ポータブルバンドソーとは帯刃で切断する電動工具

バンドソーとは帯状（バンド）の刃（ソー）を回転させて切断を行う電動工具です。

バンドソーにはさまざまな種類があり、手で持てるサイズ感で現場での解体や管材料の切り出しに使用モデルがポータブルバンドソーと呼ばれています。

回転する輪っか状の鋸刃を使用して1方向に向かって切断していくため、刃物の食いつきも良く切断スピードが速いのが特徴です。砥石やチップソーのように火花も発生せず切削粉の飛散も少ないので、肉厚の金属管材料や金属丸棒などの切り出しにも使われます。

現場向けの持ち運べるポータブルバンドソーが人気

現場用の切断工具として人気を集めているのが、持ち運びできるポータブルバンドソーです。パイプ切断や軽天などの棒形の鋼材切断に最適で、高い切断能力と持ち運び安さから、電気工事・ガス管・水道工事などインフラ中心の作業で高い評価を受けている電動工具です。

ポータブルバンドソーは、現場合わせの切断作業や設置済みパイプの解体作業など幅広い現場でさまざまな用途に活用できます。

金属切断を行う切断工具としては、比較的安全に使用できるのも大きなメリットです。高速回転するディスクを使用しないので、火花や金属破片の飛散・キックバック等の心配もなく、僅かな荷重で切断が進むので、不安定な作業現場での切断にも対応できます。

幅広い材料の長物切断に対応する電動工具

バンドソーはのこぎり状の金属帯ブレードで切断を行うため、材料を選ばず幅広い作業に対応できる特徴があります。

一般的な切断工具では、材料に合わせた砥石やディスクを使わなければ切断性能を発揮することができないのですが、バンドソーは同じブレードで形状・材料を問わず幅広い切断作業に対応できます。

ただし、帯ブレードが2山上かかる厚みの材料でなければ引っかかってしまい綺麗に切断することができないため、薄い板金で作られた材料の切断には不向きです。

ほかの金属切断電動工具との特長比較

主要な金属切断工具と比較すると、下表のようになります。

工具分類	バンドソー	ディスクグラインダ	レシプロソー	チップソーカッタ
切断方式	帯ブレード切断	砥石回転研削	ブレード往復切断	チップソー回転切削
切断スピード	◎	〇	△	◎
切断寸法	△	〇	◎	〇
安全性	〇	△	◎	△
粉じん発生	〇	×	〇	△
ブレードコスト	△	◎	△	〇
工具本体価格	×	◎	△	△

バンドソーは、他の切断工具と比べると帯ブレードによる一方向の回転によって高い金属切断スピードを持ちますが、その分バンドソーの構造的な限界があるので、切断寸法に関しては製品の最大寸法サイズに制限されてしまいます。

金属切断工具として安全性に優れているのは大きな特徴です。バンドソーの使う帯ブレードはそこまで鋭いものではなく、他の電動工具と比べて高い周速を持つわけでもないので比較的安全に使用することができます。周速が遅いことから粉じんも飛び散りにくいので、ゴミが飛散し難い利点もあります。しかし、集じん機との接続ができないので注意が必要です。

コストに関しては、帯ブレードと工具本体、共に高い傾向のある製品です。この点から、解体業やパイプを多用するインフラ関連のユーザーでは高い恩恵を受けられますが、他の切断工具でも代用可能な作業を行っている方にとっては、少し割高となる金属切断工具です。

ポータブルバンドソーのおすすめ機種

40Vmaxのハイパワーポータブルバンドソー マキタ PB001G

マキタ40Vmaxシリーズのポータブルバンドソーがマキタ PB001Gです。

高電圧バッテリーによるハイパワー駆動ながらも0.8m/sの低周速にも対応しており、ステンレス材などの難切断材料の切断作業も行えるのが特徴です。IP56適合による防じん防水や別売部品によるスタンド切断にも対応するオールラウンダーモデルです。

製品名	PB001G
最大切断能力	丸パイプ：120mm 角パイプ：127mm
周速	0.8～3.2
モータ	ブラシレス
電源方式	40Vmax
重量	6.7kg
寸法	510×231×302mm
本体価格	75,500円(税別)
販売年月	2022年9月

マキタ PB001G 充電式ポータブルバンドソーを発表、最大Φ120mmの大径切断モデル

アルミフレームで剛性アップ＆安定切断 マキタ PB183D

アルミフレームの搭載によって本体の剛性と切断性能を向上したのが、マキタの18Vポータブルバンドソー PB183Dです。

小型のポータブルバンドソーながらもPB183Dはアルミフレームの採用によって剛性の向上と本体サイズの小型化を実現しており、安定した切断を可能としています。

製品名	PB183D
最大切断能力	丸パイプ：66mm 角パイプ：66mm
周速	1.3～3.2m/s
モータ	ブラシレス
電源方式	18Vバッテリ
重量	3.8kg
寸法	392×174×242mm
本体価格	43,900円(税別)
販売年月	2020年4月

マキタ PB183D 充電式ポータブルバンドソー、アルミフレーム採用で剛性アップ・安定切断

コンパクトサイズの51mm切断対応バンドソー マキタ PB184D

コンパクトサイズのバンドソーながら、51mmの切断サイズを実現しているのが PB184Dです。

PB183Dを一回り小さくしたボディで取り回しに優れているのが特徴で、ちょっとした用途の切断作業にピッタリなモデルです。小型モデルながらもアルミフレーム採用で高い剛性を搭載しているので、安定した切断作業を可能としています。

製品名	PB184D
最大切断能力	丸パイプ：51mm 角パイプ：51mm
周速	1.3～3.2m/s
モータ	ブラシレス
電源方式	18Vバッテリ
重量	3.5kg
寸法	372×162×223mm
本体価格	41,800円(税別)
販売年月	2020年4月

ポータブルバンドソーを選ぶときのポイント

1. 最大切断幅を確認する

バンドソーは構造的には複雑な製品ですが、切断する原理はシンプルな製品なので製品ごとにそこまでの大きな違いはありません。

ポータブルバンドソーで最も異なるのは、最大切断幅です。

バンドソーはその構造上、ブレードが露出している幅とその奥行きまでしか切断できないので、他の金属切断工具に比べて最大切断寸法が大きく制限されています。そのため、必要とする最大切断寸法のバンドソーを選ぶのが必須と言えます

ポータブルバンドソーは乾式切断なので注油は不要

一般定なバンドソーは切削油を注油しながら切断を行いますが、ポータブルバンドソーは基本的に乾式切断のバンドソーなので切削油を垂らして切断するのはNGです。

切削油を使うことでブレードの潤滑性は上がりますが、ブレードを駆動するのこ車に油が付着すると空回りや帯ブレード外れの原因になるため、ポータブルバンドソーはそのままの状態で切断を行いましょう。

ポータブルバンドソーの互換品替え刃は少ない

金属切断工具の中でも、バンドソー用の鋸刃はコストが高い傾向にあります。

バンドソーは製品毎にバンド長が異なるため製品ごとの互換性もないため、ほとんどの場合バンドソー純正の替刃を使用した方がおすすめです。製品によっては社外品の替え刃も販売されていますが、純正品と大きな価格差はありません。

ポータブルバンドソー 製品ピックアップまとめ