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2022年5月15日

工機HD(旧 日立工機)、遠心分離機事業「himac」を独エッペンドルフ社へ譲渡

工機HD(旧 日立工機)、遠心分離機事業「himac」を独エッペンドルフ社へ譲渡

電動工具、遠心分離機を開発・販売する工機ホールディングス株式会社は、2020年3月18日に工機ホールディングスの遠心分離機事業と“himac”ブランドを エッペンドルフ社への譲渡に合意したことを発表した。工機ホールディングスは技術開発、製品開発を一層加速すべく集中投資し、電動・エア工具などを中心とした総合パワーツールメーカーとしてグローバルでのリーディングカンパニーへの成長を目指します。

本記事は、当サイトの業界研究や独自視点に基づく記事です。本記事について工機ホールディングス株式会社、エッペンドルフ社日本法人、その他関係会社へのお問い合わせはご遠慮下さい。

工機HD 遠心分離機事業「himac」を独エッペンドルフ社へ譲渡

日立子機遠心分離機事業、エッペンドルフへ譲渡

電動工具、遠心分離機を開発・販売する工機ホールディングス株式会社は、2020年3月18日に工機ホールディングスの遠心分離機事業と「himac」ブランドを エッペンドルフ社への譲渡に合意したことを発表しました。

日立工機遠心分離機himacシリーズ

電動工具メーカーの印象が強い日立工機(現 工機HD)ですが、1954年には遠心分離機の事業を開始しており「himac」ブランドとして遠心分離機の展開を進めています。製品ラインナップも広く、研究室用の卓上遠心分離機から生産用の連続式遠心機まで備えています。

今回の譲渡先となるエッペンドルフは、世界中の研究所で液体試料および細胞工学のための機器や消耗品とサービスの開発・販売をする大手ライフサイエンス企業です。エッペンドルフはドイツのハンブルグで1945年に創業しました。現在世界に3,500名を越える従業員を擁しています。同社は26か国に拠点を構え、その他の主要市場では代理店が事業を推進しています。

2020年7月1日付で遠心分離機ブランドhimacと遠心分離機事業はエッペンドルフに譲渡され、新会社「エッペンドルフ・ハイマック・テクノロジーズ株式会社」に事業継承されました。

独eppendrf社は1945年に医療機器メーカーとして設立されたライフサイエンス機器製造企業
今回、事業譲渡される「遠心機」の他にも「実験用消耗品」「細胞処理用機器」などライフサイエンス研究の幅広い機器の製造・販売を手掛ける。

電動工具事業には影響なし、経営資源を電動工具へ集中

今回の遠心分離機事業の譲渡に関しては「HiKOKI」ブランド 電動工具事業への影響が懸念されますが、遠心分離機の生産工場・販売ルート等は電動工具事業と独立していると考えられるため、今後の経営に大きな影響はないと予想されます。

KKR傘下以降、工機HDは「マルチボルトシリーズ」以外の主要な電度工具新シリーズのリリースを行っておらず、肝心のマルチボルトシリーズそのものも新製品の開発が息切れ気味で、電動工具事業への集中投資による新たな電動工具シリーズの開発やサービスの展開が期待されます。

遠心分離機事業は工機HD全体売上高の約5%

大きな影響が予想されるのは工機HD全体の売上高ですが、2018年3月期の事業別売上構成では全体売上高の95%が電動工具事業で構成されており、遠心分離機事業(ライフサイエンス機器)は5%程です。

売上構成比で見る限り、工機HDの売上高に大きな影響はないものと予想されます。

日立工機、過去には「プリンタ事業」も譲渡

97年発売の日本語レーザプリンタ Typhoon24シリーズ

過去の日立工機は「電動工具事業」「遠心分離機事業」の他に「プリンタ事業」も保有していました。

1990年代までの日立工機は、これら3事業による順調な経営体制が続いていましたが、プリンタ事業強化の一環として1990年にコンピュータ周辺機器メーカー「米Dataproducts社」の買収と直後のバブル崩壊による経営危機の影響を受け、2002年にプリンタ事業を分社化・日立製作所プリンタ事業部門と統合、2004年にリコー株式会社へと売却しています。

日立工機時代のプリンタ製造工場は、現在も工機HD勝田工場敷地内で「リコーインダストリー株式会社」として操業が続けられています。

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