石膏ボードは断熱性や耐火性を備えた建築材で、現代の建築物には必ず使われている建材です。本記事では、石膏ボードを張り付ける工具を紹介します。
目次
石膏ボード張りには専用の工具を使う
石膏ボードはさまざまな建築物に広く使われており、現代の建築物には無くてはならない建材です。
石膏ボード張りは大量のねじと素早さが必要になるスピード勝負の作業です。ボード張り後にはパテ埋めの工程などもあるため、作業性が均一になり、素早く施工できるボード張りに適した専用の工具を使用するのが一般的です。
建築基準法やJISで下地の構造やネジの打ち込み本数などが定義されていて、作業はその手順に従って進めます。最近は不燃化推進地域に指定された地域での準耐火建築物の需要も増え、それらの新基準に対応する工具への置き換えも進んでいます。
ねじ打ち機
ロールビスを使ったボード張りに使われるのが空気工具のねじ打ち機です。各社によって呼び方が異なり、ターボドライバやビス打ち機とも呼ばれます。コンプレッサーの圧縮エアで動作する空気工具で、素早く張れて手軽に使えるので、作業性に優れているのが特徴です。
簡単に素早く張れるのは大きなメリットですが、工具本体が高く、コンプレッサーの追加コストや維持費、ロールビスが若干コスト高なこともあり、コストを気にする現場では使われない傾向があります。ねじ打ち機は主にコンプレッサーを所持している大工さんが中心に使用している工具です。
スクリュードライバ(ボード用ドライバ)
バラねじを使った石膏ボード張りに使われているのがスクリュードライバです。ボード用ドライバとも呼ばれています。国内ではHiKOKIとマキタの2社から販売されています。
クラッチ構造によって最適な位置でねじ止めがストップする構造になっていて、先端にネジを載せて押し付けるだけでボード張りができる専用工具です。
工具本体が安く、軽量で取り回しにも優れ、作業のランニングコストも安いため、ボード張り作業では広く使われている電動工具です。特に、軽天と呼ばれるLSGを使う内装仕切りのボード工事ではスクリュードライバを使って作業するのが一般的です。
連結ねじドライバ
ねじ打ち機の作業性とスクリュードライバの手軽さを兼ね備えたボード張り工具が欲しい、との要望で開発されたのが連結ねじドライバです。マキタはオートパックスクリュードライバと呼称しています。
押し付けるだけで締め込みと装填が出来る作業の手軽さがウリでしたが、実際の現場では「ビスが専用品で調達性が悪い」「マガジンが粉塵で動作不良」「慣れればスクリュードライバドライバでも早い」などの理由から市場需要が無くなり、2010年代前半に製品開発が止まってしまった製品です。
現在でも販売が続けられている製品ですが、「ネジは基本取り寄せ」「JIS B 1125(DTSN)ねじに非対応」など、運用的な面で使い勝手の悪さが目立つかもしれません。
GL工法:ボンドで張り付け
ボード張り作業は下地にねじ固定するのが一般的ですが、コンクリート壁にボンドで張り付ける工法もあります。吉野石膏が1970年に提案するボンド張り工法がGL工法です。
LGS材やUL工法1のようなコンクリート壁への下地調整や下地骨組みを必要とせず、作業も下地にプライマーを塗布した後ボンドを団子状に塗り付けて直接圧着するだけなので、作業性に優れているのが特徴です。