高温多湿な場所での作業では、長時間の作業を行うことで熱中症のリスクが高くなります。
そんな中、電動工具メーカーや作業服メーカーは熱中症対策として様々な製品を展開するようになりました。今回は、バッテリーで動作する熱中症対策製品の紹介です。
目次
現場作業の「熱中症」はどうやって防ぐ?
熱中症と言えば、夏場に毎年発生する労働災害です。
熱中症の怖さや予防するための環境づくりの大切さは、啓蒙活動や注意喚起によって知れ渡るようになりましたが、それでも作業現場の実情や日程の厳守などを背景に、熱中症対策が軽んじられてしまう現場もあると聞きます。
特に、作業現場での熱中症による死傷者は毎年報告されており、年間2000人近い死亡災害が発生しています。
作業現場で使える暑さ対策グッズ!
熱中症の予防には、熱を吸収しにくい服装やこまめな水分補給などが望ましいのですが、実際の作業現場では安全衛生上の観点から長袖作業服やヘルメット、安全ベストなどを着用するため、熱が籠りがちで水分の他にミネラルや塩分など不足気味になってしまいます。
しかし、最近になって電動工具各社から、それらを改善し、作業を快適にするための製品が発売されるようになりました。
コードレスファン
現場を涼しくする電動工具と言えば、バッテリーで動作する扇風機「コードレスファン」です。
電動工具メーカーが販売しているコードレスファンは、家電メーカーの出しているバッテリーファンよりも大型で非常に風量が大きいと言う特徴があります。
その風量の大きさは、コンセントで動作する扇風機並みの風量があり、しかも電動工具に使う大型バッテリーを使うために10時間近い連続稼働も可能です。また上位モデルであれば首振り機能もあるので、現場で使うには最適な扇風機と言えるでしょう。
空調服
近年、現場作業を快適するアイテムとして話題になっているのが作業服にファンをつけた空調服です。メーカーによってはファンジャケットやクールジャケットとも言ったりします。
初めはイロモノ色が強く、膨らんでしまい見栄えが悪かったために敬遠されていた空調服ですが、発売され数年経った今では実用面での認知度も高くなってデザインもだいぶ良くなったことで、現在では画期的な熱中症対策として導入を進める企業も出始めているようです。
空調服は通常の作業服のように材質による様々な種類があり、通気性や撥水性に優れたポリエステル素材やグラインダ等火花の舞う研磨作業にも使える綿素材など、用途に応じた様々な空調服があります。
空調服を大きく分けると、作業服メーカー製のものと電動工具メーカー製のものの2種類があります。
作業服メーカーの空調服は専用バッテリー・専用充電器が必要になりますが、その分バッテリーは小型で小さく取り回しのいいものになります。バッテリーが軽いので動きやすくなるのが特徴です。また一部の空調服はモバイルバッテリーで使えるものもあります。
電動工具メーカーの空調服は、電動工具のバッテリーと共通で専用充電器等も必要ありませんが、代わりに空調服用のバッテリーアダプタが必要になります。バッテリーも大きく重いものとなってしまいますが、バッテリーが電動工具と共通で使えるのは大きなメリットでしょう。
ファンヘルメット
空調服と同じように、ヘルメットにファンを付けたのがファンヘルメットです。メーカーによってはヘルメット用送風機やヘルメットクーラーと言ったりします。
ファンヘルメットには2種類あり、ヘルメットに専用ファンを装着(内蔵)したものと、通常のヘルメットの隙間にファンを装着するものがあります。
頭皮の籠った熱を循環し、熱中症対策としてはなかなか効果のある一品なのですが、構造上、頭部にファンとバッテリーを装着してしまうため、重かったりファンの騒音がうるさかったり、また小型の製品では風量が全然足りなかったりと、まだまだ発展の余地が多い製品でもあります。
これからの期待値が高い製品ですので、今後の新製品に注目です。
コードレス冷温庫
HiKOKI(旧日立工機)が開発した、画期的なクーラーボックスこそコードレス冷温庫「UL18DSL」です。
このクーラーボックスには冷却機能が内蔵されており、バッテリーを装着することでクーラーボックス内部を冷やすことができます。しかも、逆に加熱することもでき、冬場は保温することもできる優れものです。
しかもバッテリー以外の電源にも対応しており、AC100Vやカーソケットの12Vなどで使うこともできるため、場所を選ばず車載冷温庫として使ったり、キャンプでの持ち運びなど様々なスタイルで使うことができます。しかも、バッテリーの充電機能付きなので、バッテリーは常に満タンにすることができます。
しかし、この冷温庫はあくまでも保温・保冷に使うものなので、積極的な冷却や加熱を行うことには適していません。このクーラーボックスを使う場合は、あらかじめ冷やしたものを入れるようにしましょう。
システムケース対応クーラーボックス
今電動工具を保管するツールとして注目を集めているのがマキタのマックパックシリーズです。システムケースと呼ばれるマックパックシリーズは様々なサイズがあり、縦に積み重ねることが出来て専用キャリーにも搭載できるため工具の運搬が楽になります。
このマックパックシリーズの中には、クーラーボックス仕様のものもあり、他のマックパックシリーズとも連結できるので、工具と一緒に現場まで運搬することができます。
クーラーボックスはペットボトルや氷など重いものを入れてしまうので、キャリーで運べるようになれば便利ですね。
ちなみに、このマックパックシリーズはHiKOKI(旧日立工機)のシステムケースと連結部分が共通になっており、HiKOKIのシステムケースにマキタのクーラーボックスを連結させることが出来ます。これなら日立ユーザーでも安心です。