VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2022年1月30日

トルクレンチとは 締付力を管理する整備必須の工具

トルクレンチとは 締付力を管理する整備必須の工具

トルクレンチとはボルト締結のトルクを管理する工具

トルクレンチとは、ボルトやナット等の部品をねじ規定のトルク値で締め付けやネジの締め付けトルクの測定に使用する作業工具・測定機器です。

ボルト止めには適切な締結作業が必要ですが、その管理手法として広く使われているのが締付トルクの測定による締結管理方法です。

主な用途として適切なトルクでボルト止めを行うための工具として使われ、鋼材を使用する建設作業や車体部品のトルク管理を行いながら締結作業を行う用途に使用します。

作業者の習熟度によらず一定のトルクで締付作業が行えるので、車体整備や鋼材部品の締結作業、工場のライン作業まで広く使用されています。

トルクレンチは使用に伴い測定精度に狂いが生じるツールです。定期的に精度確認(校正及び必要に応じて調整)が必要です。

トルクレンチはボルト止めやボルトナットの部品固定作業などに使われる。

ボルト止め作業ではトルクレンチが必須

画像引用:タイヤ交換後の大型車の車輪脱落事故に注意|日本自動車工業会

ボルトを使った締結作業で確実な締付を行うには、トルクの管理が欠かせません。

過大なトルクで締付を行ったとしても、十分な軸力を得ることはできず、逆にボルトの伸びによる変形やネジ山潰れの原因に繋がり事故の原因になってしまいます。

車体整備では交通事故にも直結する作業なので、タイヤの履き替えなどをセルフで行う場合には必ずトルクレンチを準備するようにしましょう。

車輪の脱落事故は毎月発生しているが、タイヤ履き替えの時期が最も多い。
点検整備不十分・整備作業ミスに起因する事故|国土交通省

トルクレンチの選び方

トルクレンチを選ぶ際に最も重要なのが「どれだけの締結トルクが必要か」を確認することです。

ボルト止めを行う製品のほとんどに整備手順書やマニュアルに締結トルク値を指定しており、ボルトナット止め作業でも締結トルクが指示されています。タイヤ交換を例にすると一般的な普通乗用車では90~110N・m(9~11kgf・m)、軽自動車では70~90N・m(7~9kgf・m)とされています。

トルクレンチを選ぶ際は、必要なトルクの範囲内の製品を選ぶようにし、仕様の上限値に近いトルク値で運用すると誤差が大きくなるので必要とするトルク値よりも少し余裕を持った製品を選びましょう。

トルクレンチは最大トルク仕様の30~80%の範囲での使用がおすすめです。
例:トルク仕様40~200N・mのトルクレンチの場合、60~160N・mがおすすめの能力範囲です。

トルクレンチの種類

プリセット型

トルクレンチと言えばほとんどの場合プリセット型を指します。

プリセット型は作業前にトルク値を指定する方式のトルクレンチで、指定のトルク値に達すると軽い音とクリック感で指定トルクの到達を教えてくれます。

連続作業に向き比較的安価な製品もあるので、車体整備やライン生産への採用が多い方式です。

プリセット型は内蔵バネの伸びによる誤差を防ぐため、使用後はトルク値を戻す必要があります。

直読型

画像引用:東日製作所

直読型は、力が加わって変形した量を見ることでトルクを測定するトルクレンチです。トルク値をリアルタイムで確認できる特徴があります。

トルクの目視が容易な「ダイヤル型」と高トルク測定に対応できる「ビーム型」の2種類があります。

工具としてよりも研究開発や検査等での測定機器として使われる場合もあり、車体整備・工場ライン向けの作業工具としての用途ではプリセット式やデジタル式に譲りつつあります。

デジタル型

デジタル型はセンサーによってトルクを検出する方式です。プリセット型のように指定したトルクに達したらビープ音を鳴らしたり、直読型のようにリアルタイムでトルクを表示する機能を搭載する製品などがあります。

機械的なアナログ方式よりも精度に優れ、上記2つの方式以上に習熟度に左右されない正確な作業が可能です。

産業向け製品では、高精度なトルク管理機能や無線通信による管理機能を搭載する製品もあります。

アダプタ型

普通のラチェットレンチやスピンナハンドルのような手動レンチとソケットの間に装着するアダプタタイプのトルクレンチです。

バネによる機械式タイプもありましたが、現在はデジタル式が主流です。

ラチェットヘッドタイプ

先端形状をソケットで交換できる方式で、狭いスペースでも効率的に締結作業を行えます。

9.5sqや12.7sqなどの汎用的なソケット形状を備えているので、手動のラチェットレンチやインパクトレンチとの使いまわしも可能でさまざまなサイズのボルト締結に対応します。

モンキータイプ

モンキーレンチの先端形状を持つトルクレンチです。調整できる口幅の範囲内であれば特殊サイズのボルトにも対応します。

トルクレンチ 製品ピックアップ

エマーソン タイヤ交換工具 トルクレンチセット EM-29

トルクレンチ本体とソケットがセットになった低価格なトルクレンチです。

ソケットがセットになっているので、このセットを買えばすぐにタイヤ交換作業が行えます。コストパフォーマンスにも優れているので、タイヤ交換用のトルクレンチとして保管しておくのも良いでしょう。

SK11 デジタルトルクレンチ SDT4-135

デジタル方式のトルクレンチです。トルク測定値の下限が6.8N・mと低いので、タイヤ交換以外にもバイクや自転車等の締結作業にも対応できます。

トネ(TONE) プレセット形トルクレンチ T4HC140

ボルト締結機器、トルク管理機器などの総合工具メーカー TONEのトルクレンチです。

信頼と実績のある国内ブランドの製品なので、業務用途や定期的な校正が必要な用途でおすすめです。

Milwaukee M12 Fuel Motorized Digital Torque Wrench

トルク管理・電動動作・Bluetooth通信・トレーサビリティ機能を搭載する全部入りの充電式トルクレンチです。

これは米Milwaukee社のM12シリーズの電動工具でモーター動作による回転動作と本体側面の液晶ディスプレイとLED点灯によってこれまでにない効率的なトルク管理締結作業を実現します。

ナットランナーではないのでトルク締結は手作業で行わなければいけませんが、民生向けの製品としては珍しいBluetoothによる通信制御機能やクラウドによるレポート出力機能などを備えており、現時点で最高峰のトルクレンチと言える製品です。

残念ながら、今のところ日本法人 ミルウォーキーツールジャパンでの取り扱いは無いので、今後の取り扱い開始に期待しましょう。

トルクレンチまとめ

トルクレンチ

ボルト止めのトルク値を管理できる締結工具

Return Top