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2021年12月2日

スクエアビット(ロバートソンビット)とは

スクエアビット(ロバートソンビット)とは

スクエアビットとは四角穴形状の木ネジに使うビット

スクエアビットとはネジ頭が四角穴形状のネジに使用するインパクトドライバ用のビットです。

ビット先端の形状がシンプルなので高い耐久性を持ち、カムアウトも少ないので木材用のネジとしてコーススレッドから柱金物まで幅広い用途に採用され、プラスビットから置き換わる高い耐久性を持つ特徴があります。

スクエアビットは別名「四角ビット」「ロバートソンビット」とも呼ばれ、主に四角の先端サイズが異なる3サイズが使われます。数字が大きくなるほど四角形の径は大きくなり、用途としては柱金物が#3、コーススレッドは#2、細ビスには#1が使われます。

#2スクエアビットを使用するコーススレッド、ネジ頭形状が異なる以外はプラスビットを使うコーススレッドと大きな違いはない。
柱と土台、柱と横架材を接合する柱頭柱脚用金物には、高トルクを加えられるスクエアビットを使用する金物がある。
画像参考:ハイパーコーナー|BXカネシン

カナダでは広く普及しているビス形状

四角穴形状の頭を持つスクエアビスは英語圏だと「ロバートソン」と呼ばれています。このロバートソンの由来はカナダの発明家Peter Lymburner Robertson氏の名前から取られ、ロバートソン発祥の地となったカナダではスクエアビットが広く普及しています。

日本でスクエアビットの普及が進み始めたのは2010年代前後なので新しい形状のビットのように思ってしまいますが、スクエア形状の頭を持つネジは1875年に米国で特許として登場しており、本格的に産業製品に使われるようになる1908年にはフォード社のモデルTに採用され、1935年に誕生したプラスネジよりも長い歴史を持っています。

高耐久で使いやすいビットだが、欠点も多い

スクエアビットはテーパ角が少なくトルクの伝達力に優れているので、プラスビットと比べればカムアウトも少なく、先端が折れ難いため、長いコーススレッドや高い締結力を持つインパクトドライバーでの使用に適しているビットです。

日本国内では18V充電式インパクトドライバが普及し始めた2010年前後に積極的な普及が始まり、プラスビットからの移行が進むとも思われましたが、プラスビスと併用できない点や調達・実使用的な勝手の悪さが目立ち、スクエアビスに移行してもプラスビットに戻るユーザーも少なくありませんでした。

2020年代の現在では、構造用金物の取り付け作業に使うビスを除き、プラスねじへの回帰したユーザーも多いので四角穴木ネジや処分特価品のスクエアビスが大量に販売されている場合を除けば使う機会はほとんどありません。

ビット形状とインパクトに相性があり、
スリーブ・スチールボールを痛める可能性も

両頭のスクエアビットを使用する場合、ビットメーカー各社で先端形状が微妙に異なるため、使用するインパクトドライバとの組み合わせによってはビットを保持するスチールボールが壊れてしまう場合があります。

例えば、下の写真はマキタTD001Gとベッセル剛彩ビットGS14SQ2065の組み合わせですが、ビットがアンビルの中に入り込み過ぎているのでビットの着座位置とスリーブの固定位置がズレており、この状態で使用するとスチールボールとビットが噛みこんでビットが外れなくなったりビット保持部が壊れてしまう可能性があります

(左)ビットをスチールボールで受けている状態 (右)ビットを一番奥まで押し込んだ状態
写真で比較するとスリーブの位置が少し異なるのが分かる。左の状態だとビットの先端がアンビルの底に届いていないので、ビットを固定しているスチールボールを噛みこんでしまう。

アンビル穴とビット先端形状が一致している場合でも、ビットの先端が折れて先端を入れ替えた場合には、スリーブの位置ずれ状態になることも多く、両頭形状のスクエアビットの使用はアンビル周りの部品を痛めてしまうのであまりオススメしません。

斜めに打ち込みにくい

スクエアビットは磁性を帯びてなくても先端に付けたネジが落ちないかみ合わせを持つ。

スクエアビットはテーパ角が少ないので、かみ合わせに優れており、磁性を帯びていなくてもビット先端でネジを保持できる利点があります。

裏を返せばビット先端とネジ頭の遊びがほとんど無いことを表しており、隅打ちのような狭い部分では打ち込めなくなる場合もあるので、スクエアビスを打ち込む場所には注意が必要です。

隅打ちの場合、ネジ打ち込みが進行するとヘッドが邪魔になってネジが入らなくなる場合がある。
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