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2023年10月6日

マキタ 今後の新製品・販売候補製品をチェック【2023年春編】

マキタ 今後の新製品・販売候補製品をチェック【2023年春編】

本記事は、株式会社マキタ及び関連会社が保有する産業財産権の情報を解説・紹介するものであり、新製品発売や企業動向を保証するものではありません。株式会社マキタ及びマキタ取扱店へのお問い合わせはお控えください。

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コネクタ接続方式の充電式ヘッジトリマー

マキタは2021年8月にコネクタ接続方式の充電式ヘッジトリマー意匠図の特許を出願しています。

個人的な印象としては、ヘッジトリマーは現在の脱エンジン工具の中で唯一充電式に無理なく対応できる製品であり、コネクタ接続方式を採用する利点はほとんど無いものと考えています。ヘッジトリマーはもともと稼働時間が長い製品であり、稼働時間がどうしても必要であれば複数個のバッテリーを用意することは比較的容易であるため、コネクタ接続方式とする必要はほとんどありません。

特許の内容そのものはハンドルとハウジングのガタツキを減らすものであり、コネクタ接続に直接関係する内容ではないため、特許そのものは別製品で適用され、特許中の意匠図の製品化は見送られているものと予想しています。

64Vmax用バッテリーチェッカー用アダプタ

マキタ ポータブルバッテリーチェッカ BTC04の64Vmaxバッテリー用アダプタに関する特許です

既存の18Vバッテリー用チェッカーを変換アダプタを介することで大型バッテリーの64Vmaxバッテリーも診断できるようにしています。

このクラスのサイズの大型バッテリーでは重いバッテリーの持ち運びやターミナルの挿入の2度手間など使い勝手の面で若干劣ってしまうため、BluetoothやRFID等の無線通信でチェッカーアプリによる運用の方が取り回しの面で優れるのでは?とも思ってしまうところです。

実際、一部の大型LFPバッテリーにはBluetooth通信やSAN通信機能を搭載するものもあり、技術的には遅れ気味にある特許だと考えています。

充電式電動パワーリフター

高い位置への出し入れに使用するパワーリフターの充電式電動モデルです。

一見すると産業向けのパワーリフターにも見えますが、フォーク仕様ではなく、台仕様であることや耐荷重がそこまで大きくなさそうな構造、さらにタイヤ径が大きくコンクリート床のみを想定した車輪には見えないことから、農作業補助や軽作業などをコンセプトにした製品のようです。

特許内においても「トラックの荷台に乗せて現場作業まで輸送する」「折り畳むことができる」のような記載があり、輸送業や工場用途における一般的なパワーリフターとは別の農業作業向けの新市場創生を狙っているのかもしれません。

18Vと40Vmax両方に対応している。

落下防止用バッテリーホルダーストラップ

40Vmaxバッテリーに装着する落下防止用の外付けホルダーストラップに関する特許を出願しています。

BL4050F以降の40Vmaxバッテリーはセル数が10S2Pで構成されているため大型化・重量化しています。そのために取り回しが悪化してバッテリー着脱の際に落下しやすくなることが懸念されるため、そのような事故を防ぐためのアクセサリと予想されます。

この特許ではバッテリーをベルト素材で包み込むことで固定し、ベルトに余剰部分を設けることでストラップやカラビナなどの脱落防止アクセサリを装着できるようにしています。高所作業が多いユーザーの方には必見のアクセサリになるかもしれません。

ちなみに、特許内には「ストラップ連結用の特別な部位を有しないバッテリパックにも」と記載されていますが、落下防止アクセサリの要望は少ないながらも昔から存在しているものであり、それが分かっているのであれば、新しく設計した大型バッテリーのBL4050FやBL4080Fに対しては製品レベルで落下防止構造を組み込む方式の方がスマートだったのでは?と思ってしまいます。

本特許の想定図。バッテリーを工具本体やパイプ・作業者などに結ぶことで落下を防止できる。工具だけに結ぶとバッテリー落下時に工具を巻き込んで落下してしまうため、工具本体の固定も忘れないようにしたい。
今回の特許と同コンセプトのmetabo社 落下防止構造「Drop Secure」
メタボのバッテリーはバッテリー下部にネジ穴があり、その部分にアクセサリを取り付けることで落下防止用のストラップやカラビナを装着することができる。

40Vmax充電式大型インパクトレンチ

40Vmaxバッテリー対応の大型インパクトレンチに関する特許です。

この形状のインパクトレンチは、ストレートタイプやメガインパクトレンチとも呼ばれており、最大締付トルク2,000N・mを超える高トルク仕様を備えているのが特徴です。この特許意匠図で書かれている40Vmaxインパクトレンチに関してもTW001Gを超える大型モデル製品になるものと予想されます。

主な用途は大型トラックやダンプなどの自動車整備用途の製品ですが、この分野はマキタ販路が得意とする分野ではなく、市場に先行する競合他社も多い分野であるため、製品そのものよりも販売ルート確保の方が重要な製品になると予想しています。

マキタ 新型マックパック(?)シリーズ

国内外の電動工具情報発信を行っているP.T.G(@HPT39447734)様の情報です。これはMakitaUSAが出願している米国特許の新型ストレージボックスです。

特許のページ数は198と膨大であり、防衛出願を含めてさまざまな構造が提案されていることから、かなりの本気を感じる特許になっています。特許出願日は2022年10月と比較的最近ではありますが、具体的な製品モデル図も完成していることから、早ければ来年初頭、遅くとも数年以内にはシリーズ展開が始まるものと予想しています。

特許内では10種類近いボックス間連結構造の出願が行われていた。これらの特許は他社追随を防止するための防衛出願と予想される。

個人的な意見として、昨年発売したHiKOKI マルチクルーザーはある程度期待していたものの、価格の高さと今後の展開の失速感を察して購入を見送った製品にしてしまったので、こちらのマキタ新型ケースシリーズには期待したいところです。

ちなみにマキタは2020年12月にも従来マックパックシリーズとは別のケースシリーズを展開していますが、その時よりも完成度が上がっており、実際に製品化したならば今後の展開にも期待もできる製品になると予想しています。とは言え、ミルウォーキーのPACKOUTに追いつくにはあまりにも登場が遅すぎるため、先行他社に対してどのように優位点を確保していくのかマキタ企画層の手腕が問われる製品になるでしょう。

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