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ファスニングツールを製造・販売する株式会社ベッセル(本社:大阪府大阪市)は、2025年2月に充電式インパクトレンチ SP-8141Jを販売する。18.5Vのバッテリーを搭載し最大締付トルクは300N・mに対応する。希望販売小売価格は98,780円(税込)
目次
ベッセル 充電式インパクトレンチ SP-8141J
ファスニングツールを製造・販売する株式会社ベッセルは、2025年2月に充電式インパクトレンチ SP-8141Jを販売する。
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SP-8141Jは、18.5Vリチウムイオンバッテリーを搭載する充電式のインパクトレンチです。
四角ドライブ 12.7sqのソケット仕様を備えており、18.5Vリチウムイオンバッテリーとブラシレスモータの搭載によって最大300N・mの締付トルクを実現しています。
オートシャットオフ機能によって正転作業時の手回し、仮締めモードを備えており、3段階で最大回転数を切り替えられる機能も搭載しています。
販売仕様は、リチウムイオンバッテリーと充電器が付属するSP-8141Jで販売します。
- SP-8141J バッテリー充電器付属 希望小売価格98,780円(税込)
製品仕様
製品名 | SP-8141J |
---|---|
外観 | ![]() |
締付能力 | 普通ボルト:M10 – M20 高力ボルト:M10 – M16 |
最大締付トルク | 300 N・m |
先端形状 | 12,8 sq |
無負荷回転数 | モード1:0~1,000 min-1 モード2:0~1,600 min-1 モード2(逆転):0~2,000 min-1 モード3:0~2,800 min-1 |
打撃数 | – |
振動3軸合成値 | 13.16m/s² |
防水防じん | × |
動作電圧 | 18.5 |
重量 | 2.2kg (バッテリ含) |
寸法 | 141×262×80mm |
セット価格 | 98,780円(税込) |
販売年月 | 2025年2月 |
製品の特徴
「マキタ18Vに酷似するバッテリが付属する充電式インパクトレンチ」
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SP-8141Jは、マキタの18Vバッテリーに酷似するリチウムイオンバッテリーが付属する充電式インパクトレンチです。
バッテリーの装着構造はマキタ18Vバッテリーと酷似していますが、充電のための通信端子 (純正バッテリでの黄色端子)が無い点やレール構造が一部異なるため、マキタ純正バッテリーや互換バッテリーとは異なる本製品専用のバッテリーと想定されます。
公称電圧に関しても、18Vではなく18.5Vと若干高めになっていることから、バッテリー出力性能もマキタ純正バッテリーより僅かに高いものと考えられます。
付属充電器に関しては、ファン冷却機能を搭載していない充電器であるためか満充電には約85分かかります。また、マキタ18Vバッテリに酷似しているものの、充電制御のための黄色い端子が無いためマキタ純正充電器で急速充電を行うこともできません。
充電式インパクトレンチとしては並性能、価格の安さは一見の価値あり
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充電式インパクトレンチのクラスの指標となる最大締付トルクは300N・mです。
3段階の回転数切り替え機能とオートシャットオフ機能を備えているので、ブラシレスモータ搭載のインパクトレンチの仕様としてはマキタやHiKOKIなどの国内主力インパクトレンチと同等の仕様を搭載しています。
本体希望小売価格は税込98,780円と高く設定されていますが、販売店での割引率は50%を超えており実売4万円台で販売されています。同クラスの充電式インパクトレンチとしては、マキタ18VではTW300D、HiKOKIではWR36DHがありますが、それらのバッテリー2本セットより安いので、インパクトレンチだけが必要な方であればアリな製品です。
ただし、それらの国内主力ブランドのインパクトレンチはバッテリー込み重量2.0kgを切るものの、ベッセル SP-8141Jはバッテリー込み重量2.2kgなので他社比較で若干重めの仕様となっています。
マキタ純正18Vバッテリの装着にも対応 (2025年2月20日追記)
本記事の公開後に、SP-8141Jはマキタ純正18Vバッテリーの装着が可能との情報を頂きました。
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上記の写真は、実際にマキタバッテリーを装着している状態です。
当初はベッセルバッテリのレールやリブ形状の違いからマキタバッテリーを装着できない可能性を示唆しましたが、本情報によってマキタ純正18Vバッテリとベッセルバッテリは相互に装着が可能であることが確定しました。
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ベッセルバッテリーは放電仕様的にマキタ18Vバッテリに準じた仕様であるため、装着も可能なら製品動作も可能であると考えられます。ただし、ベッセルバッテリの公称電圧18.5Vに対し、マキタ純正バッテリの公称電圧は18Vであるため、理論上パワーは落ちるものと想定しています。
現状、建設現場などでは互換バッテリーの持ち込みを禁じている現場も多いのですが、今回のようなベッセルブランドとしてのベッセル純正バッテリが新たに登場したことにより、マキタ18Vバッテリ周りの事情はより複雑になりそうです。
Special Thanks ビルディ株式会社様
例えるならマキタ”派生”バッテリの充電式電動工具
今回のベッセル SP-8141に関しては、マキタ18Vバッテリに極めて酷似しているバッテリが付属している電動工具です。実物を確認していないため確定はできませんが、電気的仕様や形状に関してはマキタ18V互換バッテリをベースに設計されたバッテリと想定しています。
完全なマキタ互換では無いものの、公称電圧が18.5Vであることから高電圧仕様のリチウムイオンセルを搭載していると考えられ、例えるならマキタ”派生”18Vバッテリと称した方が良いバッテリーなのかもしれません。
当初、ベッセル18Vバッテリの細部を見る限り、大まかなスライド構造や端子位置はマキタ純正18Vバッテリとほぼ同一なものの、レール形状の違いや通信端子部に変わりリブ構造などが見られたため相互装着互換は無いものと想定していましたが、情報提供によりマキタ純正18Vバッテリの装着が可能であり、今回の製品はマキタ互換電動工具にあたる製品であることが確定しています。
筆者が把握している限りですが、バッテリー形状としては中国ROTAKEブランドが展開する充電式電動工具に近い外観のバッテリーであるため、今回のベッセル充電式インパクトレンチはROTAKEのOEM品と推測されます。ちなみに、ROTAKEの説明員に「マキタの18Vに使えますか?」と聞いたら「使えますよ」とも言われています。
さて、ベッセルは過去にもSP AIRシリーズ SP-8140として600N・mクラスの充電式インパクトレンチを販売していましたが、今回のSP-8141とは異なる18Vバッテリを採用するインパクトレンチでした。
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実は、マキタ18Vバッテリーは電気的仕様や特許の存続期間の満了などの色々な事情により、マキタ互換の電動工具はアジア圏を中心に世界各国で販売されています。この背景を考えれば、ベッセルは電動工具市場への参入のために、調達性の良いマキタ18V派生(互換)電動工具を日本で展開してシェアを確保したい思惑があるのではないかと考えています。
例えば、ベッセルのSPを冠する工具シリーズとしてはSP AIRシリーズがあり、これは主に自動車整備、板金塗装向けに展開しています。今回、新たにSP AIRを改めてSP LINEシリーズとして展開した理由としても、ここ最近の電動工具市場におけるトレンドである自動車整備業におけるエアツールから充電式電動工具への移行需要に対応するためではないかと予想しています。
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よく比較される工具
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2023年8月発売
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2019年4月発売(在庫希少品)
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2020年3月発売
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2020年8月発売