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鉛蓄電池UPSにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーはどこまで使えるか①

鉛蓄電池UPSにリン酸鉄リチウムイオンバッテリーはどこまで使えるか①

本記事は、メーカーが想定していないリン酸鉄リチウムイオンバッテリーをUPSに接続した場合の技術的な検証・実験です。発熱・発煙・発火・故障などの危険を伴う可能性があるため、同様の改造や使用を推奨するものではありません。

UPSにLFPバッテリーを使ってみたい

筆者はその昔、Windowsマシンに3台のHDDを繋いでRAID5構成にしたファイルサーバのような運用を行っていたことがあったのですが、ファイル転送中に落雷で停電になりRAID崩壊を起こしたことがあります。

その経験から、24時間稼働のPCやNASには必ずUPSを接続するようにしているのですが、UPSは基本的に鉛蓄電池で動くものが大半であり、3年程度で内蔵のバッテリーが寿命になってしまうため、新しい鉛蓄電池に交換しなければいけません。

交換と言っても純正バッテリーなら1万円くらいであり、社外品の互換電池でありば5千円くらいで済むUPS用鉛蓄電池なのですが、それでも2~3台のUPSを運用していると頻繁に電池を交換しているような感覚になり、懐事情としてもあまり良い感じではありません。

LFPバッテリーは、鉛蓄電池と近い電圧で動作するバッテリーであり、充放電サイクル寿命が長く、自己放電も少ないメリットがあります。また、鉛蓄電池で問題になりやすいサルフェーションや液漏れの心配が少ない点も利点です。

そのため、UPSで鉛蓄電池の代わりにLFPバッテリーを使えれば、10年近くバッテリー交換不要なUPSになるのではないかと思いました。

ただし、これらはあくまでLFPバッテリー単体としてのメリットであり、鉛蓄電池用UPSにそのまま安全に使用できることを意味するものではありません。充電制御や保護回路、BMSとの相性は別途確認が必要になります。

と言うわけで、今回のシリーズではオムロンの定番UPS BY35SにLFPバッテリーを装着して、無停電電源装置としてどこまで動作するか試してみます。

UPSから鉛蓄電池を取り出してLFPバッテリーを装着する

今回装着するLFPバッテリーは寸法151×66×97mmの7Ah品です。サイズも純正バッテリーとほぼ同じ形状なのでそのままUPSに換装できます。

写真左がBY35S、真ん中が純正バッテリー、右が今回使用するLFPバッテリー

純正の鉛蓄電池は2.6kgもの重量があるバッテリーなのですが…

LFPバッテリーは半分以下の1kgです。これで鉛蓄電池とほぼ同じ電流容量があるので、バッテリー技術の進歩を感じざるを得ません。

UPS装着前には、バッテリー仕様書を確認しながら、鉛蓄電池を装着しているとき時のUPSの充電電圧波形の測定やバッテリー単体での充放電試験の結果を比較しながら確認し、安全上問題ないかを確認します。

と言うわけで、充電動作としては問題は無さそうだったのでUPSにLFPバッテリーを装着してみます。寸法もほぼ同じバッテリーなのですんなり入りました。

LFPバッテリーを装着したUPSを交流電源装置に繋いで、電圧範囲をBY35Sの製品仕様値であるAC86~114Vに動かしたりして充電が遮断したり動作が停止しないか挙動を見てみます。

意外なほどすんなり動いたLFPバッテリー搭載UPS

鉛蓄電池で動作するUPSにLFPバッテリーを装着してみたところ、意外にもすんなり動作し、UPS側の表示上では満充電状態になることや、バッテリー残量表示が0になるまでの放電動作も確認できました。

そのため、今後はこのまましばらく様子を見ながら、LFPバッテリー側の状態やUPSとしての無停電動作に問題がないか、時間をかけて確認していこうと考えています。

今回使用したバッテリーは、15.1×6.5×9.4cm前後のサイズで、12V 7Ahクラスの鉛蓄電池として広く使われている定番サイズに近いものです。このサイズは小型UPSや非常用電源などで採用例が多く、鉛蓄電池の置き換え用途を想定したLFPバッテリーも複数販売されています。

LFPバッテリーそのものは、鉛蓄電池ほど一般的に普及しているわけではありませんが、Amazonなどの通販サイトでも検索ワードを少し工夫すれば、同等サイズのLFPバッテリーパックを見つけることができます。

ただし、筆者は今回のLFPバッテリーをUPSのメーカー想定外の用途で使用するため、バッテリーの仕様書も手配できるルートで製品を調達しており、満充電電圧、放電遮断電圧、BMSの保護条件などの仕様値を確認したうえで、UPS側の挙動と照らし合わせながら動作検証を行っています。

鉛蓄電池用UPSにLFPバッテリーを装着すると、電圧範囲が近いため、今回のように一見問題なく動作する場合があります。しかし、UPS側の充電回路や残量判定はあくまで鉛蓄電池を前提に設計されているため、LFPバッテリーのBMS遮断、充電電圧の不一致、過電流保護、低温時充電、端子部の発熱など、さまざまな問題が発生する可能性があります。

また、今回使用しているLFPバッテリーは、仕様書上バッテリーパックとしての最大出力がBY35Sの定格出力を大きく下回っています。そのため、高負荷の機器を接続すると、停電切替時や負荷変動時にBMSの過電流保護が作動し、UPSとして動作する前にバッテリー側が遮断される恐れがあります。

この点を考慮し、消費電力の大きい機器は接続しておらず、2ベイNAS程度の比較的軽い負荷に留めています。

このように、LFPバッテリーは鉛蓄電池に対して軽量・長寿命・自己放電が少ないといったメリットがある一方で、鉛蓄電池用UPSにそのまま装着できる完全な互換バッテリーとは言えるものではありません。安全に運用できるかどうかは未知数であり、充電制御、放電時の挙動、BMSの遮断条件、端子部の発熱、長期使用時の劣化、そして最終的な廃棄方法まで含めて確認する必要があります。

今回の検証は、あくまでメーカー想定外のバッテリーを接続した技術的な実験です。実際に使えるかどうかについては、短時間の動作確認だけで判断せず、時間をかけて慎重に評価していく必要があります。

今後は実際にNASを接続した状態での連続運用や停電時の挙動を確認し、LFPバッテリー化したUPSがどこまで実用に耐えられるのか、引き続き検証していきます。

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