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本記事は、Voltme Official JPよりレビュー用サンプル品の提供を受けて構成しております。
目次
VOLTME USB PD充電器 Revo 140
今回紹介するのは、140W給電に対応するUSB PD充電器 VOLTME Revo 140です。
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VOLTME(ボルトミー)は、電源関連の製品を製造・販売する中国深センの企業 Voltnex Innovations Technology Co., Ltdが展開するUSB充電器ブランドです。
VOLTME Revo 140は、最新仕様 PD 3.1に準拠するUSB PD充電器で、一般的なUSB PDの最大出力仕様である100W給電を超える140Wの給電能力を搭載しているのが特徴です。
コネクタ仕様は、Type-Cポート×2とType-Aポート×1を備えており、同時に3台のUSB機器への電源供給に対応しています。
- Revo 140 ブラックカラー
- Revo 140 ホワイトカラー
Revo 140製品仕様
製品名 | Revo 140 |
---|---|
外観 | ![]() |
Type-C出力仕様 | USB-C1:USB PD 140W USB-C2:USB PD 100W |
Type-A出力仕様 | 4.5V – 5.0A 5.0V – 4.5A 9.0V – 2.0A 12.0V – 1.5A |
出力組み合わせ | C1+C2=65W+65W C1+A=100W+22.5W C2+A=100W+22.5W C1+C2+A=65W+45W+22.5W |
動作電圧 | 100V~240V |
重量 | 270g |
寸法 | 77.5×73.5×31.5mm |
本体価格 | – |
販売年月 | 2023年02月 |
製品の特徴
「140W給電に対応するUSB PD充電器」
VOLTME Revo 140は、USB PDで定めている最新仕様 USB PD 3.1のEPR (Extended Power Range)に対応するUSB PD充電器です。
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専門用語だと難しくなってしまうのですが、単純に解説すると、最大140Wの給電仕様に対応しているのが大きな特徴となります。従来のUSB PD充電器は最大で100Wまでしか定められていないので、それよりもさらに高い給電能力を持っているのが特徴です。
ただし、140W給電を活用するためには、140W給電に対応する機器とUSB PD 240Wに対応する専用ケーブルを用意しなければいけません。2024年4月時点で140Wに対応する主な製品はMacbook Pro 16″となります。従来のType-C搭載ノートパソコンやスマートフォンを接続した場合には、100W以下の給電が行われます。
VOLTME Revo 140は最大140Wの給電仕様を備えながらもUSB Type-Cポートを2つ備えており、さらにUSB Type-Aポートも搭載しているので従来のUSB機器への充電にも対応しています。
製品外観・デザイン
VOLTME Revo 140は、中身の見えるパッケージで梱包されています。
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本体側面にはブランド名のVOLTMEの刻印が刻まれており、右上には持ちやすいようにボコボコした表面加工が施されています。
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正面コネクタはVOLTMEのブランドカラーとなる黄色の端子が採用されています。Type-Aコネクタはコネクタ実装の常套となる考え方とは逆方向の設計となっています。
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本体底面にはUSB出力仕様と各種規格のロゴマークが記載されています。PSEの申請は株式会社サンライズが行っていますが、この企業はマキタ互換バッテリーの申請を行っている企業と同名であり、有名なPSE代行業者なのかもしれません。
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コンセントは折り畳み構造になっています。コンセントの摺動はスムーズでゴリゴリと削る触感も無いので、接点が削れる心配はなさそうです。
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コンセントに接続すると、正面の白色LEDランプが点灯します。
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VOLTME Revo 140の実力をチェック
USB PDは仕様が公開されている規格であり、USB PD充電器の動作も細かく定義されています。しかし、中には仕様と異なる制御が行われている場合もあるので、実際の製品動作を検証します。
USB PD PPS 21V要求時の給電動作確認
PPSとは、細かい電圧や電流を指定して給電できるUSB PDの拡張機能です。
PPSを備えている製品では21Vまで給電できる仕様の製品も多いのですが、21V要求しても20Vまでしか出力されない製品も流通しているので、PPS 21V要求時の動作を確認します。
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Revo 140では、PPS 21V要求時に正しく21Vが出力されることを確認できました。
複数ポート抜き差し時の挙動
複数のType-Cポートを備えているUSB PD充電器の中には、抜き差しが発生すると他のポートの出力状態を一旦遮断してから再供給するものがあります。
今回の検証では、Type-C1端子で60Wを供給しながらType-C2端子に20Vをリクエストする機器を接続して、C1端子が遮断されないかを出力状態を確認します。
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検証の結果、C2に20V負荷を新しく接続してもC1に接続した電圧測定波形(黄色)に変動はありませんでした。
C1+C2時の各ポートの給電能力を超えない範囲での抜き差しであれば、コネクタを抜き差ししても出力遮断が発生しないことが確認できました。
温度保護による遮断動作が速い、最大負荷状態では少し懸念も
最大負荷時の温度上昇を確認するため、製品本体側面に熱電対を取り付けて温度グラフを測定します。28Vトリガデバイスを使用し、温度測定器にはPerfectPrime TC0520を使用、電子負荷にはRIGOL 3031を接続します。
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最初の測定条件は、室温(23℃)で測定を行い、負荷条件は最大負荷となる28V-5.0A(140W)です。
この条件下では、放電を開始して34分後(2,000秒後)に表面温度が70℃に達し、出力が遮断保護が働きました。
次の条件では、夏場での使用を想定した最悪温度条件下となる40℃環境で同じ試験を行ってみます。40℃環境を再現する恒温槽としてマキタの保冷温庫 CW001Gを使用します。
この条件下では、18分後に(1,100秒後)で出力が遮断状態となりました。
出力遮断に関してはJIS C 62368-1で定められている樹脂ケースの表面最大温度77℃以下に適合するための動作と想定されます。製品安全としては十分な製品ですが、実用面では出力遮断が発生するため、この点は懸念と言えそうです。
USB PD充電器としては最高峰仕様、懸念点は発熱
今回のVOLTME Revo 140は、現在発売しているUSB PD充電器としては最も高い140Wの給電仕様を持ち、複数ポート時の65W+65W同時給電機能や再ネゴシエーション時に出力が遮断しない仕様などを搭載しており、基本スペックとしては高い仕様を持つ製品です。
140Wを必要とする機器は今のところほとんどありませんが、単純に高い給電能力を持つので、性能の良いUSB PD充電器を必要としいる方にとっても選択肢に加えられる製品です。
VOLTME Revo 140の最大の懸念点は140W給電時に温度保護が働き出力遮断状態になってしまう点です。
理想的には室温状態で出力遮断が発生せず、40℃環境では30分~1時間程度は動作してほしかったのですが、検証の結果としては厳しい結果となってしまいました。この辺りに関しては、GaNパワーデバイスやUSB PD充電器のサイズ感の限界があるのではないか、と思っています。
とは言え、本記事執筆時点で140W給電に対応するラップトップはMacbook Pro 16″に限られているため、大多数のユーザーにとってこの問題は無関係です。また、macOSの実用的な消費電力を考えても、28Vの5.0A給電状態が30分近く継続する状態もなかなか考えにくいので、今回の出力遮断が発現する心配はほとんどないもの無いと予想しています。
実際に温度保護停止で困るようになるのは、今後ハイスペックなWindowsノートで140Wに対応するモデルが増えてきたときや、28V給電に対応する大容量バッテリー搭載USB PD充電製品が登場し始めたころからになると想定しています。それらの用途だと連続的に140W給電が行われる状況もあり得るため、温度保護停止の影響が顕在化するものと考えられます。
今回、筆者にとって初となるUSB PD充電器140W対応モデルの検証となるのですが、温度保護停止はVOLTME充電器特有の問題なのか、それとも市場に溢れる140W対応モデル全般に内包しているのかは今のところ判断できない状況です。
個人的な推測としては、市場の140W対応モデルの大半はガワだけ変えたOEM供給を受けている製品のように見えているので、140W給電時の温度停止は大半のモデルが内包している問題なのではないかな、と思っています。