VOLTECHNO

ガジェットとモノづくりのニッチな部分を伝えるメディア

2020年1月31日

「電子レンジ」や「電動釘打ち機」など新市場参入を匂わせる様々な特許|マキタ特許特集

メーカーにとって生命線となるのは、まさに知的財産たる特許(パテント)の存在だ。今回は、マキタが出願したパテントから、今後の製品展開に大きな影響を与えそうなものや、新市場への展開となりそうなものをいくつか紹介しよう。

本記事はマキタの出願特許を紹介する記事であり、実際の特許内容や展開についての予想についての保証はない点、ご了承ください。また、本記事によるマキタ日本法人等へのお問い合わせもお控え下さい。

コードレス家電ここに極まれり!「充電式電子レンジ」

マキタのコードレス家電と言えば、コーヒーメーカーが一時期話題となっていましたが、同じくらいの時期に出願していたのがバッテリーで動作する充電式の電子レンジです。

「バッテリーで電子レンジは動かせるの?」と考えてしまいますが、実際の使用条件で計算すると、出力500~600W(レンジ全体の消費電力が約1,000W)で1回あたりの使用時間が1分くらいなので、BL4040バッテリーを使用すれば5~6回程度は使用できる計算となります。

実用性、実際に売れるのか、売れる販路があるのか、など様々な課題はありますが、最近のキャンプブームや冬キャンプの魅力を発信しているメディアも多いので、価格次第では人気の製品となるかもしれません。

しかし、実際の問題としては、現在の電子レンジ市場においてバッテリーを搭載する電子レンジが存在しないため、マキタが自ら先陣を切ってバッテリーで動作する電子レンジの各種法令規格や安全性を検証・申請する必要があると予想され、そのコストは開発費として価格に反映されてしまう可能性も高く、実際の販売されたとしてもボリュームゾーンでの販売は非常に難しいものと推測されます。

こちらは18V×2本シリーズでの展開を考慮したバッテリーの配置位置イラスト

国際公開番号 WO 2018/225626 A1

MAXの独単市場を覆す次世代釘打ち機「電動釘打ち機」

海外での釘打ち機市場は、エアを使った従来の釘打ち機から、HiKOKIのNR1890DCやDeWALTのDCN692のような電動の釘打ち機へと転換しつつあります。マキタもそれに追随するように2017年から電動釘打ち機の各種特許を出願し始めています。

マキタが出願している電動釘打ち機の特許では「フライホイール」を使用しており、回転体にエネルギーを蓄えて、ピストンに運動エネルギーを伝えて打撃として放出する方式を採用しています。この方式は、原理的に圧縮空気を使用しない方式なので、空気銃に該当しないため無く銃刀法に抵触しない可能性も高く、国内販売も期待できる製品と考えています。

しかし、日本の釘打ち機市場では軽くて小型の高圧エア釘打ち機が好まれており、フライホイール搭載による重量の課題、ロール釘の巻き上げ構造も備えなければならないため、日本市場で販売するには更なる新構造の特許出願が必要になると予想されます。

フライホイールを使った電動釘打ち機そのものとしては既に他社の特許が先行しているため、DeWALTやSENCOの特許を回避して販売する可能性も十分にあると考えていますが、現在の公開情報を見る限りでは回避できる特許が見当たらないため、SENCOが持つ基本特許である「フライホイール作動形釘打ち機」の2021年特許権終了をもって販売を開始するものと予想しています。現在は基礎研究と防衛特許網の構築、生産体制の計画を行っている段階と推測します。

【公開番号】特開2019-051562(ヒートパイプによるコントローラ冷却)
【公開番号】特開2019-072815(押圧機構の改良)
【公開番号】特開2019-081228(押圧機構の改良)
【公開番号】特開2019-025641(制御) 他

ちなみにこちらは類似特許となる幻の18V×2本シリーズの電動釘打ち機。実用性はともかく、実際に販売されていたなら重量と見た目のインパクトで大きな話題になっただろう。

システムケースがバッテリーパック化「大容量バッテリーシステムケース」

イラストで分かる通り、バッテリーの収納ケースとバッテリパックを兼ねたシステムケースに関する特許です。

特許としては、システムケースに収納した複数個のバッテリーを外部に出力する機能と、ケースそのものが充電器となる機能を備える製品として出願されています。

現在はポータブル電源ユニットPDC01が販売されていますが、より連続稼働時間を長くできる大容量バッテリーユニットが欲しいユーザーには需要があるかもしれません。特に、この特許は設置型のバッテリーユニットで、別売りのトローリを使用すれば重量を気にすることなく大量にバッテリーを搭載できる利点があります。

ただ、海外市場だとDeWALTのTOUGH SYSTEMやMilwaukeeのPACKOUTのようなシステムケーズは人気ですが、日本の職人さんだとワンボックスカーに車載ラックを搭載して電動工具や資材を詰め込む方式が主流なので、丸ごとまとめてしまうシステムケースのような形態は需要が薄いのかもしれません。

【公開番号】特開2018-174144

Return Top