異形鉄筋は鉄筋コンクリートの材料となる構造材で、住宅基礎からRC造の建築物まで幅広く使用されています。長物金属に近い金属材料ですが、金属切断面が広い材料なのでグラインダーなどの汎用的な金属切断工具での切断が若干難しい材料となります。異形鉄筋の切断には専用工具や熱の発生が少ない工具を使用します。
目次
異形鉄筋の切断は専用工具を使う
異形鉄筋は金属が切断できる工具全般で切断できますが、鉄筋コンクリートの施工では大量に鉄筋を使用するため、短時間で大量に切断できる鉄筋専用の切断工具を使用します。
研削工具や金属のこぎり等でも切断はできますが、切断時間が長くなってしまうため効率的に作業をすすめることはできません。また、切断時の熱や砥石の摩耗などにより鉄筋に焼きが入って、切断が進まなくなる場合もあるため切断砥石による切断は作業効率が良くありません。
鉄筋コンクリート施工に使う鉄筋切断では切断面を整える必要ないため、せん断の作用で切断する鉄筋カッターを使うのが一般的です。
鉄筋カッターは切断径(D)や材質の硬さ(SD)などを確認して、必要なスペックのカッターを選定します。鉄筋カッターには、鉄筋の曲げも可能な「ベンダー」に対応する製品もありカットベンダーとして販売されています。
現場で異形鉄筋を切断する機会は減少傾向に
鉄筋コンクリートの施工に鉄筋の切断・曲げ加工は欠かせない存在ですが、実際に現場で鉄筋の加工を行うことはほとんどありません。
最近の鉄筋コンクリート施工は、鉄筋加工工場で鉄筋のプレ加工の自動化・大量加工が一般的になっています。現場で鉄筋を切ったり曲げたりする機会は減っていて、鉄筋切断工具は現場合わせの調整作業や小規模な現場に使われるのが一般的です。
鉄筋カッター:体重で鉄筋を切断する電源不要の切断工具
鉄筋を手工具で切断できる工具が鉄筋カッターです。柄の片方を足で踏みつけて固定し、もう片方の柄に力を加えて鉄筋を切断します。
電源が不要で価格も安く、現場合わせの切断作業なども手軽に行うことができます。ただし、鉄筋を切断するために全長が長くて取り回しが悪く、施工済みの鉄筋に対して切断できないのが欠点です。海外製の鉄筋カッターでは油圧の作用で切断するコンパクトな油圧鉄筋カッターも販売されています。
ボルトクリッパー:腕力で鉄筋を切断する電源不要の切断工具
体重を使わず腕の力で切断するのがボルトクリッパーです。
ボルトクリッパーはハサミのような切断工具で、施工済みの鉄筋の切断や解体に使います。鉄筋を切断できるボルトクリッパーは全長600mm以上の長さが必要で、腕力もそれなりに必要なので、細い径への鉄筋切断が最適です。
電動鉄筋カッター:数秒で切断できる鉄筋切断の定番工具
鉄筋を切断する工具で広く一般的に使われるのが、油圧機構とブロック刃を使用する電動式の鉄筋カッターです。
電動鉄筋カッターは切断時間が短く作業性にも優れているので、現場で使う鉄筋切断工具で最も多用されています。油圧を使用する工具なので連続作業による加熱には注意が必要で、長時間の連続作業時には対応できない欠点もあります。
重量は見かけ以上に重く、重量バランスも悪いので取扱には注意が必要です。株式会社オグラからはマキタ、株式会社IKKからはHiKOKIのバッテリーに対応した鉄筋カッターがそれぞれ販売されています。
ツライチカッター:際切りや現場合わせに活躍する鉄筋切断工具
際切りや開口部の切断のような特殊な場所での切断には、チップソーで切断するツライチカッターを使用します。
ツライチカッターはグラインダーに近い構造の電動工具で、鉄筋切断に特化したカバーやガイドが特徴です。ツライチカッターは全ネジの切断にも対応し、バリ取りも不要でナットをそのまま取り付ける事ができます。チップソーは消耗品でブロック刃より耐久性も劣るため、ランニングコストは高めになります。
電動鉄筋カッターと同じく、株式会社オグラからはマキタ対応、株式会社IKKからはHiKOKIに対応したツライチカッターが販売されています。
グラインダー・高速切断機:手軽な金属切断工具
グラインダーや高速切断機でも鉄筋は切断できます。DIYや小さな現場で鉄筋コンクリートを施工する時には手軽な切断工具になります。
鉄筋が細ければ比較的快適に切断できますが、D16以上のような径の太い鉄筋だと切断面が大きくなり、作業性が極端に悪くなります。
太くなるほど鉄筋に熱が貯まりやすくなり、焼きが入って砥石の摩耗も速くなります。充電式グラインダーの場合1充電当たりの作業量も多くは取れないため、大量の鉄筋を切断する作業には向いていません。