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2020年8月10日

壊れたマウスのパーツを3Dプリンタで作ってマウスを修理する!

壊れたマウスのパーツを3Dプリンタで作ってマウスを修理する!

3Dプリンタで修理パーツを作る

Mad Catz M.M.O.7裏面

長年、Mad Catzのゲーミングマウス M.M.O.7を愛用していたのですが、使い始めてから3年目で調整部分のプラスチックパーツが破損してしまいました。

M.M.O.7自体は既に廃番になっていて、製造元のMad Catzも倒産しているため、新しく同じマウスを再購入することはできません。またネットの情報によると国内サポートを引き継いだ「株式会社アタッサ」の対応はお世辞にも良くないようで、修理依頼などは難しいようです。

そこで、以前購入した3Dプリンタを使って、破損したパーツと同じものをプリントして壊れた部分を修理します。

マウスの調整中にパーツを破損

Mad Catz M.M.O.7 3Dプリンタでパーツ補修
右の黒い部品がM.M.O.7 オリジナルの部品。上の部分が根元から割れてしまい調整ができなくなってしまった。ちなみに左は今回3Dプリンタで作った部品

M.M.O.7はカスタマイズ性の高いマウスで、ゲーミングマウスによく搭載されてるウェイト調整機能の他に、ボタンの位置調整が出来たり、手にあたる部分のパットの交換が出来たりと、使う人に応じた細かいカスタマイズを行う事ができます。

しかし、カスタマイズ性の高い製品と言うか可動部の多い製品の宿命と言うか、そういう凝った部分は結構壊れやすかったりします。今回のM.M.O.7もボタンの位置を調整している最中にプラスチックの部品が割れてしまいました。

通常ならMad Catzのサポートへ修理依頼やパーツの取り寄せなどを行うんですが、M.M.O.7は2012年発売のマウスでサポートも殆ど期待できず、それ以前にMad Catzは既に破産しているため修理も期待できません。

そこで、今回は壊れた部分の部品のモデリングを行い、3Dプリンタで同じ部品を作ることで修理してみる事にします。

Thingiverseに3Dモデルを発見

Mad Catz M.M.O.7 STLイメージ

初めは壊れた部品のモデリングから始める予定でしたが、「壊れやすい部品なら他の人も同じこと考えてるんじゃ?」と思って、3Dモデルデータを公開しているサイトを検索すると、今回作ろうとしている部品のSTLデータを見つけることができました。これでモデリングする手間が省けたので、gcodeデータの作成から始めます。

参照:Mad Cats M.M.O.7 Replacement Part|Thingiverse

STLデータの読み込みとgcode出力

Mad Catz M.M.O.7 Cura

3Dプリンタでプリントするには、3DデータであるSTLデータをスライサーと呼ばれるソフトを使って、ヘッダの移動情報などに変換したgcodeと呼ばれるファイルに生成する必要があります。

STLデータを読み込んだら実際にノズルが動く軌道を確認できるレイヤーモードにして、余計なサポートを出力していないか・積層方向は問題ないかなどの確認を行います。

Mad Catz M.M.O.7 Cura
STLデータの初期位置でのレイヤー。中央の部分に丸いサポート?のような本来のSTLデータに存在しない部分が増えている、このままだと二次加工が必要になるのでこの形状で出力することはできない。
Mad Catz M.M.O.7 Cura
90度回転させた場合のレイヤー。この場合中央の穴の部分に余計なサポートは出力されず、丸部分の精度も高くなるが、積層方向的に強度の弱い部分が発生してしまうためこの位置での出力も却下
Mad Catz M.M.O.7Cura
先ほどの形状を倒した状態。中央の穴部分のサポートは出力されず、積層方向による強度も問題ないはず。丸穴部分の精度は不安だが、まずはこれで3Dプリントを行う。

3Dプリンタで出力

3Dプリンタ出力

出力したgcodeを3DP-20に読み込ませて、プリントを開始します。

3Dプリントは温度やノズル移動速度の影響を強く受けるため、印刷途中のモノを常に確認して、途中で割れや曲がりが発生するようであれば設定を変えて再プリントします。

3Dプリンタ出力したもの
3Dプリントしたモノがこちら。割れや歪みもなくプリントすることができた。部品右側の付け根の部分の強度が不安だったがPLAなら簡単に折れてしまうことはなさそうだ。
Mad Catz M.M.O.7 3Dプリンタでパーツ補修
サポートを除去し、やすりをかけて仕上げ。本来の部品と比べると若干歪みなどはあるが全体の形状的には問題なさそうだ。

組み込んでみた

Mad Catz M.M.O.7 3Dプリンタで修理

出力したパーツをM.M.O.7に組み込んだところです。

実際に組み込んでみると寸法の違いや材質の問題もあり若干ガタもありますが、割れたままのパーツを使うよりはよさそうです。

Mad Catz M.M.O.7 後ろ側

実際に3Dプリンタで部品を作ってみて

Mad Catz M.M.O.7 3Dプリンタで修理前景

今回使用した3DプリンタはHICTOP 3DP-20で、スライサーにはCuraを使用しました。

3Dプリンタで部品を作ってみると、STLデータからgcodeに変換するだけでも積層方向などを考えなければならず、簡単に済むものではないことがわかります。3Dプリントが上手くいっても、強度などはオリジナルの部品と比べられるものではないため、この部分は消耗品として割り切る必要があるかもしれません。

今回、PLAを使用しましたが、強度をもっと上げられるんじゃないかとABSフィラメントでも出力してみました。しかし、ABSでは柔らかすぎて簡単に折れてしまいました。ABSは今回の部品のようなプリントには向かないようです。PLA以上の耐久性を求めるのであれば、熱溶解積層法(FDM)方式ではなく光造形方式の3Dプリンタを使用したほうがいいのかもしれません。

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