スピンドル分解の手順
スピンドルの分解作業には圧入機器と作業治具を使用します。本手順の部品交換は個人では行わず販売店・メーカーに依頼してください。
インターナルギヤを取り外します。
ピンを抑えているシンワッシャを外します。
スピンドルを下に向けて叩くとピンが浮き出てくるので、抜き取ります。
ピンを取り外すとスパーギヤが取れるようになるので、これも取り外します。
スピンドル・ハンマ・コンプレッションスプリング・スチールボールが残るので、ここからさらに分解作業を進めます。
スピンドルとハンマは、コンプレッションスプリングのテンションとスチールボールによって固定されています。
分解するには、コンプレッションスプリングを圧縮してスチールボールを取り外さなければいけませんが、コンプレッションスプリングは固いので手で圧縮はできません。
そこで今回は、3Dプリンタでスピンドル分解用の治具を作り、バイスで圧縮してスチールボールを取り外します。圧縮する工具はハンドプレスやプーラーでも代用が可能です。
作成した治具をハンマ先端に装着して、バイスで固定します。
コンプレッションスプリングを圧縮するとスチールボールが取り外せるようになります。
スピンドルとハンマの位置関係によってはスチールボールが取れない場合もあるので、スピンドル溝の頂点とハンマのスチールボール挿入口を合わせて、スチールボールが外れる位置に調整してから再度圧縮します。
ハンマとスピンドルを分解すると、ハンマの中から小さいスチールボールが大量に落ちてくるので、無くさないように注意しましょう。
スピンドルを分解してハンマケースの中身を全て取り出したのが下の写真です。
これでインパクトドライバの分解は全て完了です。
ハンマケースの中身をよく観察するとインパクトドライバがどのように使われてきたか把握できます。
例えば、高負荷の打撃主体であればアンビルとハンマの爪の接触部分が摩耗し、回転主体の軽負荷な使い方ならアンビルとハンマケース軸受け部分の摩耗が進行します。
それ以外の部品が破損している場合は、落下や衝撃のような使い方を原因とする不良や部品初期不良・設計不良などが考えられます。
今回分解しているインパクトは、外観にある程度の使用感がありますが、アンビル・ハンマの摩耗量は少なめです。これはボルト締結主体の足場組立作業ではなく、打撃しない軽負荷ビス止め作業中心に使われていたと推測されます。