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マキタバッテリーでArduino UNO R4を動かす電源供給ケーブルを作る

マキタバッテリーでArduino UNO R4を動かす電源供給ケーブルを作る

当記事における情報や手順は、一部メーカーの想定外の使用に関連する内容を含んでいます。これらの情報は、読者の理解と技術力を前提として提供しています。本記事の情報に基づいて行う全ての行為は、自己の責任において行ってください。

Arduino UNOの最大入力電圧が24Vに

電子工作入門の定番マイコンボードとして人気のArduino UNOの最新モデル、Arduino UNO R4が6月末に発売となりました。

Arduino UNO R4は、ルネサスエレクトロニクスの出資を受けてArm Cortex-M4マイコンに変更され、Type-Cコネクタの搭載、12bit DAC、CANバスなど多くの改良が施され注目を浴びています。しかし筆者が個人的に注目したいのは、入力電圧が最大24Vまで上昇している点です。

Arduino UNO R3では、DCジャックの降圧にLDOレギュレータを使用していましたが、UNO R4ではスイッチングレギュレータが採用されています。これにより、より広範な入力電圧に対応可能になりました。最大24Vは、電動工具用の18Vバッテリーの充電上限電圧である21Vにも対応可能な電圧です。

そこで今回の記事では、Arduino UNO R4をマキタの18Vバッテリーで駆動するための電源ケーブルを自作し、その実際の動作を見ていきます。

従来のUNO R3でも降圧回路につなげれば工具用バッテリーで動作は可能だったが、外付け回路なしでバッテリー直結で動くようになったのはうれしい。

マキタ18Vバッテリーターミナルは購入できる

電動工具用バッテリーから電源を供給する際、接点の設計が課題となることが多いです。しかし、マキタバッテリーについては、自作の接点を必要とせず、修理用の純正ターミナルや互換品のターミナルブロックが市販されています。これらは、電子工作にも適していて、そのまま使用することが可能です。

近年のアクセシビリティを考えると、マキタバッテリーから電源を得る最良の手段として、Amazonなどで販売されている中国ブランド製のターミナルブロックが適しています。

ただし、中国ブランドの互換品はマキタ純正品と若干寸法が異なっており、モノによってはバッテリーに上手く装着できない場合もあるので注意が必要です。また、成型の質も悪くヒビ割れや接点潰れの製品も多いので割り切って使いましょう。

互換品のマキタターミナルは一見純正品と同じように見えるが、少し寸法が異なるので注意が必要。マキタバッテリーへの装着は可能だが、装着が硬かったりハウジングと合わなかったりする場合がある。
マキタターミナルの接続は250平型端子で接続する。画像は互換ターミナルだが、マキタ純正ターミナルと同じく250平型端子で接続できる。

マキタバッテリーArduino電源ケーブルの作り方

早速、マキタ18VバッテリーとArduino UNO R4を接続する電源ケーブルを作りましょう。必要な資材は以下の4つです。

左から、マキタターミナル・電源ケーブル(写真はVVF0.75sq)・5mm/2.1mm DCジャック・250平型端子。それぞれの作業に使う工具類も用意しよう。
電源ケーブルの被覆を剥いて平型端子をセットする
平型端子を圧着する
同じようにもう一本も圧着する。
反対側のDCプラグもはんだ付けする。ArduinoのDCジャックはセンタープラスなので間違えないように接続する。
平型端子をマキタターミナルに接続してプラグの極性を確認する。真ん中が+、外側が-になっていいればOK

配線に問題がないことを確認したら、マキタバッテリーとArduinoを接続すれば、充電式Arduino UNO R4の完成です。あとは好きなスケッチを書き込めば、コンセント不要でどこでも使えるArduinoデバイスを楽しむことができます。

また、DCジャックとArduinoボード上のVIN端子は繋がっているので、マキタバッテリー電源電圧をArduinoボード上から取ることもできます。これを活用して、マキタバッテリー動作を前提としたシールドや周辺機器などを作るのも良いかもしれません。(パターンの問題もあるので大電力を取るのは非推奨です)

DCジャックとArduinoボード上VINは同じライン上にあるので、DCジャックに接続した電源をVIN端子から外部に取ることもできる。
DCジャックとVIN端子間のパターンの太さ。幅1mmなので、マキタバッテリーからArduinoボードを通してVIN端子経由でほかに基板に電源をとっても18W(18V-1A)程度の負荷くらいなら対応できる余地はありそうだ。

ちなみに、マキタバッテリーはバッテリー内部に出力遮断回路を搭載しており、残量がなくなると自動で出力を遮断してくれるので深放電状態にはなりません。

とは言え、過放電保護としては電圧が若干低い電圧値で遮断する仕様になっているようなので、バッテリーがなくなったら早めに充電することを心掛けたほうがよさそうです。(ちなみにマキタ互換バッテリーの中には過放電保護機能がないものもあるので互換品の使用は厳禁です)

自分だけのマキタバッテリー製品を作ることも夢じゃない

Arduino UNO R4で採用しているRA4M1は、汎用的なArmマイコンとしては使い勝手の良い5V駆動品であり、基本的な機能を網羅して幅広い用途に対応できることから、色々な面で期待値の高いCPUです。

マキタバッテリーでそのままArduinoを動かすのも十分楽しいのですが、Arduino公式が公開しているUNO R4の回路図やパターンを参考にすれば、自分だけのマキタバッテリー充電式製品を設計することも夢ではありません。

個人で開発するケースを考えた場合、Arduino UNO R4を利用して段階的に設計を進めることで、オリジナル製品の開発から量産へと容易に展開できる可能性があると考えています。加えて、マキタの18Vバッテリーはその普及度と部品調達の容易さから、汎用バッテリーにおけるデファクトスタンダードにも相当する製品と言えます。そのため、今回のArduino UNO R4の登場は、個人開発でも高性能な充電式製品の開発を一層容易にするものになると考えています。

話は少し逸れますが、筆者的にはHiKOKIマルチボルトアライアンスのような対企業に限定した取り組みよりも、このようなアマチュア、セミプロが開発しやすい環境があることのほうが価値のあるものと考えています。もしかしたら誰もが予想しないような場所で、今回のUNO R4とマキタバッテリーを活用した新たなスタートアップが生まれる可能性も考えられます。

しかし残念ながら、現時点ではルネサス RA4M1は電子工作や少量生産用途に使うには調達方面が弱いのが現状です。このあたりの点については、ルネサスエレクトロニクスの早期改善を期待しています。

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