板金は金属材料ですが1ミリ前後の厚みの金属板を指し、通常の金属切断とは異なる工具を使用するのが特徴です。板金の切断はせん断工具を使用することが多く、研削や切削での切断工具を使用することはほとんどありません。
本記事では手持ち工具または動力工具を紹介しており、レーザーやプラズマ等の切断機は除外しています。
目次
薄い金属板の板金はせん断による切断が基本
板金の切断はパイプや棒材料と異なり、専用の工具を使用して切断することが多い金属材料です。
グラインダやチップソーカッターなどの汎用的な回転切断工具でも切断できますが、薄い金属版に切断砥石を使用すると引っかかってしまったり、チップソーの食い込みで板金を細かく傷つけてしまう場合もあるので、薄い板金の切断はハサミと同じようなせん断による切断工具を使用します。
金切りばさみ
板金の切断で一番手軽なのが、金切りばさみを使用する方法です。金切りばさみは金属を切断できるハサミ全般を指しており、用途によって電工ばさみ、ケーブルばさみ、万能ばさみと呼ばれる製品も販売されています。
通常の紙を切るハサミと異なり、刃の部分が短くて柄の部分を長くしているのが特徴で、刃の材質も炭素鋼やモリブデン鋼など硬度が高く靭性の高い材料が採用されています。
切断能力は製品によって変わりますが、軟鋼板で0.5mm前後、倍力型でその2倍の1mmまでが目安となっています。
ニブラ
ニブラとはパンチングによって板金の切断を行う工具の総称です。
ニブラによる切断はニブリングと言い、紙にファイル綴じ用の穴をあける穴あけパンチと同じ原理で切断を行います。ニブリングによる切断は非常に早く、電動工具であれば力も不要なので非常に作業しやすいのが特徴です。
切断はウェーブ形状の屋根材料の切断にも対応しており、切断くずも大きいため清掃が容易なのも利点です。
手でニブリングできるハンドニブラも販売されており、切断だけであれば金切りばさみ、開口を行う場合はハンドニブラと使い分けがおすすめです。
シャー
シャーとは電動金切りハサミの総称です。シャーによる切断をシャーリングと呼びます。
シャーリングは金切りばさみの刃の動きをモーターの力で高速上下運動させているもので、手動の金切りばさみよりも素早く・分厚い板金を切断することが可能です。切断に握力は不要ですが、切断時の押し込みに力がいる場合も多いので見た目ほど容易に切断を行うことはできない点に注意が必要です。
シャーの他にストレートシャーもあり、こちらは切断による板金の歪みが少なく真っ直ぐ切断できるシャーになりますが、切断くずが発生するシャーです。