マックス株式会社
事業名 | マックス株式会社 インダストリアル部門 機工品事業 |
本社所在地 | 東京都中央区 |
設立 | 2018年1月10日 |
事業収益 | 非開示 |
資本金 | 123億6千7百万円 |
時価総額 | 890億円(2021年8月時点) |
事業 | オフィス機器・機工品・住環境機器の製造、開発、販売 |
従業員数 | 連結 2,507名 単独 896名 |
事業戦略 | 空気工具・鉄筋結束機に強み |
マックスの製品指向性
プロ向け電動工具 | DIY向け電動工具 | ||
プロ向け園芸機器 | 家庭向け園芸機器 | ||
空気工具 | 充電式清掃機器 | ||
アウトドア製品 | 家電製品 |
マックスはホチキスなどオフィス機器で有名ですが、機工品事業で空圧技術を中心としたエア式の釘打ち機も得意とする工具ブランドの一面も持つ企業です。
国内においてはエア工具で高いシェアを獲得しており、高圧エア工具を中心とした製品展開の集中戦略によってマキタ・HIKOKIなどの競合メーカーに対しても優位な立ち回りを実現しています。
エア工具のほかにも、一時期は充電式電動工具の開発も積極的に行っていましたが、一時期ほどのプロ向け電動工具の展開は行っておらず、2021年現在では得意とする鉄筋結束機を中心とした拡販を進めています。
主力は空気工具、最近は鉄筋結束機のシェアを拡大
マックスの主力製品は高圧エアを使用する空気工具ですが、高圧エアの空気工具は日本市場特有の製品であり、諸外国ではほとんど普及していません。
電動工具に関しては18Vバッテリーシリーズを採用したシリーズ展開を進めていますが、充電式電動工具シリーズとしては最低限の製品ラインナップを揃えるのみであり、ここ最近は充電式製品の開発も消極的になりつつあります。
近年の傾向としては、鉄筋コンクリートの施工に使う充電式鉄筋結束機を積極的に進めており、鉄筋業界の作業効率化・熟練度を必要としないツール・人手不足解消として需要が増えており、その拡販を進めています。
実は園芸機器も取り扱うメーカー
ホチキスや釘打ち機のイメージが強いマックスですが、実はインダストリアル部門のAFと呼ばれる事業では園芸機器も取り扱っています。
充電機器では充電式剪定ハサミ ザクリオを販売しており、フィーリングに優れた園芸機器として一定の評価を受けています。しかし、バッテリーが主力充電式製品の18Vバッテリーではなく25.2Vを採用しているため、互換性はありません。
電動工具ではありませんが、果樹栽培に使用する結束機の「楽らくテープナー」などや袋とじ機「コニクリッパ」などのマックスの結束技術を生かした製品が農家や食品の分野で活躍しており、日本のみならず世界中の食の安全において、無くてはならない製品として活躍しています。
市場動向や技術展開で事業経営が左右される不安定さ
マックスの機工事業は、強みを生かせる分野が限定されていることもあり、市場動向や技術展開を考慮した長期的な展望次第で厳しい状態になり得るブランドです。
主力の釘打ち機に関しては、モーターとバッテリー技術の進歩による電動釘打ち機の開発が各社進んでおり、既に一部の作業においては電動釘打ち機がエア釘打ち機に取って代わりつつあります。
マックスは海外地域の釘打ち機のシェアが低いため、現時点ではそこまで大きな影響にはなっていませんが、日本国内においても電動釘打ち機の波が少しずつ押し寄せており、既にフィニッシュネイラ以下の釘に関しては電動釘打ち機が主体になりつつあります。
釘打ち機それ自体に関する技術力は電動釘打ち機であってもマックスが優位ですが、バッテリーやモーターを含んでしまうと競合のマキタ・HiKOKIの存在が無視できなくなります。
2022~2024年3月期のインダストリアル機器部門の経営計画においては、「国内・海外の鉄筋結束機事業を中心とした事業成長」を掲げており、エア工具に変わる新たな事業の柱として鉄筋結束機の拡販を進めています。
成長が見込まれる事業であるが故に競業企業の新規参入を避けることは難しく、最大の競合になるマキタが充電式鉄筋結束機の展開を進めています。企業全体で攻勢をかけるマキタに対し、1部門の1事業で戦うマックスがどこまで技術的な面のみで優位性を保てるかが今後注視すべき点になるでしょう。