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2024年7月7日

エンジンカッターとは【工具の特徴・選び方解説】

エンジンカッターとは【工具の特徴・選び方解説】

エンジンカッターは大型の石材・鋼材の切断作業に使う工具

エンジンカッターは石材や鋼材など難切断材料の切断に使用する切断工具です。大径切断ディスクと高出力エンジンの搭載によって可搬式の切断工具の中で最も高い切断能力を持つため、屋外の作業ではエンジンカッターでしか対応出来ない作業もあります。

エンジンカッターは、主にインフラ関連設備の施工解体作業などの高い切断能力を必要とする作業に用いられます。コンクリート製の水道管やU字溝などの切断に使用する事が多く、電源を確保しなくても使用できる利便性から屋外作業を中心に広く使用します。

水で冷却しながら切断する湿式切断にも対応するので、切断ディスクの長寿命化や機械の負荷に配慮した作業ができます

エンジンカッターの特徴と他切断工具との違い

エンジンカッターとディスクグラインダの違い

エンジンカッターは切断を行う工具のため、用途としては切断砥石を装着したディスクグラインダーと同じ作業を行うことが出来ます。

エンジンカッターを使用するメリットは、「エンジン搭載による高い切断能力」「カバー・ハンドル搭載による安全構造」「電源不要」「湿式切断対応」などがあり、主に電源のない屋外での高出力切断が必要な用途に使用します。

救助資機材としても使われるエンジンカッター

エンジンカッターは高い切断能力を持つため災害救助用途にも使われます。

木材から鉄筋コンクリートのような複合材まで幅広い切断材料に対応できるので、瓦礫の除去や閉じ込められた場合の切断撤去などに用いられます。

救助・撤去作業専用のエンジンカッターも販売されており、新ダイワからはレスキューカッターEC7412S-R、ハスクバーナからはK770 Rescue、そして三京ダイヤモンドからは災害救助用 レスキューカッターも販売されています。

脱エンジンによってバッテリー化も進む

世界的に排ガス規制や環境問題による脱エンジン化の流れが加速しており、エンジンカッターもその影響を受けてバッテリーモーターを搭載する製品も展開されています。

これらの製品は、エンジンを搭載していないためパワーカッターやバッテリーカッターなどの名称で呼ばれています。パナソニックはチップソーカッターをパワーカッターと呼称しているため、呼び間違いに注意しましょう。

対応ディスク径も230mmまででエンジン程の高出力性能は持ちませんが、バッテリーを装着するだけで使え燃料管理も不要で利便性が高いため普及が進んでいます。

代表的な製品では、マキタ CE090DZ パワーカッタやハスクバーナ K535i バッテリーカッターが販売されています。

エンジンカッターの選び方とカタログスペックの見かた

ディスク径

エンジンカッターの最大切断サイズはディスク径に左右されます。

一般的には305mm対応品が最も普及していますが、それより大きい355mmに対応するエンジンカッターも販売されています。

概ね305mmディスクの最大切断深度は100mm、355mmディスクの切断深度は125mmです。

U字溝などの切断であれば305mm品でも対応できますが、太径パイプなどの切断作業では355mmなどが必要になる場合もあるので、実際の作業で求められる切断径のサイズからディスク径を選びましょう。

出力(排気量)

エンジンカッターの切断性能を左右するのがエンジン出力(排気量)です。

排気量が大きくエンジン出力が大きい製品ほど快適に切断できますが、各社エンジン出力に大きな違いは無いため、そこまで重要な項目ではありません。

燃料

エンジンカッターは2サイクルエンジンを使用するため、2サイクル用オイルとガソリンとを1:25~50の比率で混合した混合燃料が必要です。製品やオイルの組み合わせによって最適な混合比が異なるため注意が必要です。1

製品によっては、4サイクルの混合燃料不要のエンジンカッターも販売されています。

湿式切断対応

エンジンカッターはダイヤモンドディスクを使った湿式切断にも対応します。

石材などの難切断材料にはエンジンカッター本体の負担を減らしたりディスクの寿命を延ばす目的のために湿式切断を必須とする場合もあるので、湿式切断に対応できるか確認するのがおすすめです。

エンジンカッター オススメ製品ピックアップ

エンジンカッターは園芸機器メーカーや電動工具メーカー等から販売されていますが、電動工具メーカーのマキタ・HiKOKIの2社はエンジン機器製造の撤退22を表明しています。

今から新しくエンジンカッターを購入するなら、現在も生産を継続している新ダイワ・Husqvarna・STHILなどのエンジン機器メーカーの製品がおすすめです。

バッテリーで動作するパワーカッターも販売されていますが、モーター出力がエンジンカッターの半分以下しかなくディスク径も230mmまでの製品しかないため、完全な代替とならない点に注意が必要です。

新ダイワ ECL7412S-CD

やまびこのエンジン機器ブランド 新ダイワのエンジンカッターがECL7412S-CDです。

新ダイワのエンジンカッターは、ガソリンとオイルをそれぞれの専用タンクから自動混合してエンジンに供給する分離潤滑方式を搭載するのが特徴です。混合燃料を作る手間が無いので使い勝手に優れています。

さらに、タンク残量がわかるスケルトンタンクや粉じんからエンジンを守る4ステージエアクリーナシステムなど、細かな部分の使い勝手も考えられたエンジンカッターです。

ブレード径300mm最大切断深さ110mm
燃料混合燃料燃料タンク700mL
排気量73.5出力kW
寸法721×248×381mm重量10.2kg

ハスクバーナ K770 12インチ

ハスクバーナのエンジンカッターオールラウンドモデルがK770です。

SmartTension™機能(内蔵のテンションスプリング) により、ベルト張りの調整がセミオート化されメンテナンス性を向上し、軽量なボディと優れたパワーウェイトレシオを実現したモデルです。

抜群の低振動性(2.5m /s2以下)により身体的疲労を低減し、カッティングラインに沿った理想的な切断が可能です。

ブレード径350mm最大切断深さ
燃料混合燃料燃料タンク700mL
排気量73.5出力3.9kW
寸法605×225×415mm重量10.1kg

マキタ CE090DZ パワーカッタ

バッテリーに対応するパワーカッタがマキタ CE090DZです。

マキタ18Vバッテリーに対応するのでほかのマキタ電動工具との運用がかのうで、重量も6.2kgと取り回しに優れるボディによって手軽に切断作業を行えるのが特徴です。

切断深さも88mmまで対応しておりU字溝(呼360B)を一発切断できるので、公共設備の施工作業から解体作業まで幅広い作業に従事できます。

ブレード径230mm最大切断深さ88mm
バッテリー18V×21充電作業量コンクリート7.8m
排気量出力-kW
寸法554×241×283mm重量6.2kg

ハスクバーナ K535i バッテリーカッター

ハスクバーナが販売するカッタがK535i バッテリーカッターです。

バッテリーはハスクバーナの36Vシリーズに対応する36V/9.6Ahのバッテリーに対応しており、日本で購入できるパワーカッター用のバッテリーとしては最大容量を誇ります。

ハスクバーナのバッテリーシリーズは園芸機器とも共通なので、さまざまな機器に使用することができます。

ブレード径230mm最大切断深さ76mm
バッテリー36V1充電作業量
排気量出力1.2kW
寸法重量3.5kg(バッテリー抜き)

記事内で紹介したアイテム

脚注

  1. ハスクバーナ エンジンカッターは25:1だが、純正オイル使用時は50:1になる。
  2. マキタ、エンジン製品の生産終了を発表
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