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2020年8月10日

プロ用インパクトドライバはどれがおすすめ?「プロ向けモデル」インパクト徹底解説

プロ用インパクトドライバはどれがおすすめ?「プロ向けモデル」インパクト徹底解説

各電動工具メーカーが最も力を入れているのがインパクトドライバの開発です。インパクトドライバは全ての電動工具ユーザーが最初に購入する工具で、その後の同じメーカーのバッテリー工具シリーズの購入にも影響することから、電動工具各社が様々なアイデアと技術・デザインを投入したフラッグシップモデルを販売しています。本記事では、国内電動工具各社が販売するプロ向けのインパクトドライバの最新情報を紹介します。

プロユーザーが最初に購入する「上位モデル」のインパクト

電動工具には様々な種類がありますが、一番初めに購入して最も使用する工具がビス打ち・ボルト締結に使用するインパクトドライバです。

プロユーザーの締結作業からDIYユーザーの日曜大工まで多用されるので、最も使用頻度の高い電動工具として各電動工具メーカーは持てる限りの技術を投入して性能の良いインパクトドライバを開発しています。

近年の電動工具はバッテリー搭載によるコードレス化も進んでいて、初めに買った電動工具メーカーと同じメーカーで揃えるようになるので、新規ユーザーを獲得すべく最も製品開発力を注いで開発している電動工具でもあります。

プロユーザーが重視するのはメーカーとバッテリー容量

プロユーザーの大半はすでに電動工具を持っているので、実際のプロユーザーがインパクトを選ぶ基準はメーカーだけになります。そのため、日本国内で最もシェアが大きく、製品ラインナップも多いマキタ製のインパクトが最も人気があります。

他にも、最新のインパクトドライバはその時点の最新バッテリーと最新充電器が同梱されているので「容量の大きいバッテリーを買い足したいから」「新しい充電器が欲しいから」などインパクトドライバ以外の周辺機器の購入を目的に買い増しするケースもあります。

4Ahから6Ahのバッテリーが毎年発売されていた時期は容量の大きい新バッテリーを目的としてインパクトが買われていた時期もあった。現在はバッテリーの容量増加が停滞しているため、このような購入動機はほとんどみられない。

インパクトドライバー スペック(仕様)の要点を解説

締付トルク[N・m]

インパクトドライバの締付力の強さを表しているのが締付トルクです、単位は「N・m」で表されることが多く、この数値が大きいほど締付性能が高いことを表しています。

ただし、数値はボルト締結時の締付トルクを表しているので、木ネジ締付の速さの目安とはならないため注意が必要です。

回転数[min-1]

インパクトドライバを無負荷で回転させたときの回転数を表す数値です。

1分当たりの回転数「min-1」で表され、4,000min-1であれば、1分間に4,000回転していることになります。

この数値は軽負荷作業時の能力を表しており、打撃しないほどの軽負荷締結作業や、穴あけ・研磨ビット作業時の目安になります。

打撃数[min-1]

インパクトドライバに負荷が加わったときの打撃を開始した時の打撃数を表す数値です。

インパクトドライバは負荷が加わると動作が切り替わり、回転から打撃動作に変化します。打撃数は1分あたりの打撃回数を表しており、4,000min-1であれば1分間に4,000回打撃することを表しています。

締付トルクは打撃数以外にもモーター出力やハンマー重量も影響されるため、打撃数は仕様表記上あまり大きな意味を持ちません

バッテリー電圧 [V]

充電式電動工具の対応製品を表しているのがバッテリー電圧です。

電動工具メーカーの充電式工具は電圧さえ同じであれば同じバッテリーを使いまわせるので、電圧を見て手持ちのバッテリーが使用できるが確認します。

ただし、一部の製品シリーズは同じ電圧でも使用できない製品や、別シリーズが展開されている場合もあるので注意します。

防じん・防水

電動工具の防じん・防水機能の有無を表しています。

電動工具は屋外で使用する製品なので、防じん・防水機能を搭載していれば多少の雨風の中でも使用することができます。

国際規格のIP56とメーカーが独自に策定している防水規格で展開されています。

「マキタ」製品ラインナップ数とシェアNo1が魅力

国内1位のシェアを持つ電動工具メーカーがマキタです。他のメーカーのように尖った特徴的な機能などはありませんが、マキタ沼とも呼ばれるマキタ製品のシリーズ展開が大きな魅力です。

主力の18Vシリーズでは283モデルの製品ラインナップを展開しており、ユーザーのニーズを汲んだ製品開発、全国各地の直営営業所によるユーザーサポート、マキタ取り扱い店舗の多さからプロユーザーからDIYユーザーまで最も親しまれる電動工具メーカーです。

18Vスライドバッテリーシリーズ「TD171D」

製品名TD171D
締付トルク180N・m
回転数3,600min-1
打撃数3,800min-1
保護仕様Apt
バッテリー18V
寸法120×245×86mm
カラー青・黒・白・赤・茶
重量1.6kg
発売年2018年
  • マキタ18Vのフラッグシップモデル
  • ダブルボールベアリングで軸ブレを低減
  • 多彩な作業モードとモード切替機能を搭載

マキタTD171Dは軸受け部にダブルボールベアリングを採用して、ビットの振れを大幅に低減しているのが特徴のインパクトです。

内蔵ソフトによる多彩なモード切替を搭載しており、木材モード・ボルトモード・テクスモード2種によって多くの作業をアシストできます。グリップを握ったままのモード切替やモードメモリー機能など動作的な使い勝手を向上したモデルです。

40V MAXシリーズ「TD001G」

製品名TD001G
締付トルク220N・m
回転数3,700min-1
打撃数4,400min-1
保護仕様IP56
バッテリー40V MAX
寸法120×245×86mm
カラー青・黒・赤・紫
重量1.6kg
発売年2019年
  • マキタの高出力シリーズ40V MAXのフラッグシップモデル
  • 性能が全体的に向上
  • バッテリーも含めたIP56による防水・防じんを実現
  • 主力のマキタ18Vシリーズには非対応

2019年から展開が始まったマキタの新たな主力シリーズが40V MAXです。そのフラッグシップインパクトドライバがTD001Gです。

インパクトドライバの性能は従来の18Vモデルから全体的に向上していて、業界初のバッテリーも含めた防水・防じん規格IP56に対応した意欲作です。

36Vバッテリーにより連続作業時の温度上昇も抑えられ、連続作業でも作業が停止せず、バッテリー残量が空になるまで締付力が落ちにくい特徴を持っています。

非常に優秀なインパクトドライバですが、マキタ従来の電動工具18Vシリーズと互換性がないため、充電器やバッテリーの新たな購入が必要になります。

「HIKOKI(旧 日立工機)」性能と品質で迫るプロ向けブランド

プロ向けモデルで高い性能を備えているのが、HiKOKIの電動工具です。

最新のマルチボルトバッテリーは18Vバッテリーながら36Vバッテリーとしても使用できて、従来の18Vプロ向け電動工具と互換性を保ちつつも最新の36V電動工具シリーズに対応するシリーズです。

電動工具のパワーにも定評があり、インパクトドライバをはじめ様々な製品でトップクラスのパワーを搭載しているのが特徴です。

HiKOKI「WH36DA」

製品名WH36DA
締付トルク180N・m
回転数2,900min-1
打撃数4,100min-1
保護仕様IP56
バッテリーマルチボルト36V
寸法127×237
カラー緑・黒
重量1.6kg
発売年2017年
  • HiKOKIの高出力シリーズ36Vマルチボルト フラッグシップモデル
  • 性能が全体的に向上
  • トリプルハンマで高い締付力を持つ
  • 主力のHiKOKI 18Vシリーズに対応

HiKOKI(旧日立工機)の最新フラッグシップモデルがWH36DAです。

従来の18Vバッテリーと互換性のある36Vマルチボルトバッテリーを搭載しており、36Vバッテリー特徴の連続作業時でも作業が停止せず、バッテリー残量が空になるまで締付力が落ちにくい特徴を持っています。

ユーザーによる検証1では、木ビス打ち込みでは締付トルクが高いTD001Gよりも素早く締付ができると検証されており、締付速度を重視する大工プロユーザーなどにおすすめのインパクトです。

「KYOCERA(RYOBI)」コンパクトサイズでNo1

近年京セラグループに買収され、新たに京セラインダストリアルツールズとしてスタートしたのが旧RYOBIのブランドKYOCERAです。数年前から白を基調とした新シリーズ「EXTREME」を展開しており、高性能・小型製品を開発しているのが特徴です。

EXTREMEシリーズのインパクトは、ヘッド部の全長が短く、分割コアモーターによって軽量化・小型化を実現しているのが特徴で、取り回しに優れているのが特徴です。

魅力的な製品が多いRYOBI製品ですが、ホームセンター販路の家庭用DIYモデルが中心でプロ向けモデルの販売店が少ないのが欠点です。

KYOCERA「DID10XR」 RYOBI「BID10XR」

製品名DID10XR
BID10XR
締付トルク180N・m
回転数2,900min-1
打撃数4,100min-1
保護仕様IP56
バッテリー18V
寸法106×79×240
カラー灰・緑・金・白
重量1.5kg
発売年2017年
  • KYOCERA(RYOBI)のフラッグシップモデル
  • 体積比で締付トルクが最も高いインパクトドライバ
  • 販売店が少ない

京セラインダストリアルツールズ(RYOBIブランド同時展開)が販売してるのが、スリムボディで高い締付力を持ったDID10XRです。RYOBIブランドではBID10XRとして販売されています。

軽量コンパクトボディの狭いスペースでの取り回しが良いモデルとなっていて、作業性が大きく向上しているのが特徴です。防じん防水規格IP56にも対応しており優秀なインパクトドライバです。

残念ながらRYOBIのプロ向けモデルは製品取り扱い店舗が少なく、ネット通販上でも流通が少ないため購入が若干難しいのが欠点です。

KYOCERA「DID11XR」 RYOBI「BID11XR」

製品名DID11XR
BID11XR
締付トルク165N・m
回転数2,900min-1
打撃数3,100min-1
保護仕様IP56
バッテリー18V
寸法99.4×79×237
カラー灰・白
重量1.3kg
発売年2018年
  • KYOCERA(RYOBI)のコンパクトボディフラッグシップモデル
  • 18Vクラスのインパクトとして最もコンパクトなボディ
  • スリムバッテリーと大容量バッテリーが同梱
  • 販売店が少ない

軽量・コンパクトさを追求したのが、京セラインダストリアルツールズ(RYOBI)のDID11XR(BID11XR)です。

重量1.3kgの超軽量のインパクトドライバでヘッド部も99.4mmとクラス最小サイズなのが特徴です。

1.5Ahのスリムバッテリーと6.0Ahの大容量バッテリーがセットの仕様で販売されており、作業環境に合わせて装着バッテリーを使い分けられるのも大きな魅力です。

created by Rinker
リョービ(Ryobi)

「Panasonic」常に技術で先を行くプロ向けインパクト

電動工具業界で目立つメーカーではありませんが、電設・インフラ関連で大きなシェアを持つのがパナソニックです。

本体が家電・産業機器メーカーなだけあって、電動工具にその時の最先端技術を搭載することが多く、少し前には全長の短いインパクトの投入による電動工具業界を巻き込んだ全長短縮競争を起こし、現在ではブラシレスモーターの最新技術「ベクトル制御モーター」を投入するなど、他メーカーに対して技術やコンセプトで常に一歩先んじるメーカーです。

更に14.4Vバッテリーでも18Vバッテリーでも使える「デュアル」機能も搭載しており、手持ちの14.4Vバッテリーも活用できるのもパナソニック電動工具の優れたポイントです。

Panasonic「EZ76A1」

製品名EZ76A1
締付トルク170N・m
回転数2,800min-1
打撃数4,400min-1
保護仕様IP56
バッテリー18V, 14.4V
寸法127×60×232
カラー赤・灰・黒
重量1.6kg
発売年2019年
  • Panasonicのフラッグシップモデル
  • ベクトル制御モーターの搭載で性能が向上
  • 従来モデルより作業量が向上
  • 14.4Vバッテリーにも対応
  • バッテリーが5.0Ah仕様のみ

パナソニックのEZ76A1はモーター技術で他社を大きく先行しているインパクトドライバで、省エネかつきめ細かなトルク制御を実現する「ベクトル制御」を搭載しているのが特徴です。

パナソニックのベクトル制御はSmart BLと呼ばれています。マキタ・HiKOKIのような高電圧化の別のアプローチによる、モーター技術の改良によって連続作業時の耐久性を向上させ、連続作業量も2倍近く向上させています。

「マックス」独自機能を突き進む個性派インパクト

釘打ち機や鉄筋結束機で高いシェアを持つのがマックスです。特殊な工具に隠れがちですが、インパクトドライバなどの一般的な電動工具も販売しています。

マックスのインパクトドライバはとにかく特殊で、トリガスイッチが他社と異なる感圧「新・トリガスイッチ【瞬】」を搭載、LEDが1時間点灯し続けるランタンモード、防じん・防水の国際規格のIP56よりも過酷なMAX IEGSなど他社のインパクトとは違う意味で一線を画したインパクトドライバを展開しています。

マックス「PJ-ID153

製品名PJ-ID153
締付トルク165N・m
回転数3,000min-1
打撃数3,000min-1
保護仕様MAX IEGS
バッテリー18V
寸法127×79×237
カラー
重量1.4kg
発売年2019年
  • マックスのフラッグシップモデル
  • 独特な感圧トリガスイッチで耐久性が高い
  • IP56よりも厳しい防じん・防水仕様MAX IEGSを搭載
  • 製品仕様上のパワーが低い

マックスの電動工具は電動フィニッシュネイラや鉄筋結束機など、鉄筋コンクリート造に関わるプロユーザーに使用されることが多いため、屋外での使用が多いためか防じん・防水に対して特に優れているのが特徴です。マックス独自の保護仕様「MAX IEGS」はIP56以上に過酷な製品試験を行っており、工具単体の耐久度ではトップクラスの製品と言えます。

特に、独自の感圧トリガ「新・トリガスイッチ【瞬】」はトリガスイッチのストローク量も少ないためスイッチ内部に異物が入りにくく、屋外での使用なら最高の耐久性を誇ります。

マックスのインパクトは製品仕様上、他社比で最も能力が低く設計されており、他社のインパクトは高力ボルトM14まで対応していますが、PJ-ID153は高力ボルトM12までの対応になっている点に注意が必要です。

締結トルクトップ5(独自考察含)

マキタTD001だけ飛びぬけて220N・mの締付トルクとなっていますが、マキタとRYOBIはM16高力ボルトで測定を行っていて、締付トルクが大きく見えているため注意が必要です。HiKOKIとパナソニックはM14高力ボルトで測定を行っているので、M16高力ボルトで測定を行うとトルクはもう少し高くなるはずです。

今回順位付けした締付トルクランキングは、カタログスペックで表している締付トルクだけではなく、取扱説明書に記載された「締付トルク-締付時間グラフ」・測定条件のボルト径・バッテリー電圧・重量・打撃構造などから、当サイト独自の考察により順位付けを行いました。

締付トルクの順位は必ずしも性能を保証するものではなく、実際の締付トルクもビットやボルトなどによって変化するため、参考としてご覧ください

順位製品名外観備考
1位マキタ
TD001G
220N・m
M16高力基準
40V MAX
2位HiKOKI
WH36DA
180N・m
M14高力基準
マルチボルト36V
3位HiKOKI
WH18DDL2
177N・m
M14高力基準
18Vバッテリー
4位マキタ
TD171D
180N・m
M16高力基準
18Vバッテリー
5位KYOCERA
DID10XR
180N・m
M16高力基準
18Vバッテリー

ヘッド全長トップ5

インパクト仕様でパワーの次に気になるのが大きさです。

ヘッド部全長の大きさは実際の作業の使い勝手に大きく影響します。狭い部分での取り回しや、腰袋にインパクトを入れて動き回るプロユーザーの方などはヘッドの全長が小さいインパクトを最重視しています。

ヘッド部にはインパクトの中核とも言えるモーターと打撃機構が搭載されているので、ヘッド部分の小型化はパワーの低下にも繋がるので低出力な製品になるのが特徴です。例外として、KYOCERA(RYOBI)のDID10XR(BID10XR)はコンパクトボディながら比較的高パワーなインパクトドライバになっています。

順位製品名全長外観
1位KYOCERA
DID11XR
(BID11XR)
99.4mm
2位KYOCERA
DID10XR
(BID10XR)
106mm
3位マックス
PJ-ID153R-B2C
109mm
4位マキタ
TD171D
116mm
5位マキタ
TD001G
120mm

脚注

  1. 【Makita40V vs HiKOKI36V】衝撃の結果に!??最強インパクトを比較!マキタの40Vmaxインパクトとハイコーキの36Vインパクトを徹底比較してみた。後編|平野屋チャンネル
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