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USB Type-Cのスクリューロックとは?ねじ固定の規格と実際の製品を解説

USB Type-Cのスクリューロックとは?ねじ固定の規格と実際の製品を解説

USB Type-Cのプラグには、抜け止め用のねじが付いたケーブルがあります。スクリューロックはRS-232Cや古いディスプレイケーブルなどではおなじみのスクリューロックですが、USB Type-CにもUSB-IFが機構や寸法を定めた規格が存在します。

USB Type-Cにはスクリューロック固定の規格がある

USB Type-Cは、USB 4やUSB PDなどを内包する最先端の通信・電源コネクタです。

一般的なUSB Type-Cケーブルは、プラグ単体でコネクタに差し込んで保持する方式広く普及していますが、USB Type-Cの規格上には、RS-232CやVGA端子のように、ネジでプラグとコネクタを固定するスクリューロック構造が定められています。

このスクリューロック構造は採用例こそ少ないものの、ねじ1本で固定するシングルスクリューロックと、ネジ2本のデュアルスクリューロックを定義しており、プラグの脱落が許されない用途や接触不良による信頼性を確保したい場面で使用されています。

USB-IFが公開しているのは、「USB Type-C Locking Connector Specification」という補足規格です。2016年3月9日にRevision 1.0が発行され、現在の配布資料には2024年4月10日付のプラグ寸法更新文書(ECN)が含まれています。

本記事では、USB-IFの仕様とメーカー資料を基に、固定方法の違いと実際の製品を解説します。

プラグ外周のねじで固定する USB Type-C Locking Connector

シングルスクリューロック付きUSB Type-Cプラグと機器側のねじ穴の位置関係
プラグ側のねじと、ポート周囲のねじ穴を使って固定します。写真はメーカーが示す接続例です。 出典:サンワサプライ公式製品情報

普通のUSB Type-Cコネクタは、プラグを差し込んだ時にカチッとはまり簡単な抜け止めがあり、プラグ内部のラッチが機器側コネクタの舌部に掛かる構造になっています。

普通のスマホ充電やパソコンへのデバイス接続であれば、プラグだけのラッチ固定でも十分ですが、昨今のUSB Type-Cは適応範囲が増えており、モバイルデバイスだけではなく産業機器や電源装置にも適用が進んでいます。そういう場合の接続の信頼性を確保できる構造として、スクリューロック式のUSB Type-Cコネクタが使われます。

スクリューロックによって、機器を接続した後に配線に触れる可能性がある場所などで不意の引っ張りによる接続外れを抑える利点があり、不意のコネクタ脱落や接触不良を抑える効果が期待できます。

ちなみに、USB-IFが定める規格上では、”USB Type-C Locking Connector “が正式名称です。

USB Type-Cのスクリューロックにはねじ1本のシングルと、2本のデュアル

規格図面では、両方式ともねじはM2×0.4。M2は呼び径2mm、0.4はねじのピッチを表します。デュアル式の機器側ねじ穴は、中心間隔15mmを基準に配置されています。

比較項目 シングルスクリュー デュアルスクリュー
ねじの配置 プラグの広い面側に1本 プラグの左右に2本
規格が想定する配置上の利点 左右方向のスペースを抑える 高さを抑える/2点で固定する
ねじ M2×0.4 M2×0.4
裏返した向きでの固定 機器側の上下両側にねじ穴があれば可能 可能

Single Screw USB Type-C Locking Plug:横幅を抑えて固定できる

シングルスクリューは、プラグの幅の広い面側にねじを1本配置する方式です。

ポートを横向きに見たとき、ねじは上側または下側に位置します。USB-IFの規格では、左右方向のスペースが限られた機器を想定しています。

USB Type-Cの接続はコネクタとしては表裏のどちら向きでも使えますが、このシングルスクリューロックは機器側のねじ穴が片側だけなら、ねじで固定できる向きも片方だけになる欠点があります。

USB-IFの規格で定められているシングルスクリューロックのUSB Type-Cコネクタ

Dual Screw USB Type-C Locking Plug:左右2点で固定

デュアルスクリューは、プラグの左右にねじを1本ずつ配置した構造になっています。RS-232CやVGAなど、古めのコネクタではおなじみの形状となっています。

幅方向に固定用のスペースを使う一方、高さを抑えたい機器や、2本のネジによる確実な固定を行いたいケースに向いています。ちなみに左右対称の配置なので表裏を反転させても固定できます。

USB-IFの規格で定められているデュアルスクリューロックのUSB Type-Cコネクタ

スクリューロックにはストレート形状以外のプラグもある

スクリューロック構造のプラグには、コネクタからまっすぐ出ているストレート型プラグしかないイメージもありますが、実は、水平L字や垂直L時などストレート以外のケーブルも許容されています。

例えば、水平L字ケーブルはプラグ挿入方向に対して真横に出る構造になっているため固定ネジは1本となってしまいますが、装着時の干渉などを抑えてコンパクトかつ堅実な実装が可能になります。

ねじ穴のないUSB-Cポートにも接続できる?

USB-IFの規格上では、ねじをプラグ外装の当接面と同じ位置、またはその内側まで引き込める構造を要求しています。

つまり、ネジ穴の無いUSB Type-Cコネクタであっても、ねじを引き込むことで、ねじ受けのない通常のUSB-Cポートにも接続できる構造を要求しています。

また、ロック付きプラグはねじを収める分だけ外装が大きくなっているため、奥まったポートや隣接端子との間隔が狭い機器では、この外装が干渉する場合があるため注意が必要です。

スクリューロック付きUSB Type-Cプラグは、固定用のネジが引き込めるようになっているので、機器側にネジ穴が空いていなくても挿入できる。

スクリューロックとUSB4・USB PDは別の規格

スクリューロックが定めているのは機械的な固定方法です。USB 2.0、USB 3.2、USB4といった通信への対応や、USB PDの給電能力とは別にスクリューロック構造が定められています。

実際に、スクリューロック付きのUSB Type-Cケーブルにも480Mbpsや20Gbpsなど速度が異なるケーブルがあります。

実際に製品化されているケーブルと対応機器

サンワサプライ:片端を固定する20Gbps・240W対応ケーブル

サンワサプライのKU-20GCCPEDSL10はデュアルのスクリューロックを採用した産業用の20Gbps・PD240W対応のケーブルです。

いわゆる全部入りのUSB Type-C認証ケーブルで、さらにスクリューロックを装着した、最強クラスのUSB Type-Cケーブルとなっています。データ転送だけではなく、大電流給電や映像出力に対応できるため、ほぼすべての用途に対応するオールラウンドな仕様になっています。

その分、産業用ということもり価格も1本あたり約6,000円程と高価なケーブルであるため、一般用途で使うことほとんどありません。

DC-C1:カメラ本体に直接給電するDCカプラ

機器側の採用例として身近な製品では、ソニーのミラーレス一眼 αシリーズのDCカプラがシングルスクリューロックに対応しています。

この機器は、カメラ本体に、USB Power Delivery(PD)65W以上対応のACアダプターなどの外部電源と5A対応のUSBケーブルを用いて直接給電するための機器で、その電源供給のためのUSB装着口にシングルスクリューロックの取付穴を備えています。

カメラは電源供給が途絶えると撮影が停止してしまうため、大容量モバイルバッテリーを用いて長時間の連続撮影を行う場合には、ぴったりの用途と言えるでしょう。

P500H10シリーズ:産業用外付けSSD

産業用コンピュータを扱うハギワラソリューションズでは、デュアルスクリューロックに対応する外付けSSDを販売しています。

産業用SSDに位置付けられる本製品は、生産現場や産業機器への組込みをターゲットに開発されており、振動や衝撃、屋外での運用を想定したSSDのため、振動対策としてスクリューロックが採用されています。

差したまま使うUSB-C接続に向いた仕組み

USB Type-Cのスクリューロックは、接続の信頼性を上げる手段としてプラグを固定するものです。

このスクリューロックは、古くはRS-232CやVGA、IEEE1284などで採用されていたコネクタの固定方法ですが、最近は産業用途を中心にUSB Type-Cでの採用も進んでいます。

一般用途ではなかなか見ないスクリューロックUSB Type-Cですが、機器側としてはM2のネジ穴を仕込めば意外と簡単にネジ穴を取り付けられるので、通信と電源供給に広く使われるUSB Type-Cを、そのままネジで固定できる点も魅力と言えます。

対応する機器とケーブルを組み合わせれば、使い慣れた接続方式のまま抜け止めを追加できるため、現在の通信・電源用コネクタの中でも、比較的手軽に固定できる選択肢と言えるでしょう。

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