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2023年9月12日

USB PD充電器をフル活用!PDトリガケーブルで色々な機器を動かす

USB PD充電器をフル活用!PDトリガケーブルで色々な機器を動かす

スマホ充電だけじゃない!USB PDをフル活用できる使い方

当サイトではUSB PD機器について度々解説や機器の紹介を行っていますが、今回は、より具体的なUSB PDの活用方法を紹介します。

USB PDとは最近のノートパソコンやスマートフォンの充電に採用されているUSB規格の給電規格です。これまでのUSB急速充電と異なり、USB規格を定めるUSB-IFによって規格化された規格なので、メーカー差による仕様の違いが無く汎用的な給電規格として利用できます。

USB PDは複雑な規格なので詳しい説明は避けますが、その最大の特徴として5~20Vの間まで自由に電圧出力を変更できる仕様を備えています。例えば、以前紹介したMATECHのUSB PD充電器は、5V-3A(15W)から20V-5A(100W)まで幅広い出力に対応しています。

USB PD充電器は5V以外にも9Vや12V,15,20Vなど幅広い電圧出力仕様を備えているのが特徴。

USB PDの電圧出力が可変できる機能はとても便利な機能でこれ1台で色々な機器を動かすこともできるのですが、5V以外の電圧を出力させるにはUSB PD充電器と通信できるICを搭載し、PD規格に沿った通信を行う必要があります。これはなかなか複雑で簡単には希望の出力電圧を得ることはできません。

USB PDを5V以外の任意の電圧で出力させるには少し複雑な通信を行わなくてはいけない。

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのはUSB PD充電器を使ってACアダプタで動作する機器を簡単に動かす方法です。記事の中では旧日立工機のコードレス扇風機 UF18DSLをUSB PDで動かしてみます。

旧日立工機のコードレス扇風機は14.4Vと18Vで動く製品だが、付属のACアダプタは12V出力なので原理的にはUSB PDで12V出力を行いプラグ形状さえ合わせれば動作する

差し込むだけでUSB PDの電圧出力を変えられる
「USB PDトリガーケーブル」

先ほどUSB PDで希望の電圧出力を得るのは難しいと言いましたが、「USB PDトリガーケーブル」を使用すれば簡単にUSB PD充電器から希望の電圧出力を得ることができます。

トリガーケーブルとは。ケーブルで指定された任意の電圧を出力できる仕様を持つアクセサリです。写真は12Vを出力するトリガーケーブルで、このType-CプラグをUSB PD充電器に差し込むと反対側の丸プラグから12Vが出力される仕組みになっています。

実際に12VトリガーケーブルをUSB PD充電器に差し込むと、反対側の丸プラグ出力側から12Vが出力されます。

12V仕様のUSB PDトリガケーブルを差し込むと反対側の丸プラグからは12Vが出力される。

12Vで動く機器のDCジャック部分にプラグを差し込めば、特に何もすることなくそのまま12V機器を動かすことができました。写真は日立工機のUF18DSLをMATECHのUSB PD充電器で動かしているところです。

12VのトリガケーブルをUF18DSLのジャックに差し込めば、そのまま動く。

USB PD対応のモバイルバッテリーもOK

USB PDは充電器だけの規格ではありません、USB PD出力に対応しているモバイルバッテリーでも同じことが出来ます。

モバイルバッテリーのType-Cポートに12Vのトリガーケーブルを差し込めば、モバイルバッテリーから12V出力を得ることができます。

先ほどのUSB PD充電器の時と同じように、丸プラグをそのままUF18DSLに差し込めば、同じように12V機器を動作させる事ができます。電動工具の充電器やバッテリーを使わず、モバイルバッテリーだけで扇風機やライトなどの機器を動かせるのは結構便利なんじゃないでしょうか。

写真のモバイルバッテリーは以前当サイトで紹介した「Harbor」
12V出力時では最大1.5Aの電圧出力機能を備えている。

使いこなすのは難しいUSB PDだが、便利な技術には間違いない

USB PDトリガケーブルは、USB PD電源から簡単に任意の電圧を出力させるシンプルなアクセサリなのですが、プラグの寸法や極性の確認なども必要なので、ある程度の電気的な知識も必要になるので注意しましょう。基本的にはUSB PDから指定の電源を取り出すだけの製品ですが、使用方法や機器側の使用をしっかりと把握している人向けの製品です。

今回のコードレス扇風機では特に何もせずそのまま動作しましたが、製品によってはプラグの付け替えや極性変更などの改造が必要になる場合もあります。本来は純正ACアダプタ以外の動作も保証されていないので、トリガーケーブルでの使用は自己責任になる点も注意が必要です。

USB PDはiPadやMacbook・一部のWindowsノートパソコンなどで採用が進む実績のある給電規格であり、使いこなせれば色々と便利なのですが、メーカー側の立場も含めて正しく使う方法や活用方法に対する認知度はまだまだ低い規格です。

上手く使いさえすれば、複数あるACアダプタを一種類にまとめたり、モバイルバッテリーから電源を取り出したりしてAC電源で動く製品を簡単に充電式製品化することもできます。

本来は、C to Cケーブルでの接続が理想であり、トリガーケーブルのような中途半端なアクセサリはType-Cの規格上、行儀の悪いアクセサリと言えるのですが、上手く使えば古い既存製品に対して今回のような活用方法もあります。純正のACアダプタを買い直すよりも安く・新しい使い方が出来る場合もあるので、電子工作やUSB PDの活用に自信のある方は一度試してみるのはいかがでしょうか。

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