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2023年8月6日

コンプレッサー(釘打ち機用)とは

コンプレッサー(釘打ち機用)とは

コンプレッサーとは空気を圧縮する道具です。釘打ち機やネジ打ち機などの大工道具で使用するエア工具では、釘打ち機専用のコンプレッサーを使用します。

釘打ち機に使用する専用高圧コンプレッサ

コンプレッサーとは空気を圧縮する道具・設備の名称です。大工道具の空気工具の釘打ち機では一般的なコンプレッサーを使用せず、持ち運び性に優れた高出力の釘打ち機用コンプレッサが使用されます。

釘打ち機用のコンプレッサは通常のコンプレッサーと異なり「高圧と呼ばれる2MPaの専用取出し口」「4.0MPa以上のタンク気圧」を備えた小型・高出力仕様になっているのが特徴です。

プロユーザーが使用する「高圧」の空気工具

大工道具で使用されている空気工具は「高圧」と呼ばれる空気圧で動作する製品が普及しています。

高圧とは、一般的なコンプレッサーで使用される0.7MPaよりも高い2MPaで動作する空気工具を指しています。

空気圧が高くなったことで、くぎを打ち込むメインピストンが1/3の小型・軽量化を実現され、より使いやすく便利な工具を求める職人に広く受け入れられました。

ここでの高圧とはユーザーの間で呼ばれる俗称で、正式には1994年にマックス株式会社の「スーパーエアシステム」が正式な名称となっています。

この仕様は電動工具各社共通の仕様となり、マックス以外のメーカーからも高圧仕様の空気工具が展開され、瞬く間に日本の空気工具市場のスタンダードとなりました。

ちなみに、高圧は日本で大きく普及している方式で、海外は現在も常圧の空気工具が一般的です。

普通のコンプレッサーでは「常圧」の釘打ち機を使う

コンプレッサーはダスターや空気入れ・エアブラシなど様々な空気工具に使われています。それらのコンプレッサーで釘打ち機を使用することはできるのでしょうか。

釘打ち機には「高圧」と「常圧」の区分があり、「常圧」の空気工具であれば使用も可能です。

ただし、釘打ち機・ネジ打ち機等の空気工具は大量のエアを消費するため、そのエア消費に対応できる吐出量のコンプレッサーを使用しなければなりません。そのような常圧コンプレッサーは圧縮機・タンク共に大きなサイズが必要で20kg以上ものモデルになってしまいます。

根太レス工法(剛床工法)に代表される板張り施工などでは大量の釘が必要になり、大量のエアを供給できるコンプレッサーを使用しなくてはならないため、常圧空気工具を使用している場合でもプロユーザーは釘打ち機用の高圧コンプレッサーを使用しています。

コンプレッサは消耗品、定期的なメンテナンスが不可欠

参考:エアコンプレッサAC462XL|マキタ

釘打ち機用のコンプレッサは定期的なメンテナンスが必須の製品なので、消耗品と割り切って運用します。

高圧化によって小型化・高出力化は実現できましたが、その分クランクやピストンに大きな負担がかかるようになったので、ある程度稼働させた時点でオーバーホールに出す必要があります。オーバーホールに出さないまま使用を続けると、シリンダを傷つけてさらに高額な修理費用となったり修理不可対応になる場合があります。

現在の釘打ち機用コンプレッサーは、概ね1,000~1,200時間のモーター動作時間で点検ランプが点灯する仕様となっています。

最も盗難が多いコンプレッサー、保管場所や現場の配置に注意

釘打ち機用コンプレッサーは非常に盗難の多い製品なので、保管や現場での使用時には注意が必要です。

コンプレッサーは持ち運びできるサイズながら単価が高く、中古品の需要も大きいので非常に狙われやすい製品です。現場に設置した場合には作業が終わるまで撤去されることもなく、昼休みなどの少し目を離した隙にコンプレッサーを含めた現場の工具一式が盗まれてしまった、などの話も珍しくありません。

車や倉庫で厳重に保管していても、目を付けられると盗まれる可能性の高い製品なので、常に施錠しておく・クラウドトラッキングアクセサリを張り付けておく、などの盗難対策が重要です。

Bluetooth機能はおまけ程度、将来性に期待

Bluetoothを搭載する遠隔操作機能付きコンプレッサーも販売されていますが、あまり重要な機能ではありません。

コンプレッサーのBluetooth機能で最も活用されている用途が仲間内でのイタズラとも言われています。(勝手にOFFにする等)

よほどの広い現場でもなければ、スマホを出してアプリを起動するよりも直接コンプレッサーを操作した方が手軽でしょう。

将来的には盗難対策として周囲のスマホから位置を通知するクラウドトラッキング機能や、スマホアプリ側から出力圧を遠隔操作できる電子調整弁などを搭載した製品が販売すればもう少し実用的になるかもしれませんが、現時点だとBluetooth機能は例外なくオマケです。

バッテリーで動作する充電式コンプレッサーは販売しないのか

現在のコンプレッサーはAC100V電源で動作する製品ですが、バッテリーで動く充電式の製品はないのでしょうか。

海外市場では、常圧の小型製品に限り充電式のコンプレッサーが販売されています。ただし、これは電池容量や電池出力の関係からピンネイラまでしか使用できません。バッテリー性能的にはマキタ・HiKOKI等の36V高出力大容量バッテリーを使用したとしても、定格1,200Wのコンプレッサーを7~8分しか動かせません

バッテリー性能が向上すれば、コンプレッサーの大型化も実用的になりますが、バッテリーの性能が上がると電動釘打ち機が台頭するためコンプレッサーが不要になる傾向に進みます。

技術動向や仕様的な観点として見ると、充電式コンプレッサーが販売されても、実用上あまり意味のない製品になると推測されます。

コンプレッサーの仕様(スペック)の解説

消費電力

空気をタンク内に取り込むモーターの出力を表しています。この数値が高いほど汲み上げ速度が速くなり、エア少量の大きい空気工具でも効率的に使用することができます。

コンプレッサーの消費電力は1,000Wを超えるものが多いので、ブレーカーや配線の容量・他工具の接続などの目安として使用します。

タンク内に空気を取り込む実際の目安は、下記の吐出し空気量ですが、大体の値として消費電力を参考にする場合もあります。

吐出し空気量

圧縮機が既定の圧力下で運転している時に、1分間当たりどれだけ空気を吸い込んでるかの値です。この数値が大きいほど汲み上げ速度が速くなり、エア消費量の多い電動工具でも効率的に使用できます。

L/minで表され、1分間当たり何リットルの空気を吸い込んでいるかで表されます。

タンク容量

コンプレッサーに搭載されたタンク容量を表しています。

タンクが大きいほど大量のエアを貯められるので、吐出しが追い付かないほどのエアを消費していてもタンクの圧縮空気でカバーすることができます。

コンプレッサーの製品クラスはタンク容量で分類分けされており、大型タンクほど高出力・小型タンクの製品は出力が小さくなる製品仕様で販売されています。

大きいほど有利ですが、重量・大きさともに重くなるので用途に応じて製品を選ぶ必要があります。

騒音値

コンプレッサー動作時の騒音値を表しています。

コンプレッサーの騒音は大きく響くので、住宅地で使用する場合には近隣住民のクレームになります。できるだけ騒音の小さい製品がおすすめです。

釘打ち機用コンプレッサーを販売しているのは3社

国内の釘打ち機用コンプレッサーはMAX・HiKOKI・マキタの3社でシェア100%となっています。

最初に高圧空気工具を展開したMAXコンプレッサーは動作音や耐久性などでユーザーに定評があり、業界のスタンダードとして最も信頼されているメーカーです。

過去には日立産機(旧トキコ株式会社)が大工作業用コンプレッサ 高圧エアーパンチPA2000VHを販売していましたが、2020年現在で日立産機の釘打ち機用コンプレッサ開発は事実上撤退しています。

MAX

製品名外観タンク容量購入リンク
AK-HL1270E2-27L
AK-HH1270E2-27L
27L[AK-HL1270E2-27L]
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[AK-HH1270E2-27L]
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AK-HL1270E2
AK-HH1270E2
11L[AK-HL1270E2]
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楽天市場
AK-HL1110E
AK-HH1110E
AK-HL1110EA
8L[AK-HL1110E]
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[AK-HH1110E]
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[AK-HL1110EA]
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AK-HL9700E
AK-LL9700E
10L[AK-HL9700E]
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[AK-LL9700E]
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HiKOKI

製品名外観タンク容量購入リンク
EC1445H3(CTN)
EC1445H3(CS)
EC1445H3(CN)
12L[EC1445H3(CTN)]
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[EC1445H3(CS)]
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[EC1445H3(CN)]
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EC1245H3
EC1245H3(TN)
EC1245H3(S)
EC1245H3(N)
8L[EC1245H3]
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[EC1245H3(TN)]
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[EC1245H3(S)]
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[EC1245H3(N)]
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EC1433H
EC1433H(N)
9L[EC1433H]
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[EC1433H(N)]
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マキタ

製品名外観タンク容量購入リンク
AC462XL
AC462XLH
11L[AC462XL]
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[AC462XLH]
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AC462XGB
AC462XGH
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AC462XS
AC462XSH
7L[AC462XS]
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AC461XS8L[AC461XS]
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AC460S3L[AC460S]
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コンプレッサーおすすめ機種

マックス 「AK-HL1270E2シリーズ」

  • 業界トップクラスの吐出量
  • ベクトル制御モーターの搭載で高効率
  • タンク増設で27L仕様に変更可能

業界トップクラスのコンプレッサーがマックスのAK-HK1270E2です。

高効率のベクトル制御モーターを搭載しているので、消費電力1,200Wながら最大吐出量90L/minと汲み上げが速いのが特徴です。

業界最大の27Lタンクの仕様も追加展開されており、根太レス工法など大量に圧縮空気を消費する施工時にも心強い製品です。11L仕様でも27L仕様にも変更できるのも大きなポイントです。

製品名AK-HL1270E2
AK-HH1270E2
タンク容量11L
27L
最大圧力4.4MPa
最大吐出量90L/min(2.5MPa)
動作音62dB[AIモード]
55dB[静音モード]
消費電力1,200W
重量16kg (11L)
22kg (27L)

HiKOKI EC1445H3(C)シリーズ

  • パワーモード時でも動作音が静か

動作音59dBと低騒音化を実現したのがHiKOKIのEC1445H3(C)です。

12Lと十分なタンク容量を持ち、最大吐出量80L/minと十分な作業量も持っており、ほとんどの作業に対応することができます。

個人的な主観ですが、HiKOKIの()付きモデルは無印モデルの問題点や課題を解決した製品につけられるマイナーチェンジモデルで比較的当たり製品の多い印象があり、EC1445H3無印のマイナーチェンジとなったEC1445H3(C)も期待できるモデルです。

製品名EC1445H3(CTN)
EC1445H3(CS)
EC1445H3(CN)
タンク容量12L
最大圧力4.4MPa
最大吐出量95L/min(0.7MPa)
80L/min(2.3MPa)
動作音59dB[パワーモード]
55dB[静音モード]
消費電力1,500W
重量15.8kg

マックス AK-HL1110EA

マックス
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  • コンパクトサイズなエコノミーモデル
  • 片手持ちソフトベルトグリップで持ちやすい
製品名AK-HL1110EA
タンク容量8L
最大圧力4.4MPa
最大吐出量46L/min(2.5MPa)
動作音63dB[パワーモード]
61dB[静音モード]
消費電力1,100W
重量14kg

コンプレッサーのアクセサリ

コンプレッサーの吐出量が不足すると、釘の頭浮きが発生して手直しの二度手間になるため、根太レスなどの短時間で大量の圧縮空気を消費する作業などではコンプレッサー同士の連結・補助タンクの接続などで作業が止まらないようにします。

これらの連結アクセサリはメーカー間で互換性がないため、周囲の環境と合わせてコンプレッサーを購入するのがおすすめです。

連結ホース

マックス用

マックス コンプレッサ連結表

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HiKOKI用

HiKOKI コンプレッサ連結表

マキタ用

マキタ コンプレッサ連結表

マキタ(Makita)
¥10,035 (2024/04/29 23:40:26時点 Amazon調べ-詳細)

利兼 高圧連結ホース

愛知県のプロショップ有限会社 利兼で取り扱っているのが「高圧連結ホース」です。高圧エア取出し口で連結するため、メーカーが異なるコンプレッサー間で連結できるのが特徴です。

高圧取り出し口での連結となるため、いくつか動作が異なる点もあり「高圧2口以上のコンプレッサーでないと使用できない」「タンク内気圧が高圧取り出し口以下の気圧にならないと常圧側が並列化されない」「調整弁の気圧を合わせなければならない」などの特長もありますが、実使用上ではほとんど問題ありません。

メーカー純正品がホースとカプラ含めて20,000円以上する中、連結がホース1本で済んで6,280円なので、急なエア不足に対応できる手軽な1本としておすすめです。

エアタンク

マックス用

マックス エアタンク接続表

※高圧2口

※高圧・常圧兼用1口

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HiKOKI用

HiKOKI 補助タンク接続相互表

マキタ用

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