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日本は国内発のプロ向けメーカー5社が鎬を削る
日本の電動工具業界はマキタ・HiKOKI・京セラ・マックス・パナソニックの国内発の電動工具メーカーが多くのシェアを獲得しており、世界的に見ても海外メーカーの参入をほとんど許していない特異的な市場を形成しています。
日本の電動工具市場はマキタとHiKOKIが電動工具専業メーカーとして高いシェアを持ち、その下に京セラ・MAX・Panasonicなどの複数事業を持つ電動工具メーカーが続きます。海外の電動工具メーカーも日本市場に展開していますが、実際に製品を見る機会はあまり多くありません。
日本市場では、全国展開型の大型ホームセンターが無く工具に対する影響力も少ないため、工具業界の売り上げを左右するほどの独占的な大手販売事業者が存在しないのが特徴です。小規模な店舗が多い金物屋への個別対応を必要とする地方営業所の依存度が高いため、日本市場は海外メーカーの新規参入が難しい工具市場を形成しています。
当記事では、国内電動工具企業・事業各社の経営的な指向性の違いや現状の立ち位置、今後の事業成長性などを踏まえた企業経営的な面を踏まえて解説します。海外メーカーについては別記事で解説します。
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電動工具ブランドごとのユーザーシェアの実態は不明
最近は電動工具業界の再編も進み、工機ホールディングス(旧日立工機)の非上場化やリョービ株式会社の電動工具事業売却などの要因によって、電動工具市場の全貌は不明確な状態になっています。
各メーカーが公表する株主向けの資料やアナリストによる予想は公表されていますが、複数社に渡る電動工具子会社の情報や地区セグメント毎の細かい売上、生産台数などは公表されていないことも多く、電動工具市場の明確なシェアは誰も知ることができません。
今後も電動工具を販売するプライベートブランドや海外企業の参入・中国企業や投資ファンド買収による非上場化も予想されることから、今後の電動工具市場予測はより一層不可視なものになるものと推測されます。
日本市場のキープレイヤーはマキタとHiKOKI だが
プロ向け電動工具メーカーの日本メーカー代表はマキタとHiKOKI(旧日立工機)です。
どちらのメーカーもユーザーから多くの支持を受けており、マキタ派かHiKOKI派かでユーザーの意見が割れるほどの有力メーカーです。しかし、それはプロ向け電動工具の国内ユーザーシェアに限った話であり、この2社を世界的なシェアや売上額や企業規模など多角的な視点で比較すると両社には大きな差があります。
リチウムイオンバッテリーを搭載の充電式電動工具発売以降、売上高の差は広がり続け、2021年時点では概ね2~3倍の企業規模の差がついています。
HiKOKIは30年近く売上高横ばいの状態が続き、成長停滞の状態が続いていますが、マキタは2020年から始まった世界的な新型コロナの影響下においても驚異的な成長状態にあり順調に売上高を伸ばしています。企業動向の観点からも2020年以降のうちに2社の業績差が縮まることは無く、両社の差は今後も広がっていくものと予想されます。