電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は2021年6月28日に80Vmaxシリーズの充電式草刈機 MUR012GをYouTubeチャンネル上で発表した。40Vmaxバッテリー2本装着による72V動作で40mLエンジン式相当の使い勝手を実現する。
目次
マキタ 80Vmax 充電式刈払機 MUR012G
電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は2021年3月にYouTubeチャンネル上で80Vmaxシリーズ新型の充電式草刈機 MUR012Gを発表した。
40Vmaxバッテリーの2本装着による72V動作とハイパワーブラシレスモーターの搭載によって40mLエンジン式と同等の使用感を実現。充電式刈払機として世界最強の圧倒的パワーを実現する。
製品仕様は非対称U字ハンドルのMUR012Gのみ。1充電当たりの作業量は約400坪(約1,320m2)
販売仕様は製品PVのGZの製品名から本体のみのMUR012GZで販売が行われる。
- MUR012G 本体のみ 希望小売価格97,000円(税抜)
MUR012G製品仕様
製品名 | MUR012G |
草刈刃径 | 255mm |
無負荷回転数 | 3 (40mLクラス):0~6,400min-1 2 (35mLクラス):0~5,000min-1 1 (27mLクラス):0~3,500min-1 |
騒音値 | – |
動作電圧 | 72V |
対応バッテリー | 40Vmax×2本 |
重量 | 8.5kg(BL4050F×2装着時) |
寸法 | 1,854×585×495mm |
ハンドル仕様 | 非対称Uハンドル |
発売年月 | 2021年6月 |
本体価格 | 97,000円 |
製品の特徴「充電式刈払機 世界最強の40mLクラス」
MUR012Gは、マキタ充電式刈払機の最上位モデルの80Vmax対応ハイパワークラス刈払機です。
40Vmaxバッテリーを2本装着する72V動作によって充電式刈払機として40mLエンジン式と同等の使用感を実現し世界最強のパワーを実現しています。
ヒートシンク付きのコントローラとモータの強制冷却構造によって、発熱を抑え重負荷作業と連続作業も安定して行えます。低回転制御によってエンジン式よりも安定した作業性を実現し、作業性も向上しています。
後端モータの搭載で使いやすい最適重心バランス
モーターを後方にレイアウトすることで、エンジン式と同等の最適重心バランスを実現。
先端部分はギアケースのみの軽量構造なので振りやすくて使い勝手に優れています。
用途で使い分けが出来る3スピード+楽らくモード
MUR012Gは全ての操作が手元のハンドルで可能。ワンタッチで電源制御や回転数の切り替えできます。
標準3スピードモードの回転数切り替えに加え、楽らくロングドライブモードを搭載。作業負荷に応じて刃物回転数を自動変速して1充電あたりの作業量を向上させます。
楽らくロングモードでは、「金属刃・樹脂刃」と「ナイロンコード」それぞれの刈刃に合わせた最適モードが選択可能です。
刈刃に絡まった草もワンタッチで取れる「カラミトリ機能」
刈刃を逆回転させて絡みついた草をワンタッチで除去できるカラミトリ機能を搭載。手元ハンドルのボタンワンタッチで操作できます。
1充電あたりの作業量は約400坪(約1,320m2)
1充電あたりの作業面積はBL4040(144Wh)バッテリー装着時に約400坪(約1,320m2)を確保。400坪を大雑把に例えると25mプール4~5個分の面積に対応します。
ただし、この作業量は楽らくロングドライブモード時の作業量なので、実際の作業時では刈払方法や刈刃・草木の密集状態などによって変化するため注意が必要です。
製品PV内の参考作業面積から各40Vmaxバッテリー装着時の作業量を換算すると下記の表に示します。(実際の作業量とは異なる場合があります)
バッテリー | 高速モード時 | 楽らくモード |
---|---|---|
BL4025 | 約166坪(550m2) | 約250坪(825m2) |
BL4040 | 約266坪(880m2) | 約400坪(1,320m2) |
BL4050F | 約333坪(880m2) | 約500坪(1,650m2) |
キックバックから作業者を保護するAFTを搭載
不意な接触やキックバックから作業者を保護するAFTを搭載。
急激な回転数低下を検知して刈刃の回転を停止させて事故を防ぎます。
屋外でも安心して使用できるIPX4適合
不意な雨天時にも安心な防水構造IPX4に適合。
両肩タイプの肩掛けバンドを採用
製品荷重を両肩で受ける肩掛けバンドを採用、大型高出力の刈払作業でも作業時の疲労を軽減します。
別売アクセサリで幅広い作業に対応
エンジン式40mL相当の高出力と回転数制御によって幅広い作業に対応するアクセサリも拡充。密集地から細枝の伐採までさまざまな作業に対応できます
蔓や茂みを粉砕する「シュレッダー刃」
密集した草木を切り開くシュレッダー刃が登場。絡みつきやすい蔓や茂み・笹などの刈込に使用します。
湾曲構造の2枚刃でパワフルに裁断し、上からかぶせるようにすれば刈り込んだ草を細かく粉砕できます。
ただし、シュレッダー刃は原理上2枚金属刃と同じなので作業時の防備を完璧にした方が良いでしょう。
安全性を重視して粉砕を行いたい場合は、回転数を落として伊藤レーシング ブレードレスロータリーブレードを使用するのがおすすめです。
細い木も切断できる「チゼル刃」
細い木の切断に対応するチゼル刃にも対応。
草の刈払いはもちろんのこと、のこぎりを持ち出さなくても刈払機でそのまま木の切断できるので刈払い作業を大きく向上させることができます。
強力な切断力を持ちキックバックの発生や事故危険性も高いので、チゼル刃を使って作業する場合は防備を完璧に整えて使用しましょう。
切れ味がシャープで安全性の高い「樹脂刃」
ナイロンコードより優れた切れ味と安全性を両立した「樹脂刃」にも対応。中負荷作業に最適です。
軽負荷作業に最適な「ナイロンコードカッター」
安全性が高く軽負荷での作業効率に優れたナイロンコードカッターにも対応。
構造物が多く金属刃が使用できない作業場所でも使用できます。
エンジン式40ml刈払機との違いは?
登場当初は玩具のような扱いを受けていた充電式刈払機でしたが、登場してから約10年ほどでエンジン式に匹敵するまでの性能を備えるようになりました。
今回のMUR012Gに関しては、マキタの謳い文句の通り「40mL相当の出力」は伊達ではないものと予想しています。
バッテリーの仕様上、BL4040は単体で1.5kWの出力に対応するので、2本装着した80Vmaxなら原理上3kWの高出力に対応できます。エンジンカッターなどの排気量60mLクラスのエンジンの出力が約2.5kW前後なのを考慮すれば、バッテリー式であっても80Vmax仕様であればエンジン式製品と同等の出力の実現が可能です。
「40mL相当の使い勝手」についてもバッテリー出力だけを考慮すればエンジン式40mL相当の出力は十分に実用可能なクラスであり、実際の使い勝手もエンジン式とほとんど変わらないと予想されます。
ただし、BL4025バッテリーでは40Vmaxのバッテリー最適化システムによって出力制限がかかることが予想されるため、BL4040推奨となるでしょう。
製品仕様的にはエンジン式を代替できるMUR012Gですが、最もネックになると考えられるのは「作業量」です。
1充電当たりの作業量は約400坪と充電式モデルとしては広大な作業面積を実現していますが、実際の作業環境やバッテリー劣化も考慮すると少し眉唾な気もします。
80Vmaxシリーズは40Vmaxシリーズのような背負い式ポータブル電源PDC1200のような大容量バッテリーがまだ存在しないので、電源環境に乏しい山林整備等で多用するには予備バッテリーを多く用意しなければなりません。コスト的や運搬重量的な面では不利になります。
今回のMUR012Gに関しては、山林整備等の重負荷作業にも対応できる刈払機ではありますが、バッテリー容量の問題が足を大きく引っ張っているため、山奥の山林整備よりも住宅地で手軽に使える高出力なオールラウンダー刈払機と考えるのが良いかもしれません。
エンジン園芸機器を充電式に移行させる決定打となるか?
マキタ80Vmax園芸シリーズの展開によって40Vmaxシリーズも勢いが付いてきた印象があります。
先述した通り、80Vmax仕様であれば40~50mLクラスのエンジン式製品を同等の出力仕様で充電式モデルにすることが可能です。
電動工具としては既存のマキタ18Vシリーズと競合しているため、いまいち普及が進まない40Vmaxですが、充電式園芸機器分野ではマキタが性能・製品数・技術・サポートなど全ての面で他社を大きく凌駕しているため、充電式園芸機器のリーディングブランドとして40Vmaxは真っ先に候補に挙げられるほどの性能を持っています。
80Vmax園芸機器は未知のシリーズですが、今後さらに80Vmaxシリーズが拡充されればチェンソーや芝刈り機などより大きな出力を必要とするエンジン式製品の充電式化が進むと予想されます。
さて、今回のMUR012Gはエンジン式40mL相当の期待の充電式刈払機ですが、ほとんど情報が明かされていない製品です。情報の初出が製品カタログやニュースリリースよりも先んじてYouTubeチャンネルで公開されているため、詳細な製品仕様は情報開示待ちとなっています。
耐久性に関しても未知数で、製品構造にモータファンを使用した強制冷却構造は搭載しているものの、耐久性や温度保護がどこまで耐えられるのかが気になるところです。80Vmax高出力モーターは実績がほとんどない製品なので、実使用でも問題なく使えるかは展示会などでマキタ営業マンと相談しながら選んだ方が良いでしょう。
エンジン式製品と異なり電子部品を多く搭載する充電式化刈払機はデリケートな製品なので、本格的な夏に向けて買い替えを考えている方であれば、レビューや評判を確かめてから購入検討を進めるのがおすすめです。
マキタ MUR012Gまとめ
マキタ 充電式刈払機 MUR012G
VOLTECHNO製品評価 未評価
マキタ 80Vmaxシリーズの充電式刈払機、エンジン式40mL相当
40Vmax 25mLクラス | マキタ MUR001Gシリーズ |
40Vmax 30mLクラス | マキタ MUR005Gシリーズ |
- エンジン式40mL相当の出力
- 27/35/40mLの範囲で変速可
- 刈刃に応じた最適モードを搭載
- さまざまな刈刃に対応
- ポータブル電源が未発売
- 充電器・バッテリーの別売り仕様のみ