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2024年7月7日

切断砥石とは【工具の特徴・選び方解説】

切断砥石とは【工具の特徴・選び方解説】

切断砥石とは切断作業に使う砥石

切断砥石とは金属材料の切断作業に使う砥石です。外径サイズによって使われる電動工具が異なり、Φ100~180mmはディスクグラインダーで使われ、Φ305~510mmは高速切断機で使われます。

鋼材、鋳鉄、ステンレス鋼など幅広い鉄材料の切断に対応しており、砥石の特徴である自生作用によって絶えず新しい刃が出てくるので切れ味が長く継続し、高い切断能力とコストに優れた金属切断作業を行うことが可能です。

自生作用とは?

加工が進むに従って、砥粒が磨耗するとともに劈開、脱落して、常に新しい砥粒、即ち切り刃を生じ、研削作業を同じ状態で続けることが出来る一連のサイクル
参考:研削砥石のメカニズム | 株式会社京浜工業所

コストの面でも優れており価格の安いディスクグラインダーで作業を行うことができるため、低い初期コストで金属切断作業を始めることが可能です。砥石は1枚150円前後と安くディスクの寿命も比較的長いため、ランニングコストの面でも優れています。

切断砥石は研削用の砥石よりも薄く作られているため、円周部分の使用面を当てて切断します。

切断砥石の側面側は労働安全衛生規則120条(研削といしの側面使用の禁止)で「使用してはならない」と定められています。

ディスクグラインダーには切断砥石用カバー装着が必要

日本国内でディスクグラインダーに切断砥石を使用して作業を行う場合には、切断砥石用の砥石カバーを装着しなくてはいけません。

安全衛生法20条第1号(労働安全衛生規則117条)事業者は、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆おおいを設けなければならない。」及び、安全衛生法20条(労働安全衛生規則27条)厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ、使用してはならない。」と定められています。

違反する事業者は、安全衛生法第119条の罰則規定によって「六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。

この規則は日本のみに適用されているため、日本で正規展開していない海外ブランドや一部の輸入品では切断砥石用カバーがない製品もあります。

社外品のカバーを装着できる場合もありますが、切断砥石を使用する予定があるなら国内ブランドのディスクグラインダーで純正品の切断砥石用カバーアクセサリが販売されているメーカーの製品を選ぶようにしましょう。

鉄以外の切断では材料に応じた切断砥石に付け替えよう

FRP・塩ビ・アルミなど鉄以外の柔らかい材料の切断を行う時には、専用の切断砥石に付け替えなければいけません。

これは材料自体が柔らかいと自生作用が上手く働かずに目詰まりを起こしやすく切断性能が大きく低下してしまうためです。

アルミ用・FRP用・塩ビ用など材料の種類に応じた切断砥石があるので、材料ごとに切断砥石を変更しましょう。

チップソーの金属切断との違いは?

切断砥石以外の金属切断刃で最も近い刃にはチップソーカッターがあります。

チップソーの場合、切断砥石ほど火花や熱が発生しないため周囲の配慮が少なく済み、のバリも少なく綺麗に切断できます。ただしディスク1枚当たりの切断コストは高くなります。

逆に切断砥石の場合は、ディスク一枚当たりのコストが安くランニングコストが安いのが特徴ですが、火花が大量に発生して材料の焼き付きも起きやすく、作業効率が低下しやすいため上手く使うには慣れが必要です。

 (左) 切断砥石で切断 (右)チップソーで切断
画像参考:高儀 EARTH MAN チップソー切断機 180mm CS-180TA|Amazon

切断砥石とチップソーは全体的に逆の特徴を持つため、後工程の必要性を考えて作業コストが低くなる方法を選ぶのがおすすめです。

例えば、ビニールハウスのような切断だけで十分な作業であれば切断砥石でも十分です。足場やコードレール・内装材のような人目に触れてバリの除去が必要な場所に使われ後工程の作業があるのであればバリ除去の工程が少ないチップソー切断が有利です。

切断砥石とチップソーを比較したのが下記の表になります。

  切断砥石 チップソー
外観
装着工具 ディスクグラインダー
高速切断機
チップソーカッター
切断面
作業性
焼け ×
火花 ×
切断径 高速切断機では〇
ランニングコスト
安全性

ちなみにディスクグラインダーにチップソーを装着するのは人体裂傷の危険性が高くなるため厳禁です。安全衛生法20条(労働安全衛生規則27条)では「使用してはならない」と記載されており、違反する事業者には安全衛生法第119条による罰則規定もあります。

切断砥石の選び方・カタログスペックの見方

材料と砥石の条件が悪いと効率的な切断ができなくなるだけではなく、切断負荷が高くなりすぎて電動工具が破損する原因にも繋がります。

砥材や粒度などから切断材に応じた適切な砥石を使うことを推奨しますが、明確な砥石の選定基準は無く切断作業そのものも作業者によっても大きく影響されるため、購入のしやすさと何種類か使いフィーリングで選ぶのがおすすめです。

  • 砥材
    鋼材等の鉄材料切断にはA,WA,AZ等のアルミナ系研削材が使われる。
  • 粒度
    砥石に配合される研削材の粒の大きさ。数字が小さいほど研削速度が速くなり消費も少なくなるがバリが大きくなる。
  • 対応材料
    鉄・アルミ・樹脂などの切断砥石ごとの対応材料。
  • 厚み
    切断砥石自体の厚み。薄くなるほど切断スピードに優れるが消耗が早くなる
  • 対応回転数
    砥石が対応できるグラインダーの回転数。rpm(1分あたりの回転数)とm/s(秒速当たりの周速)の2通りの表記方法があるため、表記が異なる場合には換算計算が必要。

画像引用:砥石の選び方|富士砥石株式会社

切断砥石まとめ

切断砥石

切断作業専用の砥石。ディスクグラインダーや高速切断機に装着して使用する。

良い点
  • 自生作用で高い切断能力を持つ
  • コストパフォーマンスに優れる
悪い点
  • 大量の火花が発生する
  • 作業時に特有の臭気が発生する
  • バリ・焼けが発生しやすい

アルミ用切断砥石

塩ビ・FPR用切断砥石

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