、付加機能を省き、性能も必要最低限に収めているのが特徴です。吸込力などの性能的な部分で勝てる製品ではありませんが、ちょっとした掃除などに大活躍できる製品です。
電動工具のクリーナーはアフターサポートも優秀で、マキタクリーナーであれば全国各地に点在するマキタ営業所に修理依頼が可能です。もちろん、シンプルな構造なので直接部品を仕入れれば自分で修理することも可能です。
電動工具ブランド クリーナーの選び方
電動工具メーカーのクリーナーは、外観がシンプルなので見分けがつきにくく、バッテリーシリーズによる互換性などもあるので、最適な一台を探すにはカタログなどで下調べが必要になってしまいます。
電動工具ブランドクリーナーの注意点としては「吸引能力が低め」に留意しなくてはいけません。
元々のコンセプトが建築現場で求められた最低限の清掃用途からスタートした製品なので、カーペットや布団などの高い吸引力を必要とする用途には向きません。この辺りは家電メーカーのクリーナーとコンセプトが異なっています。
電動工具ブランドのクリーナーは清掃性能を求めるよりも、手軽に使える2台目の掃除機としての清掃に使用するのが最適です。
バッテリー
電動工具メーカーのクリーナーのバッテリーは他の製品にも使える着脱式になっていて、電圧や容量など様々なラインナップが展開されています。オススメはリチウムイオンバッテリーですが、充電器やバッテリーの初期費用が高くなるので、低価格なバッテリー内蔵式の製品も人気です。
バッテリーの中で一番おすすめなのが、バッテリー容量が多く対応製品も多い18Vシリーズです。
中でもマキタの18Vバッテリーシリーズは、製品ラインナップが多くランタンからライト・テレビ・コーヒーメーカーなど様々なマキタ製品に対応しています。
集塵方式
電動工具のプロ向けクリーナーは「カプセル式」「ダストパック(紙パック)式」「サイクロン式」の3種類があります。
カプセル式はダストパックがいらない手軽な方式ですが、木屑などの大きなゴミの吸い込みに向いている方式なので、家庭のホコリなどはフィルターに詰まりやすく細かな手入れが必要です。
一般家庭でオススメなのはパック式で、吸引力がほとんど一定で衛生的なので扱いやすい方式です。紙パックと布パックの2種類に対応しているので、用途に応じて使い分けられるのもメリットです。
サイクロン式はホースの間に装着する後付けのアタッチメントです。他の2種類の方式と併用して使用する方式で、吸込力は若干下がってしまいますが、集塵容量が増えてカプセルやパックのゴミ捨て頻度が減るのでオススメです。
スイッチ
スイッチには「トリガ式」「ボタン式」「スライド式」の3種類があります。
実際の用途によってスイッチ形状を選ぶのがおすすめです。家庭の掃除であれば、ON/OFFをワンタッチで切り替えられるボタン式かスライド式。細かい清掃を広範囲に行う清掃作業などであれば、細かい電源切り替えができるトリガー式がおすすめです。
吸込仕事率
吸込仕事率とは、掃除機の吸引力を表す目安の値です。数字が大きいほど吸引力が優れていることを表します。
基本的には電圧が高いほど吸込仕事率が高くなる傾向がありますが、先端ノズルやフィルターのゴミ付着の有無などによっても上下するため、あくまでもクリーナーの目安として参考程度に収めるのが良いです。
メーカー別クリーナーリスト
電動工具メーカーを展開している主なメーカーはマキタ・HiKOKI・RYOBIの3社です。その中で、最も人気が高く製品ラインナップが多いのがマキタです。
マキタ 充電式クリーナー製品リスト
マキタの充電式クリーナーは製品ラインアップが多く、スイッチ仕様・集塵方式・電圧で細かく仕様が分かれていて最適な一台を選べるのが特徴です。
一般家庭ユーザー・大工などのプロユーザー・清掃業務まで使用できる幅広いラインナップと、マキタの強いアフターサポートが魅力です。
マキタ | 吸込仕事率 | スイッチ | 集塵方式 | 電圧 |
CL070D | 14W | トリガ | ダストパック | 7.2V |
CL072D | 14W | ボタン | カプセル | 7.2V |
4076DW | – | スライド | ダストパック | 7.2V |
CL100D | 14W | トリガ | カプセル | 10.8V |
CL102D | 14W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
CL105D | 20W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
CL105DN | 23W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
CL106FD | 19W | トリガ | カプセル | 10.8V |
CL107FD | 32W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
CL108FD | 30W | ボタン | カプセル | 10.8V |
CL110D | 21W | トリガ | カプセル | 10.8V |
CL113FD ターボ・60 | 35W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
CL140FD | 29W | トリガ | カプセル | 14.4V |
CL141FD | 29W | ボタン | カプセル | 14.4V |
CL142FD | 29W | ボタン | ダストパック | 14.4V |
MCL143D | 17W | トリガ | カプセル | 14.4V |
CL180FD | 37W | トリガ | カプセル | 18V |
CL181FD | 37W | ボタン | カプセル | 18V |
CL182FD | 37W | ボタン | ダストパック | 18V |
CL280FD | 45W | トリガ+スライド | カプセル | 18V |
CL281FD | 60W | ボタン | カプセル | 18V |
CL282FD | 60W | ボタン | ダストパック | 18V |
HiKOKI コードレスクリーナー製品リスト
HiKOKIのコードレスクリーナーはカプセル式の製品が多く、わかりやすい製品ラインナップで展開されています。
HiKOKIのクリーナーは、カプゼル内側に除じんブレードを搭載し、手を汚さずにプレフィルタの掃除ができる除じん機構を搭載しているのが特徴です。
HiKOKI | 吸込仕事率 | スイッチ | 集塵方式 | 電圧 |
R7DL | 20W | ボタン | カプセル | 7.2V |
R10DAL | 24W | ボタン | カプセル | 10.8V |
R10DL | 15W | トリガ | カプセル | 10.8V |
R12DA | 30W | ボタン | カプセル | 10.8V |
R14DA | 35W | ボタン | カプセル | 14.4V |
R14DSAL | 35W | トリガ | カプセル | 14.4V |
R14DSL(S) | 22W | スライド | 乾湿両用 | 14.4V |
R18DA | 40W | ボタン | カプセル | 18V |
R18DSAL | 40W | トリガ | カプセル | 18V |
R18DSL(S) | 22W | スライド | 乾湿両用 | 18V |
R18DB | 40W | ボタン | カプセル | 18V |
R18DB(S) | 25W | トリガ | サイクロン | 18V |
R18DTB | 40W | ボタン | カプセル | 18V |
R36DA | 155W | ボタン | カプセル | 36V |
R36DA | 90W | ボタン | サイクロン | 36V |
RYOBI 充電式クリーナー製品リスト
RYOBIのクリーナーは18V以上の製品で他社よりパワーが高いのが特徴です。
特に、最新モデルのBHC-180L5はハンディクリーナーでありながら90Wの吸込仕事率を実現しており、サイクロンアダプタを標準搭載した高性能なクリーナーです。
RYOBI | 吸込仕事率 | スイッチ | 集塵方式 | 電圧 |
BHC-720L | 15W | トリガ | ダストパック | 7.2V |
BHC-1020L1 | 24W | ボタン | ダストパック | 10.8V |
BHC-1420L1 | 28W | ボタン | ダストパック | 14.4V |
BHC-1810L5 | 60W | ボタン | ダストパック | 18V |
BHC-180L5 | 90W | ボタン | ダストパック +サイクロン | 18V |
家庭向けクリーナーおすすめ機種ピックアップ
電動工具メーカーのクリーナーはバッテリーが別売りで初期費用が高くなってしまうので、おすすめはバッテリー内蔵式か、バッテリー価格の安い10.8Vシリーズの製品がおすすめです。
10.8Vクリーナーは吸込力こそ控え目ですが、小回りが効くのでフローリングの隅や棚の上にホコリ取りなどのちょっとした部分の掃除などに活躍できます。
マキタ「CL107FD」
CL107FDはマキタの10.8Vスライドバッテリーシリーズに対応したクリーナーです。
バッテリーを付け替えれば、空気入れやライトなど他のマキタ製品にも使用できるため、日常生活からアウトドアなど様々な製品に活用できます。
マキタのスライド10.8Vシリーズはバッテリーや充電器の価格も安く、製品本体の価格もお手頃なので、クリーナー以外のマキタ製品に興味がある方にもおすすめです。
製品名 | CL107FDSHW(バッテリ充電器付) CL107FDZW(本体のみ) |
吸込仕事率 | 32W/20W/5W |
スイッチ | ボタン |
集塵方式 | ダストパック |
電圧 | 10.8V |
バッテリー | スライド10.8V |
重量 | 1.1kg |
販売年 | 2016年 |
プロ向けクリーナーおすすめ機種ピックアップ
プロ向けクリーナーでは、クリーナー以外の製品ラインナップが多い18Vシリーズがおすすめです。
マキタの製品はその中でも対応製品数が多く、高出力なインパクトドライバやドリル・丸ノコなどに使用できるため、プロユーザーだけではなく本格的なDIYを行うユーザーにもおすすめできます。
18Vバッテリーはバッテリーと充電器のセットを持っていれば、他の製品の低価格な「本体のみ」仕様を購入して使いまわすことができるので、バッテリー付きのクリーナーを購入して園芸工具や他の清掃工具などを揃えるのもおすすめです。
マキタ CL18シリーズ
マキタの標準クラスのクリーナーがCL18シリーズです。
目立つ特徴こそありませんが、長年ユーザーに親しまれてきたロングセラー製品で、建設現場のプロユーザーだけではなく、一般ユーザーや清掃プロユーザーまで幅広く普及しているモデルです。
このシリーズのクリーナーはスイッチや集塵方式による3種類のラインナップを備えており、用途に応じた最適な一台を選べるのが大きなメリットです。
マキタ CL28シリーズ
マキタ最新の高性能クリーナーシリーズががCL28シリーズです。
ブラシレスモーター採用による長寿命・高出力・長い駆動時間が特徴で、清掃業務を中心に行うプロユーザーなどにオススメなシリーズです。
外付けのサイクロンユニットが付属した仕様も展開されていて、ダストボックスと合わせて1000mlを超える集じん容量を実現しています。
RYOBI BHC-180L5
電動工具メーカーが展開するプロ向けクリーナーとして、業界トップクラスの吸込力を実現したのがRYOBIのBHC-180L5です。
分離性能の良いサイクロン式ユニットを標準付属し、吸込仕事率は90WとマキタCL28シリーズの1.5倍の性能向上を達成しています。
性能こそダントツトップですが、RYOBIバッテリーシリーズの製品ラインナップの弱さから対応製品数は少ないため、他の電動工具を揃える必要があるプロユーザーよりも、清掃業務だけを行うプロユーザーにおすすめな製品です。
おすすめアクセサリーピックアップ
電動工具ブランドのクリーナーのもう1つの大きな特徴がアクセサリーの多さです。
現場向けのアタッチメントに合わせて家庭向けのアクセサリーも使用できるので、使い方に応じて様々なカスタマイズができるのも1つの楽しみです。
サイクロンアタッチメント
後付けでサイクロンクリーナーにできるアタッチメントです。
このアタッチメントは簡易的なサイクロンなので分離性能よりも、大きなごみはサイクロン・細かいごみは本体フィルターで集塵になるので、サイクロンアタッチメントの用途は集塵容量の増強がメインです。
クリーナースタンド
クリーナーのスタンドがあればスタイリッシュに保管できます。形状もシンプルで他社製のスタンドなども販売されているので、インテリアに合ったものを選ぶのがおすすめです。
高性能フィルタ+HEPAフィルタ
カプセル式で粉じんが気になる方は、高性能フィルタとHEPAフィルタの組み合わせがおすすめです。
HEPAフィルタを装着すれば、細かい粉塵を吸い込んでもクリーナーの排気から汚れが出ることもありません。
マキタ充電式クリーナー用
HiKOKI コードレスクリーナー用
互換電池の使用は危険、純正品を推奨
電動工具メーカーのプロ向けクリーナーは本体価格だけなら低価格なのが特徴ですが、バッテリーは本体価格以上に高価なのが欠点です。
ここで気になってしまうのが、ネット通販を中心に純正品の半値以下で販売されている互換バッテリーです。電動工具のバッテリーはデジカメやパソコンなどの互換バッテリーと事情が異なり、製品の事故率が高く粗悪なバッテリーも多く発火の危険性も高いため、購入はオススメできません。
特に、2019年夏のダイソン互換バッテリーによる発火事故の多発なども記憶に新しく、互換バッテリーの使用には高いリスクがある事に注意が必要です。
純正品は1000回近い充放電サイクルを持ちますが、互換バッテリーは100回にも届かないことが多いので、長い目で見ても純正品がおすすめです。