コンクリートの切断作業には、高い切断能力を求められるため一般的にはエンジンカッターが使用される。しかし、エンジンカッターに使われる円形のダイヤモンドカッターは曲線の切断や構造物の解体などにはあまり適していない。
そこで、小回りの利くコンクリートカッターとして、海外の電動工具市場では台湾の電動工具メーカーLee Yeong Companyの工具ブランド「AGP Power Tools」では、チェーンソー形状のコンクリート切断可能な電動チェーンソー”CS11″を販売している。
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3200Wの高出力コンクリートチェーンソー “CS11”
欧州地域を中心に展開し、台湾を拠点とする電動工具ブランド「AGP Power Tools」が販売するのは、鉄筋コンクリートを切断できる高出力の電動チェーンソー”CS11″だ。
CS11は高出力3200Wのユニバーサルモーターを内蔵しており、専用のダイヤモンドチェーンと併用することで、鉄筋コンクリートの切断を可能にした電動チェーンソーだ。刃渡り330mmのブレードは最大切込み深さ300mmに対応している。
コンクリート切断にはエンジンカッターがよく使われるが、大型の360mmディスクを使用する場合でも最大切込深さは130mmに留まっている。”CS11″ではその2倍以上となる300mmまで切り込めるため、鉄筋コンクリートのくり抜きや窓開けなどエンジンカッターでは不可能だった作業も可能になる。
コンクリート切断のための独自機能
CS11は、コンクリート切断専用の電動チェーンソーとして、通常のチェーンソーには無い独自の機能が多数搭載されている。
湿式切断に対応するCS11では給水機能も備えており、ブレードの回転方向に水が噴き出る仕組みとなっている。また、ブレーキの部分には水準器も取り付けられており、水平直角切断時の目安としても使用できる。
電源環境を揃えるのは少し難しいが、必要とする現場も多いはず
電動工具としては破格のスペックの3200Wとなっているが、これを満たす電源環境を整えるのは、少し難がありそうだ。電源を取る場合には専用電源が必要になり、エンジン発電機の場合でも、単相200Vで4kW級の高出力発電機を用意しなくてはならない。だが、小回りの利くコンクリートチェーンソーを必要とする現場は多いだろう。
切込み深さ300mmはエンジンカッターには実現できないスペックであり、解体やリフォーム作業などで重宝する事も多いと推測される。特に、小さな窓開けなどではハツリによる作業を置き換える事が可能なため、作業時間の短縮なども期待できる。
日本でAPG Power toolsの製品を取り扱う代理店は「タックス株式会社」だが、残念ながらCS11の日本販売は行われていないようだ。ちなみに、エンジン式のコンクリートチェーンソーであればHusqvarnaのK970 II ChainやSTIHLのGS461などがコンクリート切断に対応したチェーンソーとして販売されている。