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HiKOKI 今後の新製品・販売候補品をチェック【2025年春編】

HiKOKI 今後の新製品・販売候補品をチェック【2025年春編】

本記事は工機ホールディングス株式会社及び関連会社が保有する産業財産権の情報を解説・紹介するものであり、新製品発売や経営動向を保証するものではありません。工機ホールディングス株式会社及びHiKOKI(ハイコーキ)取扱店へのお問い合わせはお控えください。

コンパクトサイズのコードレスロータリハンマドリル

近年はハンマドリルの小型化が進んでいますが、HiKOKIはさらに小型化を進めたハンマドリルを開発しているようです。

上の意匠図は一見すると振動ドリルにも見えますが、内部にはピストンを搭載しており、ハンマドリルとしての構造を備えた電動工具となっています。

HiKOKIのコードレスロータリハンマドリルはDH18DPAで18mmであるため、本製品が実用化された場合、それと同じか以下のクラスになると想定されます。単純な作業穴径では振動ドライバドリル DV36DCのモルタル22mmの方が大きくなりそうですが、その辺りはハンマドリルとしての使い勝手などが利点になってくるかもしれません。

USB Type-Cポート搭載の充放電対応コードレス電動工具

コードレス電動工具にUSB Type-Cポートを搭載し、電動工具本体でバッテリーを充電したりUSB PD充電器から直接工具を動作させたりする製品を検討しているようです。

本特許は具体的な製品例が無く、回路ブロック図のみの構想的な出願となります。

USB PDはスマホを中心に普及が進んでいる汎用的な受給電規格であり、昨今はノートパソコンや小型家電などに普及が進んでいます。給電仕様も48V-5Aの240Wの仕様も策定されており、原理的にはちょっとした電動工具類を動作させることも可能な給電仕様となっています。

とは言え、この特許においてはUSB PDが備えてる機能それ自体が内容のほぼ大半を占めており、これが発明と言えるのか、いまいち微妙とも感じています。USB PDの制御的な記述を抜けば、既存のmicroUSB機器やACアダプタ動作の製品と大差は無いような内容にも見えています。筆者は知財系の専門家ではないので断定はできませんが、この出願は拒絶になるか範囲が相当絞られた特許になるのではないかと想定しています。

また、特許内【0059】には「外部機器のメーカ等を認識し他社製の外部機器には給電しない」「他社製の外部機器からは受電しない」など汎用的な受給電規格であるUSB PDに敢えてメーカー独自の排斥機能を持たせる記述もみられます。個人的にこの記述はUSBを採用する根本的な意味をあまり理解していないものと解釈しており、欧州のUSB Type-C義務化などの世界的な端子共通化の取組が進んでいる以上、記述する文言にはもう少し慎重になった方が良いのではないかなと考えています。

ちなみにUSB PDは規格書で「ピーク電流がソースによって抑制される場合でもシンクは正しく機能する(7.2.8 Sink Peak Current Operation )」と記述されているため、USB PD搭載電動工具として特許出願を行うなら、こちらの対応を技術的にどうにかする出願にした方がもう少し有意義じゃないかなと思っています。

Bluetoothバッテリーの通信制御プラットフォーム

Bluetooth搭載バッテリー経由でスマホ上のアプリ表示を切り替えられる機能の特許です。

現在のHiKOKIのBluetooth機能の制御アプリはHiKOKIアプリ上の対応製品にしか対応していませんが、この特許では他社製の電動工具を装着すれば、装着した製品用に最適化されたアプリ制御画面に切り替わることを実現できるようになります。

この辺りはサードパーティーメーカーが独自にBluetooth接続アプリを開発すれば良いだけの話にも見えますが、HiKOKIのBluetooth搭載バッテリーの仕様上、HiKOKIアプリ経由で制御を行わなければならない事情によって出願されている特許だと考えられます。

アイデアとしてはとても良く、本機能を活用することでマルチボルトアライアンスとしての強みにもなると考えられます。ただし不安点として、この手のIT技術は工具市場に対して技術水準の高すぎるアイデアであり、それを必要とする企業や活用できる企業がどこまで現れるかが要点となりそうです。

HiKOKI NV1845DA 45mmルーフネイラ【海外向け製品】

ついにHiKOKIブランドからコイル釘対応の充電式釘打ち機が発売しました。

NV1845DAは北米やニュージーランド地域などで発売されている、針金連結の45mmコイル釘に対応するコードレス電動釘打ち機です。

本製品を持ってHiKOKIはコイル連結釘のコードレス製品も開発できるようになったので、技術的には可能になった国内向けのJIS釘対応コードレス電動釘打ち機にも期待したいところです。

ただし、電動釘打ち機は国内では銃刀法的に発売が難しい製品であり、仮に発売できても高圧エア工具比較で重量的に厳しくなってしまう点、重量を僅かでも軽くするためにスリム18Vを搭載しなければならずマルチボルトバッテリーの強みを活かせない点が痛いところでしょうか。

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