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2024年4月30日

マキタバッテリー互換のUSB PDアダプタが発売、最大65W出力のUSB充電器

マキタバッテリー互換のUSB PDアダプタが発売、最大65W出力のUSB充電器

当記事で紹介する製品はマキタが販売する製品ではありません。株式会社マキタ及びマキタ取扱店へのお問い合わせはお控えください。

マキタバッテリー互換のUSB PDアダプタ

充電式電動工具のサードパーティ製品を開発する中国 深圳市友润电池有限公司から、待望のマキタ18Vバッテリー対応のUSB PDアダプタが発売しました。

このバッテリーは65WのUSB PDを備えるUSBアダプタです。USB PD充電器を使ってマキタバッテリーを充電したり、逆にマキタバッテリーからUSB PD 65Wを給電して、ほかの機器に充電する機能も備えています。

入出力共用のUSB Type-Cポートを備えるほか、出力専用のUSB Type-Aポートも搭載しており同時に2台のUSB機器の給電が可能です。

国内販売に関しては、輸入事業者を介した通販サイト購入や海外通販サイトを使った個人輸入などで入手できます。また現在(2023年9月時点)で日本仕様カスタム品のクラウドファンディングが実施されています。

製品仕様

製品名 UDCB094-MK
外観
USB PD出力 最大65W
USB PD入力 最大65W
USB Type-A出力 5V-3.0A
9V-2.0A
対応バッテリー マキタ18V
重量 130g
寸法 69×45×11mm
販売年月 2023年春頃

製品の特徴
「マキタ18VバッテリーをUSB PDモバイルバッテリーにするアダプタ」

この製品は、マキタバッテリー充電機能とUSBアダプタ出力機能を兼ね備えたUSBアダプタです。

USB PD65Wの充放電に対応しているので、USB PD充電器を接続してマキタバッテリーを充電したり、マキタバッテリーからUSB PDを出力してスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどを充電したりすることができます。

このアダプタとUSB PD充電器(60W)を組み合わせてBL1860Bバッテリーを充電すると、1時間ほどで実用充電になり、3時間ほどで満充電状態になりました。

マキタバッテリーを装着して使用する
USB Type-CコネクタとType-Aコネクタを備えている。Type-Cコネクタは入出力兼用になっていて、接続する機器に応じて受電と給電を自動で切り替えてくれる。
PDOは最大65Wの給電まで対応する。何気にPPSにも対応しているので、下手なモバイルバッテリーより機能的なのかもしれない。
マキタバッテリーでWindowsノートパソコンを充電することもできる。すこしシュールな光景だが、外出先のバッテリー切れや、現場で急にパソコンを使いたい時などに重宝しそうだ。

普通のUSB 5V充電器でも充電できる

普通の5V出力 USB充電器でマキタバッテリーを充電しているところ。

このUSBアダプタ最大の利点と言えるのが、普通のType-Aコネクタの5V USB充電器でもマキタバッテリーを充電できる点です。

10時間近い充電時間は必要ですが、1日に1充電分だけマキタクリーナーを充電するような使い方なら十分対応できますし、ライトやラジオなどの災害用途の緊急用バッテリーとして常に充電器を接続しておくのも良いでしょう。

またモバイルバッテリーからマキタバッテリーに再充電もできるので、どうしてもマキタバッテリーを使いたいけどAC100V電源がない、なんて場合でも活躍できます。

Type-A端子で最大18W取りながらUSB PD 65Wも出せる

一般的なUSB PD充電器にあるような、複数口を同時に使用していてもPDOが変わることはないようです。Type-A端子を併用していても、Type-Cは65WのPDOが通知されます。

これはこれで良い仕様なのですが、Type-Aの18WとUSB PDの65Wを合わせて83Wもの発熱量に耐えうるような製品には見えません。十分な熱対策が施されている製品とも思えないので、夏場の車のボンネットに置いて2口同時に給電するような使い方は避けた方がよさそうです。

Type-A端子は出力電圧が高すぎるので使わない方が良い

このマキタ互換アダプタは従来のUSB Type-Aコネクタも備えているのですが、Type-Aコネクタはあまり使わない方が良いかもしれません。

製品仕様として5V-3Aの仕様を備えているのですが、1A負荷でもUSBの規格で定められている5.25Vを超える電圧を出力してしまう上に、3A負荷時には5.8Vまで出力が上昇します。

負荷が高くなるほど出力電圧が上がってしまう挙動があるようなので、このType-Aコネクタはできるだけ使わない方が良いでしょう。

1A負荷時の出力電圧。この時点で規格値を超えている
2A負荷時の出力電圧。この時点で5.56Vと規格値の5.25Vを大幅に超えている。少し高価なデバイスに挿すのはためらうところ
3A負荷時の出力電圧。5.78Vを出力しており、もはや5V電源とは言い難いレベル。ものによっては接続した機器を壊すかもしれない。

バッテリーを挿していなくてもUSB PD to Type-A変換器として使える

これはどうなのかなー?と思う機能なのですが、このUSBアダプタはバッテリーを接続しなくても、USB PDを接続すればUSB Type-A端子から電源を取ることができます。

USB PDのType-CポートをType-Aに変換できるので、どうしてもType-Aで充電したい時に役立ちそうです。

とは言え、このアダプタのType-A出力はUSB規格上の上限値を超える仕様で出力されているので、そもそもType-A端子は使わない方が良さそうです。

残量表示は電圧参照方式、バッテリ容量表示は参考程度に

アダプタ本体には%表示の残量計がついていますが、電圧値から充電容量を概算する電圧参照方式なのでバッテリー残量表示機能としての精度はそこまで良いものではありません。

また充電動作時の数値としても、80%程度の電力容量が入った時点で100%と表示されるようになっているので、残量表示としては目安程度にしかなりません。

満充電表示後の充電スピードが遅い

アダプタ表示上の100%(実用量の80%程度)までは軽快に充電が行われますが、100%に達すると充電スピードが極端に下がる仕様のようです。

上の図は充電時の電圧波形(黄色)と電流波形(水色)です。充電開始後1時間まではUSB PD充電器から提示された最大電力を受けて充電が行われますが、その後は急激に電流が下がり、1時間半かけてゆっくり充電が行われました。

実容量的には、60WのUSB PD充電器を接続してBL1860Bを充電すると1時間で80%ほど充電が行われ、残りの20%は電流を絞って少しずつ充電される仕様になっているようです。

USB PD PPSにも対応

このマキタ互換USB PDアダプタは、USB PD PPSを搭載しているようです。

USB PD PPSとは、USB充電器側が電圧や電流を機器に応じて出力を制御する方式です。高い効率で最適な給電を実現でき、国内ブランドのモバイルバッテリーでも搭載が進み始めたばかりの機能なので、もしかしたらこのマキタ互換アダプタは下手なモバイルバッテリーよりも高性能なのかもしれません。

色々思うところがあるUSB PDアダプタのサードパーティ品

さてさて、このマキタ互換USB PDアダプタは実際に使ってみると便利な製品です。

大きな専用充電器が不要になるので、充電器として取り回しに優れるのはもちろんのこと、普通のType-A USB充電器でも充電できるので、家庭向けのちょっとした用途の充電器としても最適です。さらに給電用途としても現場で使うラップトップやタブレットへの給電にも使えるので、現場監督的なユーザーが屋外で使うのにも便利な製品になると思われます。

純正充電器に比べれば販売価格も3,000~4,000円と安いので、予備の充電器として1台バッグや工具箱に入れておくと良いかもしれません。

正直なところ、USB PDアダプタの利便性を考えるなら、マキタが純正製品として2~3年前の時点で出すべき製品だったと思っています。

「充電製品の総合サプライヤー」を自称するなら、アシスト自転車ポータブル電源よりも、先にUSB PDに触れておくのが道理だとさえ思っています。そもそも、ADP05の後継製品として遅かれ早かれいつかは作らざるを得ない製品なので、早いうちに開発しておいた方が良かったはずです。

とは言え、世界の電動工具市場の立ち位置を考えると、マキタの製品開発は保守的で他社の後塵を拝す傾向が強い企業であるため、SBDやTTIに見られるような先見性を期待してしまう事自体が誤りなのかもしれません。この辺りは、マキタがSBDに追いつけなかったり、TTIに追い越されたりした要因の1つだと思っています。

現在、クラウドファンディングサイトでは今回のUSB PDアダプタとほぼ同じ仕様の製品の予約販売が行われています。価格的には割高ですが、この辺りはスノーピークが色を変えてマキタのOEMモデルを発売した時と似たような製品なので、輸入事業者を1社挟んで色々カスタムした製品と考えれば妥当な価格と言えそうです。(ただしType-Aの5V出力仕様は直さないとマズい気がします)

色々と思うところのある製品ですが、この製品はクラウドファンディングの単発企画で終わるにはあまりにも惜しい製品だと思っています。ホームセンターや工具取扱店で売ればUSB PDの普及が進むにつれてジワ売れしたでしょうし、家電量販店に陳列棚を設けることができれば、マキタバッテリーの販路拡大に大いに貢献できた製品にも成り得たとも思っています。

製品そのものとしては、マキタ18Vバッテリーの保護仕様とUSB Type-C端子に限って使うのであれば、比較的安全に使える製品なのではないかなと思います。とは言え、充電動作に関しては純正充電器と制御が異なるので、純正バッテリー以外の接続は止めた方が良いでしょう。セルアンバランスの遮断が無い互換バッテリーだと、使ってるうちにバランスが崩れて火を噴くことになります。

長々と語ってしまいましたが、結局のところ、市場1発目のマキタUSB PDアダプタはやはりマキタ公式の製品として広めてほしかった、と思う筆者の複雑な心境です。

まとめ

マキタ互換USB PDアダプタ

VOLTECHNO製品評価 4 out of 5 stars (4 / 5)

USB PD 65W対応のマキタ互換アダプタ

良い点
  • USB PD 65W出力に対応
  • USB PD充電器でバッテリー充電ができる
  • 普通のUSB5V充電器でも充電できる
悪い点
  • Type-A端子の出力電圧が高く危険
  • 14.4Vバッテリー非対応
  • 残量表示パネルの精度が低く視認性も悪い

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