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HiKOKIマルチボルトが走り出す、海外ユーザーが電動工具バッテリーで動く電動ミニバイクを製作

HiKOKIマルチボルトが走り出す、海外ユーザーが電動工具バッテリーで動く電動ミニバイクを製作

本記事は、海外地域のユーザーの製作活動を紹介するものです。工機ホールディングス株式会社およびHiKOKI取扱店へのお問い合わせはお控えください。

HiKOKI コードレスアングルドリル D36DYAが電動ミニバイクに

電動工具はモーターとバッテリーを搭載する製品なので「改造すれば電動バイクが作れるかも」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。とは言え、電動工具から本格的な電動バイクを作るとなると、フレームの設計や電動工具の装着設計が必要になるので、実際にやるとなるとちょっと敷居は高くなります。

それを実際に形にしてしまったのが、ニュージーランドでミニバイクの製造販売を行うティム・オコナー氏(Instagram : hustler_minibikes_nz)です。同氏はHiKOKI コードレスアングルドリルで動く電動バイクの制作過程を公開しました。

エンジンのかわりにHiKOKIアングルドリル D36DYAを搭載。

D36DYAマウントでミニバイクフレームに装着

今回の電動バイクの動力源となる製品は、HiKOKI コードレスアングルドリル D36DYAです。この製品は日本でも入手でき、電動工具取扱店やネットなどで購入できます。

ティム氏は、このコードレスアングルドリル D36DYAを電動バイク用の動力源として搭載できるように、バイクフレームのマウントを製作するところから始めました。

CNCプラズマカッターで土台となる金属のベースを切り出し、鉄パイプを溶接してD36DYAをマウントを製作しています。

ギア周りの接続アタッチメントも製作

D36DYAの回転をタイヤに伝える機構部は、市販のスプロケットが装着できるアダプタの製作で対応しています。

ワンウェイベアリングを装着できるアダプタを旋盤で削り出して、スプロケットを装着してチェーン駆動でタイヤを回しています。

旋盤でD36DYAとスプロケットを装着するアダプタを製作。
D36DYA用のスプロケット装着アダプタ
チェーンとタイヤを取り付けて実際に稼働。もうこれだけで走り出せそうな状態。

スロットル周りは3Dプリンタで部品を造形、トリガ操作と連動

操作周りの部品は、トリガーの引き量を調節する3Dプリンタ製の樹脂部品で実現しています。

普通のバイクと同じようにスロットルの操作とトリガースイッチの引き量が連動するので、スロットルを回せば走行スピードなどを速くする操作も可能にしています。

スプロケット周りのトリガーパーツは3Dプリンタで造形している。

マルチボルトバッテリー3つ装着仕様で走行量も確保

今回の電動バイクで気になるのが1充電当たりの走行量ではないでしょうか。

ホンダが2023年5月に発売した電動二輪車 EM1eはバッテリー容量 1,300Whで最大53km走れる仕様のようなので、HiKOKI BSL36B18バッテリー1つあたりのバッテリー容量が144Whとした場合、走行効率が少し劣ると考えると、バッテリー1本で大体4~5kmくらいの走行量になると予想されます。

この走行量では満足できないと思ったのか、ティム氏は1充電当たりの走行量不足を補うべくマルチボルトバッテリー3本装着カスタムにも挑戦しました。

マウントに金属パーツを取り付けて、マルチボルト対応製品のターミナルを装着してバッテリーを2本追加で装着できるようにしている。

バッテリー3本装着すれば10km程の走行量は安定して確保できそうなので、街乗り用途としてなら十分活用できそうです。

金属加工や3Dプリンタを駆使すれば電動工具でバイクを作れる!

電動工具のライトユーザーとしては、電動工具バッテリーを装着できるEVバイクの登場に期待している方も多いのではないでしょうか。

ティム氏のHiKOKi電動バイクメイキングは、電動バイク製作で行った色々な工程を細かく公開しているので、このメイキング動画を参考に3Dプリンタや金属加工に対する知識を活用すれば自分だけの自作電動バイクを作ることも不可能ではないかもしれません。

とは言え、電動工具はあくまでも作業を行うための製品なので、モビリティ用途として適しているわけではない点には注意が必要です。例えばティム氏が試走しているムービーでは確かに問題なく走行できているように見えますが、トリガスイッチを推した瞬間のモーター始動時の勢いが強すぎてウィリーしそうになっているシーンもあります。

ちなみに、このミニバイクプロジェクトはHiKOKI New Zealandも把握しているようで、HiKOKI NZ公式SNSアカウントが応援しているポストもあります。とは言え、ニュージーランド地域のHiKOKIブランドの展開はAccent Tools社による現地代理店方式であり日本の工機HDが直営しているわけではないため、この辺りは少し複雑だったりします。

今回紹介した電動ミニバイクは非常にクオリティ高い製品で購入できるのかなどが気になるところですが、ティム氏は販売を想定している訳ではないようです。仮に購入できてもオフロードやレーストラックでの使用を想定した製品なので公道での走行はできないのですが、ハイコーキユーザーとしては1度は乗ってみたい電動バイクと言えそうです。

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