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現在、スマート工具や工具アプリの分野で先行しているのは海外工具メーカーですが、過去にはマキタもアプリ開発を行っていた時期がありました。今回はマキタがリリースしているスマホアプリについて紹介します。
目次
Makita Mobile Tools
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マキタ製モバイルアプリの中で最もダウンロード数が多いのが「Makita Mobile Tools」です。
アプリそのものはマキタの電動工具とほとんど関係ありません。水準器・サウンドレベルメーター・ライト・距離・尺度など、現場の職人が使用するツールをスマホ上で使用できるようにしたアプリです。2010年代初期に乱立した、スマホの機能を使ったお手軽現場アプリのマキタ板と言えるでしょう。
残念ながら、このアプリは対象地域が海外となっており、日本国内での端末によるインストールには対応していません。また、最終更新も2017年12月がラストアップデートとなっており、リリース以降主だったアップデートは行われていません。
Makita Industry, Makita Tools
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NFC(近距離無線通信)を使用して電動工具の管理を行うアプリが「Makita Industry」と「Makita Tools」です。
このアプリは2016年にリリースされたアプリですが、詳細不明で対応製品も不明です。恐らく、マキタの産業用グレードの製品の管理に使用するアプリと推測されます。
Makita Timer
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以前、当サイトで紹介したマキタのバッテリー管理アダプターBPS01で使用するバッテリー管理アプリが「Makita Timer」です。
スマホ上でバッテリーの使用期限を指定してNFCで書き込みでバッテリーにロックをかけたり、バッテリーにPIN(暗証番号)やユーザーネームの設定、その確認などを行えるようにするアプリです。マキタバッテリーの貸出運用などに活用できます。
アプリの日本語化も行われていますが、残念ながら、日本国内ではBPS01が販売されていないためアプリも使用できません。
マキタバッテリーの盗難防止!「Sync Lock」が切り開く新しい工具管理の形|US Makita製品紹介
KEY COMP
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日本国内で唯一正常に使用できるアプリが「KEY COMP」です。このアプリは、近距離無線通信(NFC)を使ったセキュリティー機能を搭載するコンプレッサーAC561XLK/AC461XKLBにロックを掛けるアプリです。
通常のコンプレッサーのロック機能は、セキュリティーキーシールを使ってロックを管理しますが、このKEY COMPアプリを使用すればスマホをセキュリティーキーとして使用できるようになります。
150円の有料アプリですが、最終更新が2013年の11月と古く、最新のAndroidOSには未対応などの様々な不具合が発生しているようです。現在のマキタはNFC搭載コンプレッサーを展開していないため、今後の不具合対応やアップデート等は行われないと推測されます。
マキタ製品&営業所紹介アプリ
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アプリでも先行する海外メーカーと、単発で終わる国内メーカー
マキタが積極的にアプリ開発を行っていたのは、2010年代の前半から中盤までの間で、それ以降はアプリの開発はほとんど行っていません。マキタ以外のメーカーなどでは、MAXもコンプレッサーの制御アプリを開発していますが、大きなアップデートは行われておらず、アプリの開発自体が当時のアプリブームに乗っただけでした。
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その一方で、海外工具大手3ブランドの「DeWALT」「Milwaukee」「BOSCH」の3社は現在もアップデートを重ね、着実にアプリの使い勝手の改良を進めています。これらのメーカーは、アプリと電動工具の連携機能を強化しており、操作性の改善アップデートを毎月のように行っています。現在の国内と海外の工具メーカーでは、このような「アプリ」に関連するソフトウェア分野で大きく差が開いている状態になっています。
工具のアプリは必ずしも重要なものではなく、未だ「あれば便利」程度の域を出ていません。アプリのようなソフト分野は工具市場で採算の取れるサービスになり難く、例え技術的に大きな差があったとしてもシェアの差に繋がる事は無いと言えるでしょう。ですが、今後革新的なサービスが生まれ、電動工具でアプリを活用したサブスクリプションやアプリ・Webサービスに依存する市場が成立した瞬間、日本メーカーは海外メーカーに大きな差を付けられてしまうのかもしれません。
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外部リンク:6.7 App Update: Procore Integration + Sewer Drum Machine | ONE-KEY NEWS | Milwaukee