鋳鉄管や鋼管は水道やガス管などに作用される社会のインフラに使われる重要な資材です。鋳造によって作られる鋳鉄管には大口径・肉厚なものが多く、切断作業には高い切断性能を持つ工具が求められます。
本記事では、ガスやプラズマによる切断機・工場設備による切断機などには言及しておりません。
目次
鋳鉄管は難切断材料、切断環境も過酷
鋳鉄管は鋳造によって製造されるパイプで、ガスや水道のインフラ資材として採用されているため高い耐久性が求められます。パイプ自体のサイズが大きく厚みもあるため、切断には高出力で高い切断能力を持つ電動工具を使用しなければなりません。
鋳鉄管の切断は敷設管の撤去作業が多く、電源も満足に取れない環境で水浸し・火気厳禁などさまざまな制限を受ける状態で切断作業を進めなければなりません。
グラインダーやチップソーカッターなどでも切断は可能ですが、切断能力不足や環境の制限を受けるため、大口径の鋳造管切断には専用の切断工具を使用するのが一般的です。
エンジンカッター:鋳鉄管切断の定番工具
やまびこ産業機械 新ダイワ EC7414S-CD エンジンカッター(ブレード付きモデル)
鋳鉄管の切断で、最も一般的に用いられるのがエンジンカッターです。エンジンカッターは4000W級の非常に高い出力を持ち、切断工具としてはトップクラスの切断性能を誇ります。
エンジンカッターは、エンジンを動力にした高い切断能力と電源不要の可搬性を兼ね備えた切断工具です。電源が不要で高出力な切断工具で、主にアスファルト切断など屋外での幅広い切断作業に用いられる切断工具です。
切断スピードも速く持ち運びできるのは大きな利点ですが、エンジン工具特有のガソリン燃料取扱や騒音振動などもあり、取り回しも悪いため作業者や周囲への負担が大きく作業への周辺配慮も必要となります。
ダグタイル鋳鉄管用パイプカッター:電気を使わない切断工具
ヴィラックス(Virax) パイプカッター 210210
ダクタイル鋳鉄管用のパイプカッターを使用すれば鋳鉄管の切断も可能です。
動力源を必要とせず人力だけで切断できるので、作業時の音が無く、周囲環境への配慮が少なくて済むのが大きな利点となります。幅広いパイプ径に対応しますが、パイプ厚さ1cm以下が推奨されています。
レシプロソー:ダイヤモンドブレードで鋳鉄管切断に対応
ダイヤモンドブレードを装着すれば、レシプロソーでも鋳鉄管が切断できます。鋳鉄管切断には高い切断能力求められるため、モーター出力が高くストローク量の大きいレシプロソーが使用されます。
レシプロソーでの切断は省スペース、低い初期コスト、静穏性など他の切断工具にはない様々なメリットがありますが、他の切断工具と比較した場合の切断能力の低さやブレードのコストなどが問題となります。切断時間も長く、1回あたりの切断が30分以上になる場合もあるので、AC電源のレシプロソーを使用します。
鋳鉄管切断に対応するブレードはHiKOKIからダイヤモンド湾曲セーバソーブレード・LENOXからダイヤモンドブレードが販売されています。ダイヤモンドブレード以外では超硬チップ装着ブレードが鋳鉄管切断対応のブレードとして各社から販売されています。
きったくん:砕いて割り切る鋳鉄管切断の新スタンダード
近年ダグタイル鋳鉄管の切断作業で注目を集めているのが、株式会社オザキが販売する鋳鉄管破断工具「きったくん」です。
きったくんは油圧による挟み込み破断方式を採用しており、研削切断と比べ素早いスピードでの切断が可能になっています。割って切断する方式上、破断面は粗くなりますが管の撤去作業では画期的な工具として注目を集めています。