
チップソーの中には鉄を切断できる「鉄工用チップソー」があり、それを装着して金属板や金属棒材料を切断するのがチップソーカッターです。チップソーカッターによる金属の切断はディスクグラインダーよりも早く・綺麗に鉄を切断できます。
目次
チップソーカッターとは鉄を切断する丸のこ

チップソーカッターとは、金属用チップソーと呼ばれる円盤状の丸のこ刃を使用して金属の切断を行う電動工具の総称です。
チップとは刃の部分に取り付けられた超硬チップ(タングステンカーバイトなどの固い金属)は、超硬チップはダイヤとサファイヤの中間ぐらいの硬度を持ち、非常に硬くて摩耗に強い性質を持ちます。
超硬チップの付いたチップソーは通常の刃よりも切断性能に優れ、寿命が長い特徴を持っています。チップソーは形状や超硬チップの種類などによって、木工用・鉄工用・非鉄金属用など様々な種類があります。
チップソーカッターと丸のことの違いは?

チップソーカッターと同じような電動工具に丸のこがあります。丸のこは木材を切断する工具で木工用のチップソーを取り付けて使用します。鉄工用チップソーを取り付けるチップソーカッターと、木工用チップソーを取り付ける丸のことの違いは何でしょうか?
同じチップソーを使用する工具なのに、用途が分けられている理由には「耐久性」と「機能の違い」に理由があります。
構造的にはチップソーカッターも丸のこは同じ構造の製品なので、丸のこでも鉄工用チップソーさえ取り付けてしまえば鉄の切断は可能です。実際に切断を行うと、保護カバー切断くずによる熱で溶けてしまい、アルミベースは傷によって化粧材で使えなくなり、高すぎる回転数によってチップソーは早期消耗してしまうので、丸ノコでの鉄工作業はお勧めできません。
チップソーカッターは耐久性を持たせるため、刃物カバーの部分に金属プレートで覆われており、耐熱性の樹脂が使用されています。鉄材料は切断の金属くずが大量の熱を持つため、チップソーカッターは耐熱性の部品が使われています。
チップソーカッターでは鉄が焼けることを防ぐために、丸ノコより回転数が低く設定されており、一般的な丸ノコが約5000回転/分の回転数に対し、チップソーカッターは約4000回転/分に抑えられています。
どんな作業に最適?

チップソーカッターの用途は、ディスクグラインダーや高速切断機とほとんど変わりません。チップソーで鉄を切断する利点としては、火花が少ない・切断が早い・切断時の音が少ないなどが挙げられます。
チップソーカッターはその利点を生かして、火花が飛び散ってはいけない作業場でのパイプ・アングル材・板金の切断に使用されます。高い切断性能を持つので建築現場では、金属サイディングの切断や軽量鉄骨の切断にも使用されます。
鉄工用のチップソーは切断砥石よりもディスク一枚当たりの単価が高いため、チップソーカッターでなければいけない場合を除けば、グラインダーで鉄を切ることがほとんどです。
軟鋼材の切断も可能ですが、焼き入れ鋼はチップソーでは切断できないので注意してください。
チップソーカッターはできるだけ火花が出ないように切断するのがポイントです。火花を出すと材料に焼きが入ってしまい、超硬チップが早期摩耗してしまいます。力を加えすぎてモーターに過負荷をかけるのも厳禁です。

参考:高儀 EARTH MAN チップソー切断機 165mm CS-100TA
チップソーカッターの種類
AC電源ハンディ型 チップソーカッター

棒状鋼材・板材の切断、高出力で構造材の切断などに
充電式ハンディ型 チップソーカッター

棒状鋼材・板材の切断、コードレスで取り回しに優れる
定置型 チップソーカッター

棒状鋼材の切断、連続した切断作業などに
充電定置型 チップソーカッター

スタンドで充電を定置にした製品
ハイブリット型 チップソーカッター

スタンドに装着できるようにした製品
大型定置型 チップソーカッター

H鋼・ライニング管などの大物・高速切断
チップソーカッター 主なメーカー・ブランド
おすすめのチップソーカッター4選
チップソーカッターにも様々な種類があります。
モーターの違いや、取り付けられるチップソーの径の違いなど様々な製品があるので、チップソーカッターそれぞれのおすすめ機種を紹介します。
[定置型・AC電源] EARTH MAN CS-100TA
スタンドとバイスを搭載しているのが定置型のAC電源チップソーカッターです。
使い方や用途は高速切断機と大きく変わりません。切断速度が速く、切断面が綺麗なのが特徴です。
ハンディ型のチップソーカッターで太いパイプやアングル材を切断する場合には、材料でチップソーを挟み込んでキックバックを発生させてしまう場合があるため、定置型のチップソーカッターを使用すれば安全な状態で切断が可能です
製品名 | CS-100TA |
チップソー径 | 165mm |
最大切断径 | 丸パイプ:φ48.6 角パイプ:40×40 アングル鋼:50×50 チャンネル鋼:60×30 |
回転数 | 4,200min-1 |
電圧 | AC100V |
消費電力 | 650W |
質量 | 4.5kg |
発売年 | 2012年 |
[定置型・充電式] マキタ LC540DRF
定置型のチップソーカッターをバッテリー電源に置き換えたのが、マキタLC540DRFです。
充電式の可搬性と定置式の高精度切断を両立した高剛性構造により、様々な現場での金属切断に対応するチップソーカッターです。
製品名 | LC540DRF |
チップソー径 | 125mm |
最大切断径 | 丸パイプ:φ40 角パイプ:40×40 アングル鋼:40×40 |
回転数 | 3.600min-1 |
電圧 | 14.4Vバッテリー |
質量 | 5.5kg |
発売年 | 2008年 |
[充電式] 125mmチップソーカッター HiKOKI CD3605DA
コードレスのチップソーカッターでありながら、ブラシレスモーターの搭載によってAC電源式にも劣らない切断性能を持たせたのがHiKOKIのCD3605DAです。
切断スピード1.5倍・キックバック軽減システムを実現しており、作業効率と安全性を両立させたチップソーカッターです。
HiKOKI独自のサイレントモードも搭載しており、切断時の回転数を調整することで騒音を抑えることもできます。
製品名 | CD3605DA |
チップソー径 | 110~125mm |
最大切込み深さ | 46mm |
回転数 | 3,600min-1 |
電圧 | 36Vマルチボルト |
質量 | 2.9kg |
発売年 | 2019年 |
[充電式] 180mmチップソーカッター HiKOKI CD3607DA
大型の180mmのチップソーカッターを使用できるのがHiKOKIのCD3607DAです。
AC電源のチップソー並みの1,480Wの最大出力を持ち、切断スピードも約10%の向上を実現しており、コードレスのチップ―カッターとしては業界トップクラスの切断性能を持っています。
高い切断性能によりパイプやアングル材の切断以外にも、構造材の切断や解体工事まで幅広い現場で使用できるチップソーカッターです。
製品名 | CD3607DA |
チップソー径 | 180~185mm |
最大切込み深さ | 60.5mm |
回転数 | 3,700min-1 |
電圧 | 36Vマルチボルト |
質量 | 4.5kg |
発売年 | 2019年 |
おススメのチップソーは?
鉄工用チップソーは販売店などに聞いても「これだ!」というメーカーはありません。メーカー毎の差はほとんどないようです。
鉄工用チップソーのサイズはハンディ型が125mm、定置型が165mm、180mmのサイズが一般的です。
チップソーは切断砥石の様に自生作用がないため、超硬チップが消耗した時点で切断できなくなります。超硬チップを研いで再利用する方法もありますが、手間とコストに見合わない事も多く、一般的には新品のチップソーを買いなおした方がいいようです。
ディスクグラインダーまとめ
使える材料 | 鉄・ステンレス・アルミ・木材 |
使える形状 | 板金・パイプ・Cチャン・軽量鉄骨 |
利点 | 切断スピードが速い・火花が出ない・切断面が綺麗 |
欠点 | チップソーの価格が高い |