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リョービ 第114回定時株主総会レポート【2026年3月26日開催】+ KIT本社を散策

リョービ 第114回定時株主総会レポート【2026年3月26日開催】+ KIT本社を散策

リョービ株式会社の株主総会に出席

2026年3月27日(木)開催の株式会社マキタ 第113回株主総会に出席しました。

リョービ第114回株主総会は、府中市商工会議所会館(広島県府中市)で行われました。会場は商工会議所会館2Fにある会議室で開催されました。

出席人数は40人ほどで、開始時間は10時00分、終了時間は10時40分の株主総会でした。

有価証券報告書 香港TTI株保有の目的を聞くために株主総会に出席

今回、リョービ株式会社の株主総会に参加した目的は、リョービが香港TTI社の株を保有する目的について質疑応答するためです。

事の背景から解説すると、ダイカスト・建築用品を製造販売するリョービ株式会社は2000年に香港TTI社に北米地域における電動工具ブランド RYOBIの売却と商用許諾を行っています。その後、2018年に国内の電動工具事業も京セラへの売却することによって、リョービ株式会社は電動工具事業を完全撤退しています。

その後、リョービ株式会社は2024年12月期の有価証券報告書の株式の保有状況で突如、香港TTI社の株式の保有を報告しており、その中で「購買・技術連携により当社の事業発展・企業価値向上に繋げる」とする記載を行っています。

香港TTI社は、北米を中心にDIY向け電動工具を展開するRYOBIブランドのほか、プロ向け電動工具として全世界で高いシェアを持つMilwaukeeブランドも展開する世界2位の電動工具メーカーです。

リョービ株式会社と香港TTI社は、RYOBIブランドのロイヤリティ収入による継続的な商取引関係は持つものの、日本国内における電動工具事業を京セラに売却した後に香港TTI社の株を保有することは何か動きがあるのではないかと思い、経営層に直接質疑応答できる株主総会で実態を確認することにしました。

株主質疑応答:株式の保有状況について

報告事項と決議事項の後の質疑応答で上記の内容を元に質問した内容がこちらです。

Q, 2024年12月期の有価証券報告書より、北米と中心に電動工具ブランドを展開する香港TTI社の株式を保有し、購買・技術連携を行うと記載しているが、この株式保有による連携についての具体的な取組について教えて欲しい(筆者質問)

A, 建築用品のドアクローザーなどのアクセスソリューションの製品ではオセアニアを中心に香港TTI社による販売を行っている。また、同社が持つモータ技術など電気分野での支援を受けている(回答:経営企画本部 本部長 藤井氏)

A,香港TTI社の株はロイヤリティの関係から象徴的に保有する側縁も持つ。将来的にはダイカスト分野でのバッテリー方面でのシナジーも想定している(補足回答:代表取締役 浦上氏)

質疑応答の結果から、電動工具事業の再参入は無いと想定

と言うわけで、質疑の回答としては「リョービが展開する建築用品をTTI販路でも販売しているため」との内容でした。技術支援についても、電動式ドア開閉装置 RUCADシリーズを販売しているため、その辺りのバッテリーやモータ制御の技術開発にTTIが関わったのかもしれません。

正直なところを言ってしまえば、電動工具事業を京セラに譲渡し、その後の国内RYOBIブランドの貸与が終了した段階で香港TTI社と密接に連携し、北米で展開するTTI RYOBI電動工具の国内展開による電動工具事業への再参入を行う可能性も考えていたのですが、恐らく無いのではないかなと思っています。

浦上氏の発言の「象徴的」の意図は、昨今のTTI社の売上増加によるRYOBIブランドのロイヤリティ支払額の増加が遠因になっているのではないかなと思っています。有価証券報告書の内容を見ると、リョービに害するロイヤリティ支払の額が増加しており、TTI社側のレポートでもRYOIブランドにおける売上拡大を報告しているため、ロイヤリティ増加について株式保有で融通してほしい、的な企業間の話があったのかもしれません。

ちなみに、筆者は昨年夏にミルウォーキーツール・ジャパン様のお誘いで北米Milwaukee工場に訪問しており、その際にTTI社CEOのSteven Philip Richman氏ともお会いさせて頂いたのですが、惜しむべきはリョービのTTI株保有に気付いたのが北米訪問後だったので、TTI社側からの確認はできませんでした(ただしお会いしたのは業務外のアテンド中であり、ミルウォーキー訪問の名目でRYOBIの事を聞くのは不躾なので結局は聞かなかったかもしれません)

WASABI CHANNEL 黒岩氏とTTI CEO Steven Philip Richman氏のセルフィ―(24:25~)

さて、今後のリョービの株価的な話として、香港TTI社との協力による海外展開や技術協力がさらに進んだとしても、リョービ株式会社の売上の大半はダイカスト事業によるものであり、建築用品事業の展開が大幅に進んだとしても株価への影響は極わずかに収まるものと考えられます。

また、ダイカスト方面でのバッテリー技術開発のシナジーについても、香港TTI社が強みを持つのは電動工具バッテリーのような樹脂ケースの小型バッテリーパックの分野であり、リョービが現状で強みを持つEV向けのダイカストバッテリーケースへの適用は難しいと考えています。この辺りは逆に香港TTI社がリョービのEV向けバッテリーケースのダイカスト技術を欲しがる可能性も0ではありませんが、筆者の見えている範囲ではあり得たとしても相当先の話だと想定しています。

リョービの売上に関してはダイカストが主力の事業であり、その主要販売先は自動車産業であるため、今後の動向として原油価格やEV・PHVなどの動向に大きく依存するものと想定しています。とは言え、株主総会で自動車産業だけではなく、ロボットや構造部材・宇宙産業などの分野でもダイカストを展開する取組も行っているとのことで、そのあたりの新分野での拡大に期待したいところでしょうか。

福山ついでに京セラインダストリアルツールズ本社を見てみる

リョービの株主総会は広島県府中市で行われており、その最寄り新幹線駅は福山駅です。そんなわけで、リョービ株主総会の帰りに福山駅から徒歩20分ほどにある京セラインダストリアルツールズ(以下、KIT)の本社も見てみることにしました。

KIT本社の周りを眺めていて「R&Dや生産拠点っぽくない建屋だなあ」と思っていたのですが、Googleマップで京セラインダストリアルツールズ本社の過去の写真を見てみると、元々は家電チェーンのDEODEO(現エディオン)の店舗を回収したものだったようです。

2011年頃の建屋の様子。元々は家電量販店の店舗だったようだ。

建屋正面のフェンス越しにエントランスを覗いてみたのですが、警備員窓口などは見当たらず製品の展示物などもなく、打合せ・待機スペースも細やかな印象であり、駐車場を見回しても来客用スペースや実際に訪問している取引先の車なども見かけなかったため、来客などはそこまで活発ではない拠点なのかもしれません。

筆者の認識として、現在のKITは、既存電動工具市場に対する売上拡大策が諦め気味な印象を受けています。

京セラブランドに変わったことで、一時期は家庭向けの黄色いコードレス園芸機器が各ホームセンターや家電量販店に並んでいた記憶もありますが、最近はホームセンターの陳列棚面積が少なくなっており、マキタやホームセンターのPBブランドに押されている印象があります。

また、DPバッテリーやPowerシリーズも国内市場におけて普及しているかの印象が薄く、RYOBIブランドから離れたことによる京セラ本体主導による海外展開も成功とはいえない状態です。あとは、数年前まではYouTubeの秀久チャンネル上でKIT社員による露出もよく見かけて印象に残っていましたが、最近はそれもめっきり減ってしまったので、営業所単位でも元気がなくなってしまったのかなと思っています。

現状の売上成長の実態としては、ワークウェアを販売するバートルのバッテリー・ファン製造に依存している状態であり、恐らく京セラ本体としてもバートルのバッテリー販売で伸びている子会社であるという認識を持っているのではないかなと思っています。このあたり、現在の京セラはLシリーズによる工場向け高周波工具の乗り換えを進めており、その辺りがどこまで伸ばせるかが今後の転換点になると考えています。

ちなみに、話は逸れますがこの記事を書いている時にバートルの新本社が2026年に福山駅前に移転完成していたことを知ったので、そちらも見て回ればよかったなとちょっと後悔しています。

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