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2024年9月20日

HiKOKI 2021年冬 総合カタログの新製品予告&販売候補品をチェック

HiKOKI 2021年冬 総合カタログの新製品予告&販売候補品をチェック

本記事は工機ホールディングス株式会社及び関連会社が保有する産業財産権の情報を解説・紹介するものであり、新製品発売や経営動向を保証するものではありません。工機ホールディングス株式会社及びHiKOKI(ハイコーキ)取扱店へのお問い合わせはお控えください。

HiKOKI 2021年冬カタログにめぼしい新製品予告は無し

2021年12月1日にHiKOKIの公式サイト上で2021年冬の電動工具総合カタログが公開されました。今後の発売が予定されている新製品の情報が掲載されています。

HIKOKIの総合カタログは新製品コーナー上に今後発売予定の製品を掲載しているのが特徴でしたが、今季カタログに関しては主だった発売予告品が無く、ここ最近の製品展開もOEM製品や付属品の仕様変更が中心であることから、コロナウイルスの影響による部品不足の影響やHiKOKIの開発力低下などが懸念されます。

2021年11月にはタレントのヒロミさんをCCOに迎え、矢継ぎ早に新製品を投入することで話題性を維持してHiKOKIブランドの積極展開を行うことに期待していましたが、主だった新製品発表の無いカタログに少し肩透かし食らってしまったのは残念です。

今季カタログの新製品予告は付属品を変えた新仕様やマイナーチェンジモデルが中心

18Vバッテリー BSL1820M (18V-2.0Ah)

今後の発売予定品では、新バッテリー 18V-2.0AhのBSL1820Mを予告しています。

特に珍しいバッテリーではなく、18V-6.0Ahに採用している3.0Ahセル生産数が世界的に減少していることや同サイズのBSL1825やBSL1830Cが在庫希少品になったことから、18Vの1セル並列バッテリーを製品ラインアップに補完するための製品と予想されます。

このクラスのバッテリーに関しては、今後のバッテリー技術動向も含めDeWALT POWERSTACKのような積層セル採用品の登場に期待したいところですが、HiKOKIブランドで出るのは当分先かもしれません。

工機HD出願の夏~秋 知財情報もチェック

続いて紹介するのは、工機HDが夏~秋間に出願した知財関連の情報です。

一部の特許などは「本当に実現できるのか」と考えてしまう内容も多いものの、コンセプトとしては独創的なものが多く興味深い特許を出願しているのが特徴です。

コードレス定置型バンドソー

電池脱着部を備える定置型バンドソーに関する特許です。

この特許に関しては定置型工具として使用する製品をコードレス対応する実用的な利点は薄く、先日ACブラシレスモーター搭載モデルのCB18FEが発売されたばかりなので、実際に販売されることは無さそうです。

CB18FEの従来モデルCB18FA3は誘導モーター搭載でもともとカーボンブラシを積んでいない製品なので、CB18FEで「ブラシレス」を掲げるのは違和感。

直並列切替モーター搭載ドライバドリル

モーター構造の特許として、モーター内部にスイッチを設けてコイルの直並列を変換する特許が出願されています。

この特許は、9個のスイッチによってY直列結線とΔ並列結線を切り替えることでモーター特性を大きく変える構造を持たせる特許であり、電気的なモーター制御よりもダイナミックな制御レンジを持たせることが可能になります。

コンセプトとしてはスターデルタ始動のような古くからあるモータ技術であり、それをブラシレスモータに適用するのは面白い考えではあると思うものの、制御回路規模が大きくなるため小型電動工具向きでは無く、ブラシレスモータとしてはベクトル制御など改良の余地が残されているので、まずはそちらから進めるのが道理だと考えています。

充電器・ポータブル電源兼用 バッテリーアダプタ

充電器UC18YTSLをベースに充電機能とバッテリーアダプタ機能を持たせる特許です。

既存の18Vバッテリーをマルチボルト36V製品に使うことも可能になり、充電機能も搭載しているため長時間・高出力な電動工具の運用を実現します。

類似製品のACアダプタET36Aに関しては、商用AC100Vの国において実用上の最大出力が1,500Wに制限されているため、今後のバッテリー技術の進歩によってはET36A非対応の製品が増える自体も予想されます。

実用性は別として、このバッテリーアダプタに関してはポストET36Aとなる製品であり、今後のHiKOKIマルチボルト戦略の一翼を担うことになかもしれません。

IoTを活用したポイントカードシステム

電動工具やバッテリーパックの稼働時間を元にポイントを付与するITシステムの特許です。

IoTをポイント付与に使うのは変化球とも言える発想です。常識的に考えれば、インターネット経由のファームウェア書き換え技術や位置情報を活用した修理サービスに活用するのが普通であり、わざわざポイントに使う意義は全く感じません。一応この点については下記のような言及されており、ポイントシステムに合理性を持たせる内容として納得できる内容にはなっています。

メーカはユーザによる電気機器の使用状況を把握でき、次の製品開発に生かすことができると発明者らは考えた。しなしながら、そのようなシステムの実現には、ユーザに電気機器の使用履歴データを送ってもらわないと成り立たないが、ユーザ側にメリットがないならユーザはわざわざ送信する意味が無い。

特開2021-131680

この手のポイントシステムは、ポイントによるユーザーのメリットが大きすぎるとメーカーの費用負担が大きくなり、逆にメリットが少ないとユーザーが使用しなくなるジレンマがあるためにポイント配分の調整が難しく、販売店への協力要請や新しいITシステム開発など開発コストに関しても多大になると予想されます。このサービスは採算性の観点からアイデアの域を出ず、ファンドのKKRが許可するかも微妙と言えるかもしれません。

電動工具・バッテリーから参照するデータ内容

自走式集じん機

10.8Vバッテリーのロボット掃除機に関する特許です。

内容としてはDCDCコンバーターを内蔵するロボット掃除機の特許であり、ロボット掃除機としての分類は初期・低価格品のランダム走行モデルと予想されます。

ちなみにHiKOKIロボット掃除機については2017年のHiKOKIブランド策定時に予告はしていたので、ようやく日の目を見る形のかもしれません。

自走式作業機

工機HDが出願した直近の特許で最も期待値の高い自走式作業機です。

マルチボルトバッテリーで動作するロボットで、先端はコーキングガンやブルポイントの換装によって人の立ち入れない場所での作業を実現できます。

実用化にはロボットベンチャーや研究機関の技術導入が伴う相当な資本投入を必要とする大規模な新規事業開発になるものと予想されます。技術開発は工機HD一社で収まらないものになりそうですが、その第一歩としての特許出願には今後の展開に大きな期待があります。

現在の工機HDがこの手の製品開発を行えるか若干疑問がありますが、工機HDの新たな事業分野として少しは期待しても良いかもしれません。

バッテリーアシストコンプレッサ

2021年夏の大ヒット商品 コードレス冷温庫 UL18DBの次の目玉商材となり得る製品こそ、現在工機HDが開発中のバッテリーアシストコンプレッサです。

このコンプレッサはAC電源で動作する釘打ち機用コンプレッサにバッテリーを2本装着できる構成を持ち、AC電源+バッテリー電源によって一般的なコンプレッサよりも高いエア汲み上げ速度を実現します。

色々と懸念すべき点はあるものの、製品としてのインパクトは大きく、今後のエア釘打ち機の動向に一石を投じる製品となるでしょう。

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