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TRUMPF(トルンプ)日本で充電式パワーツールを取扱開始、metaboCAS上陸となるか

TRUMPF(トルンプ)日本で充電式パワーツールを取扱開始、metaboCAS上陸となるか

ドイツに本社を置く工作機械メーカー TRUMPF(トルンプ)の日本法人であるトルンプ株式会社(横浜市)は、公式Webサイト上で同社が展開する充電式パワーツール TruToolシリーズの日本語掲載を行った。同シリーズは独metabo社の展開する共通バッテリー規格 CASに対応する電動工具であり、国内展開が行われればCAS初の日本上陸シリーズとなる。

TRUMPF(トルンプ)日本法人、コードレスパワーツールを展開

ドイツに本社を置く工作機械メーカー TRUMPF(トルンプ)の日本法人であるトルンプ株式会社(横浜市)は、日本向け公式サイト上で同社が展開する充電式パワーツール TruToolシリーズの日本語掲載を行いました。

同社のTruToolシリーズは、充電式バッテリーで動作するニブラシャーなどの板金加工を中心とした製品ラインナップを揃えた電動工具シリーズで、独metabo社の提唱する共通バッテリー規格 CAS(Cordless Alliance System)に対応しているのが特徴です。

CASの参画企業は欧州を中心に2021年現在で25社を超えており、ラベルプリンタや電動釘打ち機などメーカー間を超えた共通バッテリーを実現しているのが特徴のバッテリーシリーズです。

metabo CASに対応する充電式電動工具の日本市場への正式展開はTRUMPF社の製品が初と考えられ、プロ向け用途の充電式電動工具シリーズとして最も先進的かつユーザーフレンドリーであるバッテリー共通規格のCASシリーズの本格的な日本上陸に期待されます。

TruTool LiHDシリーズ概要

TRUMPF社のパワーツールは、板金加工に使うニブラ・シャー中心の製品を展開しているブランドです。

日本国内のメーカーが販売する充電式の板金加工機は、需要の小ささから種類も少なく、低価格なモータボディを採用したディスクグラインダ転用製品が主流ですが、TRUMPF社の製品はブラシレスモーターを採用や小型の12Vモデルも数多く展開するなど、国内ブランドの充電式板金加工工具とは一線を画す製品ラインナップを展開しているのが特徴です。

バッテリーこそmetabo CASとなるので日本国内において特殊な立場にいる欠点こそありますが、その本体性能においては世界有数トップクラスの充電式板金加工機であり、まさにmetabo社のCASの理念とバッテリー技術は無くても機械加工機に強みを持つそれぞれの企業の利点を掛け合わせた要注目の製品と言えるでしょう。

12Vシリーズ:TruTool S 160 LiHD シャー

TruTool S 160 LiHD

  

12Vシリーズ:TruTool S 114 LiHD シャー

TruTool S 114 LiHD シャー

12Vシリーズ:TruTool C 160 LiHD スリッティングシャー

TruTool C 160 LiHD スリッティングシャー

12Vシリーズ:TruTool C 160 LiHD スリッティングシャー(チップセパレータ)

TruTool C 160 LiHD スリッティングシャー(チップセパレータ)

12Vシリーズ:TruTool N 160 LiHD ニブラ

TruTool N 160 LiHD ニブラ

12Vシリーズ:TruTool N 160 LiHD ニブラ(ロング)

TruTool N 160 LiHD ニブラ(ロング)

18Vシリーズ:TruTool S 250 LiHDシャー

TruTool S 250 LiHDシャー

18Vシリーズ:TruTool C 200 LiHD スリッティングシャー

TruTool C 200 LiHD スリッティングシャー

18Vシリーズ:TruTool C 250 LiHD スリッティングシャー(チップセパレータ)

TruTool C 250 LiHD スリッティングシャー(チップセパレータ)

18Vシリーズ:TruTool N 200 LiHD ニブラ

TruTool N 200 LiHD ニブラ

18Vシリーズ:TruTool PN 200 LiHD ニブラ

TruTool PN 200 LiHD ニブラ

18Vシリーズ:TruTool PN 201 LiHD ニブラ(ロング)

18Vシリーズ:TruTool PN 201 LiHD ニブラ(ロング)

18Vシリーズ:TruTool TF 350 LiHD ファスナー

TruTool TF 350 LiHD ファスナー

metaboCASの日本到来は歓迎、工機HDはどう対応するか

今回のTRUMPF社の動向に対して、CASを展開する独metabo社の親会社にあたる工機HD(HiKOKI)がどのように動くか注目です。

工機HDはmetabo社の親会社に当たる企業なのでmetaboに対して直接意見でき、事実上metaboブランドの日本展開を止めている立場にあります。しかし工機HDはCAS参画企業に対してまで日本向けの製品展開を差し止める権利はありません。(ライセンス契約上、日本展開や工機HDの方針に従う構文が無い場合に限る)

今回のように欧州のCAS参画企業や取扱を望む商社が表れた場合、工機HDはそれらのCAS参画企業に対して、日本展開を拒否できるような正当性はないと考えています。(ただしmetabo社側が自主的に日本市場展開を避けたり採算性の問題から日本規格取得を避けているケースも予想されます)

もちろんCASの根幹となる充電器やバッテリーをmetabo社の製品に依存している関係上、日本市場において新たな競合の登場を快く思わない工機HDが親会社の権利を行使すれば日本のCAS普及を拒むことは可能です。

ただしmetabo社の本社がある欧州市場はHiKOKIブランドとmetaboブランドは競合する電動工具ブランドです。欧州市場でmetabo CASの活動を工機HDが黙認していた以上、日本市場だけ特例としてユーザーや販売店のニーズを無視してまでCAS参画製品の排他を行ってしまうのは工機HDの理念と矛盾することになります。

もしユーザーの要望に対しCASの日本展開を拒否するのであれば、それは「ユーザーニーズに適合したイノベイティブで、高性能、高品質、かつ顧客満足度の高い製品およびサービスを広くグローバルに提供する」を掲げる工機HDの理念に反するものであり、metabo OEM製品や日東工器の事例のようにHiKOKIブランドとしてマルチボルト対応した日本市場対応品のOEM販売を進めるのが道理となります。

公式サイトを見る限り、充電器やバッテリーに対する規格やマニュアル整備が完了していない節もあり、規格申請や書調整中の状態にあると予想されます。その最中にお膝元の日本市場だからと言ってCAS参画企業の日本活動を差し止めて販売中止になる事態だけは避けてほしいところでしょうか。

HiKOKIのスライド10.8Vシリーズ (左)2021春カタログ (右)2021冬カタログ
工機HDはスライド10.8Vシリーズに関して製品拡充を進めておらず、子会社のmetaboが12VバッテリーでCAS 12Vの展開を始めたのなら、そちらに統合してしまうのが合理的ではないだろうか。
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