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なぜマキタは18Vと並行して40Vmaxを展開するのか、マキタ18Vバッテリの技術的な限界

現在のマキタ18Vバッテリは、バッテリ単体で保護停止できる

ここからが本題です。先ほど、電動工具用バッテリーは異常を検知すると製品側が遮断を行う、と説明しました。しかし、現在のマキタ18Vバッテリは、パック単体で出力を遮断する機能を搭載しており、電動工具用バッテリとしては少し特異なバッテリーです。

例えば、当サイトが2020年に行った互換バッテリーの分解検証では、互換品の容量確認と併せて、マキタ純正BL1850バッテリの容量測定も行っています。その際、バッテリの総電圧が約6Vになった時点で、出力が遮断される挙動を確認しています。

この遮断挙動については、海外の有識者であるTool Scientist氏も検証を行っており、2020年モデルのバッテリでは12.5Vで遮断されると報告しています。

筆者は、このバッテリー単体での遮断機能が、マキタ18Vバッテリの性能的な限界につながっているのではないかと推測しています。

一見すると、バッテリー単体で遮断できることは安全面で有利になり、製品側の保護設計も容易になるなど、利点は多くあります。その一方で、遮断機能を持つことによって「コスト」と「発熱」の問題が生じます。

赤矢印で示しているのが、マキタ18Vバッテリが異常時に自ら出力を遮断するためのFETスイッチ

例えば、マキタBL1860Bバッテリには、遮断用と考えられる電子部品として、InfineonのFETスイッチ IRL7472L1が搭載されています。これは高性能で高価な部品であり、リール単位で購入しても1個350円。2個搭載すれば、700円近い原価が上乗せされることになります。

競争の激しい充電式電動工具の市場では、コスト設計が利益を大きく左右します。とりわけバッテリーは、電動工具本体以上に販売数量が多く売上の中心となる商材です。他社と比べて700円分も余計に部品を使っていると考えれば、大きな懸念となります。

そして、もう一つの問題が「発熱」です。

遮断用のFETスイッチは、通電と遮断を切り替える電子部品ですが、実は通電している間も損失によって発熱します。

仮に、2kW出力の充電式電動工具を18Vバッテリで稼働させる場合、電流はおおよそ120Aになります。この条件で損失を計算すると、保護基板上に3~4W程度の熱が発生することになります。

「3~4Wなら大したことはない」と思う方も多いかもしれません。しかし、電子回路では3W程度であっても、熱密度や放熱の状況によっては、電子部品を破壊したりはんだを溶かしたりするほどの温度に達する可能性があります。そもそも熱に弱いリチウムイオンバッテリーの近くに3~4Wの熱源を置くこと自体、設計上は避けなければなりません。

こうした理由から、マキタ18Vバッテリは保護回路の仕様上、もともとコストが高く、さらに遮断機能があるために現状以上の高出力性能を持たせられないのではないか。マキタが次の主力市場として位置づける高出力製品への対応が難しいのではないか、と筆者は考えています。

昔のマキタバッテリは遮断機能が無かった

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