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2023年7月24日

マキタ 今後の新製品・販売候補製品をチェック【2021年秋編】

マキタ 今後の新製品・販売候補製品をチェック【2021年秋編】

本記事は、株式会社マキタ及び関連会社が保有する産業財産権の情報を解説・紹介するものであり、新製品発売や企業動向を保証するものではありません。株式会社マキタ及びマキタ取扱店へのお問い合わせはお控えください。

40Vmax充電式電子レンジ

充電式ケトルを販売で話題のマキタですが、その裏ではバッテリー動作の充電式電子レンジの意匠も出願しています。

これは40Vmaxバッテリーを2本装着して使用する電子レンジです。40Vmaxか80Vmaxかは外観では判断できませんが、バッテリーを2本装着であれば後述のBL4080Fの2本装着によって最大576Whの電力量を確保でき、500~600W級の出力で概ね30分程度は使用できる計算になります。

マキタは2019年にも充電式電子レンジの特許を出願して製品開発に挑戦していたようで、今回の意匠出願でいよいよマキタレンジの登場も現実味を帯びてきました。

一般家庭向けの低価格レンジが5,000円程度で販売されていることを考えると、本体価格は2~4万円程になってしまいそうな製品ですが、電源の乏しい環境で手軽にレンジを使用できる利点を考えれば、欲しい人にとって喉から手が出るほどの製品になるかもしれません。

初期案(JP2018/021065)の18V電子レンジではマックパック連結対応だったのだが、40Vmaxの意匠では非対応になってしまった様子。

※2023年3月に充電式電子レンジMW001Gが発売しました。

バッテリーで動作するエアスプリング式の電動釘打ち機

マキタはバッテリーで動作する充電式の電動釘打ち機の特許を4件出願しています。本特許はエアスプリング方式の釘打ち機の耐久性向上や制御に関する特許です。

2019年時点のマキタは、フライホイール方式で電動釘打ち機の出願を行っており、日本国内の銃刀法の回避からもマキタはフライホイール方式で進めるものと予想していましたが、エアスプリング方式の国内出願によって日本の釘打ち機の情勢は一変するかもしれません。

エアスプリング方式の電動釘打ち機は銃刀法に抵触する可能性の高い製品ですが、ガス釘打ち機では銃刀法の対象外商品も存在するため、エアスプリング方式の電動釘打ち機に関しても銃刀法に抵触しない解釈や警察組織との調整に目途がついたのかもしれません。

日本国内で電動釘打ち機を普及させるためにはロール釘対応が必須であり、今のところマキタは電動釘打ち機のロール釘巻き上げの技術を持っていません。国内で使えるようなJIS釘対応の電動釘打ち機の登場には更なる時間が必要と予想しています。

米DeWALTのロール釘対応充電式ルーフィングネイラ DCN45RN
45mm小型釘しか使えない小型モデルだが、米国市場では電動釘打ち機の研究開発が日本よりも進んでいる。

40Vmax 8.0Ahバッテリー BL4080F

これは特許ではなく米国フロリダ州のイベントSTAFDA’s Orlando Convention & Trade Showで展示された40Vmaxバッテリーの8.0Ah品です。同時展示品として355mm充電式コンクリートカッタ GEC01も発表しています。

「もうここまでやってしまったなら、STHILやHusqvarnaの大型バッテリーみたいに行けるところまで突っ走ってしまえ」と諸手を上げて応援したくなってしまう冗談みたいな大型バッテリーです。

セル20本で構成するバッテリーパックは初期の36Vバッテリーの構成と同じなので、技術的に目新しいものではありませんが、次世代36Vバッテリーの基本概念である「36Vで18Vバッテリーと同じサイズ」を根本的な部分から逸脱する21700セルの20本構成バッテリーまで出してしまう気概を見せつけられてしまっては、もうマキタの無茶振りについていくしかありません。

米国地域の発売は2022年を予定しており、日本市場での発売も期待されます。

※2022年7月に国内市場でもBL4080Fが発売されました。

サイクロンタンクのみのクリーナー

サイクロンユニットを搭載するマキタクリーナーの小型化に関する特許です。

フィルタ部分を大幅に省き、タンクと直結サイクロンの1ユニット構成によって小型化しているのが特徴です。

類似製品としてはHiKOKI R18DBやパナソニックの1段サイクロンが存在する上に、マキタ(初出はRYOBIクリーナー)の後付けサイクロンアタッチメントの魅力はサイクロン機構そのものではなく、タンク容量増加と手軽なゴミ捨ての2つの利点が揃ってこそなので、このアクセサリは少し微妙ではないかと思っています。

※2022年3月に充電式クリーナー CL003Gが発売されました。

18V充電式湿式カッタ

水タンクを備える湿式充電式カッタの特許では、18V充電式シリーズのカッタの図が確認できました。本特許は水タンク・水供給ホースの連結部の構造に関する特許です。

水タンクを搭載する湿式切断対応の充電式カッタは、10.8VシリーズでCC301Dが展開されていたものの、これまで18Vシリーズでは販売されていませんでした。125mmダイヤモンドカッターを装着する充電式湿式カッタによって、より効率的な石材切断が行えるようになります。

無線連動集じん回収対応リベッタ

電動リベッタと集じん機を組み合わせて、マンドレル(心棒)を自動回収する特許です。

集じん機連動AWSと組み合わせてマンドレル回収を行う構造と考えられ、充電式リベッタのAWS対応品やマンドレル回収用の集じんアクセサリの販売などが予想されます。

新型の充電式鉄筋結束機

結束ワイヤを本体下部に装着する鉄筋結束機の意匠図です。特許そのものの内容は、単一のモータ制御MCUにデマルチプレクサを組み合わせて複数のモーター制御を行うものです。

従来の鉄筋結束機は、本体後部に結束ワイヤを装填する構造ですが、本特許の意匠図ではロール釘打ち機と同じくトリガー前方にワイヤを装填する構造を特徴としています。

重心の位置としては従来構造の方が良さそうですが、全長の短さやワイヤの補充の容易性では前方にあった方が使い勝手に優れていそうなので、この辺りは製品実用化後のフィーリング比較待ちになりそうです。

鉄筋結束ロボット

鉄筋結束機TR180Dに装着するオプション(?)の鉄筋結束ロボットです。土間・スラブの鉄筋結束作業を自動化します。

この分野では、建ロボテック株式会社 トモロボ大成建設・千葉工業大学共同開発 T-iROBO Rebarなどが先行しており、マックス製の充電式鉄筋結束機をベースに開発していますが、マキタの単独開発によって鉄筋結束ロボットの流れは大きく変わるかもしれません。

実際に製品化するかは難しい所ですが、工具メーカー単体開発による開発速度の速さやマキタ販売網の強みを生かした採算ベースの乗せやすさを考慮すれば、既存の鉄筋結束ロボットメーカーよりも優位に立ち回れると予想され、仮に製品化が無くとも存在するだけでマックスの事業戦略の将来性を防ぐ防衛出願として立ち回れます。

先の曲がったレシプロソーブレード

オフセット型に曲がったレシプロソーのブレードです。壁面の近傍でもキワを攻めた平行な切断ができます。

「今までこういうレシプロソーブレードってなかったんだっけ?」とも思いましたが、少し探してみても見つからなかったので、この特許出願が初出なのかもしれません。

用途としては主に吹付発砲断熱材の切り出しに使用するブレードと予想されます。昨今は脱炭素社会の実現に向けた義務化や補助金などの法改正も進んでいるので、法令による市場動向を抑えた良いアクセサリではないかなと考えています。

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