電動・エア工具を製造・販売する工機ホールディングス株式会社(本社:東京都港区)は、電動工具ブランド HiKOKI(ハイコーキ)からコードレスマルチツール CV18DAを2023年10月18日(水)より全国の電動工具取扱販売店などを通じて発売する。希望小売価格は41,200円(税抜)
目次
HiKOKI コードレスマルチツール CV18DA
電動工具ブランド HiKOKIを展開する工機ホールディングス株式会社は、コードレスマルチツール CV18DAを2023年10月18日(水)から発売します。
CV18DAは、従来モデルCV18DBLから約9年ぶりのモデルチェンジとなるコードレスマルチツールです。
3.6°振動角よって従来モデル比で約2倍の切断スピードを実現しながらも、振構造により無負荷振動値を約90%低減しており、小型ブラシレスモーターの採用で軽量化と細軽ハンドルによって取りまわしも向上したモデルです。
OIS準拠のブレード取り付け構造を備え、37種類の先端工具を付け替えることで、面一切断・ポケット切断・剥離・研磨など、用途に合わせて様々な作業に対応できます。
販売仕様は、バッテリー充電器が付属する(XPZ)と本体のみの(NN)で展開します。
- CV18DA(XPZ) 蓄電池BSL36A18BX・充電器UC18YDL2・ケース付 希望小売価格78,600円(税抜)
- CV18DA(NN) 本体のみ 希望小売価格41,200円(税抜)
製品仕様 (従来モデル CV18DBL比較)
製品名 | CV18DA | CV18DBL |
---|---|---|
外観 | ||
ブレード規格 | OIS | OIS |
振動角 | 3.6°(左右1.8°) | 3.2° |
無負荷振動数 | 6,000~20,000min-1(回/分) | 6,000~20,000min-1(回/分) |
動作電圧 | 18V | 18V |
重量 | 1.9kg | 2.0kg |
寸法 | 341×122×87mm | 307×122mm |
本体価格 | 41,200円(税別) | 37,100円(税別) |
販売年月 | 2023年10月 | 2014年 |
製品の特徴
「切断スピードが従来製品比較で2倍以上」
CV18DAは、2014年に発売したCV18DBLから約9年ぶりのモデルチェンジとなる製品です。
ブレードの振り角が3.6度に拡大したことで高速切断を実現しており、従来モデル CV18DBL比較で切断スピード約2倍以上に向上しました。
防振構造により無負荷振動値を約90%削減
内蔵された機構部と外側のハウジングを、クッション性のあるやわらかいゴムで絶縁する構造となっており、機構部から発生する振動を低減しました。
握り部周長133mmで握りやすいボディ
小形ブラシレスモーターを採用し、モーターが小さくなったことで、軽量化を実現しました。また、モーターが短くなったことで、ハンドルが細くなり、握りやすくなりました。
ブレード取り付け構造はOIS準拠
先端ブレードはOISに準拠、37種類の先端工具を付け替えることで、面一切断・ポケット切断・剥離・研磨など、用途に合わせて様々な作業に対応できます。
STARLOCKブレードにも対応するので社外品のOIS/STARLOCKブレードも装着できます。
ちなみに、STARLOCK PLUSとSTARLOCK MAXブレードは、取り付け穴構造が異なるため装着非対応です。
LEDライトでブレード先端を照射
ブレードの先を明るく照らすLEDライトを搭載。
他社マルチツールとの比較
マルチツールCV18DAの競合製品としては、マキタ TM52Dと京セラ DMT11XRが挙げられます。
日本市場においては、マキタだけではなく京セラもスターロック対応のマルチツールを展開したことから、HiKOKIマルチツールもスターロック対応モデルになることが期待されており、さらに競合他社に対して後発となった点から、36V仕様の高出力製品になることを期待していた方も多いと思います。
正直、今回のOISブレード採用18Vモデルは若干期待外れ感もあります。
とは言え、18V OISブレード構成でもSTARLOCKに近い作業性を確保することは可能であり、実用的に18V動作でも求められる性能を得ることは不可能ではありません。
今回のHiKOKI マルチツールのモデルチェンジに関しては、純粋な性能向上面を見てから評価するのが正しいものと考えています。2倍くらいのスピード向上であれば、マキタ TD52Dくらいの作業スピードにはなっているものと予想しています。
製品名 | CV18DA | マキタ TM52D | 京セラ DMT11XR |
---|---|---|---|
外観 | |||
ブレード規格 | OIS | STARLOCK MAX | STARLOCK MAX |
最大切断径 | 3.6°(左右1.8°) | 3.6°(左右1.8°) | 2.8°(左右1.4°) |
無負荷振動数 | 6,000~20,000min-1(回/分) | 6,000~20,000min-1 | 10,000~20,000min-1 |
動作電圧 | 18V | 18V | 18V |
重量 | 1.9kg | 1.9kg | 1.9kg |
寸法 | 341×122×87mm | 299×80×120mm | 322×95×126mm |
本体価格 | 41,200円(税別) | 35,700円(税別) | 40,600円(税別) |
販売年月 | 2023年10月 | 2021年02月 | 2021年6月 |
期待と少し異なる製品仕様だが性能面での期待値は高い
日本国内においては、本元のボッシュを筆頭としてマキタ・京セラなどの有力電動工具メーカーがSTARLOCKに参画したことから、マルチツールのパワーを上げるためにはSTARLOCK MAXブレードが必須なイメージが強く持たれています。
しかし、海外ユーザによるレビュー動画ではOISを採用しているミルウォーキーマルチツールが最も切断能力に優れていると評価しており、スターロックブレード構造と切断スピードの相関性については、イメージ戦略の影響を受けて実際の切断性能に大きな違いは無いのかもしれません。
工機HDの従来マルチツール CV18DBLは、海外の評価において業界内で最も低い性能を持つとの声があったようです。今回のCV18DAその評価を覆すために、性能向上を目指す動きがあったと考えられます。
さらに、OISブレード構造を採用したままの製品開発が行われた背景として、海外市場ではOISの亜流のマルチツールブレードが普及しているために、OISブレード構造のままにしたい意図があったのではないかと思われます。
話は少し逸れますが、発売告知から販売開始までの時間差が2ヶ月もあるのは珍しいケースと言えます。工機HDの新製品に関しては、情報公開と同時または短期間での販売開始が一般的であるため、発売2ヵ月前から発売を予告するのは珍しい事態と言えます。
これは筆者の憶測ですが、CCO広報動画でCV18DAを扱っていたのが早期情報公開に至った原因と予想しています。本来、8月あたりの発売予定だった製品だったと思うのですが、何らかのトラブルで10月発売にずれ込んでしまいながらもCCO広報動画側の都合で公開時期を後退することができなかったために、発売2ヵ月前からの販売告知を行わざるを得なかったものと考えています。
仮にこれが正しいとするなら、広報の先走りによって製品発売のスケジュールに影響を受けたという状況は企業運営の観点からはあまり望ましいものではないと言えます。
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2021年2月発売
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