VOLTECHNO

ガジェットとモノづくりのニッチな部分を伝えるメディアサイト

マキタ、『40V MAX』電動工具の新シリーズを発表

マキタ、『40V MAX』電動工具の新シリーズを発表

2019年10月6日にマキタは、Youtube上に新しい電動工具シリーズとして『40V MAX』シリーズのPVを公表しました。

『40V MAX』シリーズはマキタが展開する新しい電動工具シリーズで、専用設計による新36Vバッテリーで電動工具の高性能化を実現しています。

現時点では情報も少なく、製品毎の詳細なスペック等は不明ですが、開示された情報と入手したカタログから『40V MAX』シリーズの詳細について解説します。

2019年10月にマキタが投入する新シリーズ『40V MAX』

マキタは2019年10月6日にYoutube上で新しい電動工具シリーズの『40V MAX』シリーズを公表しました。現時点でも正式なニュースリリースや公式HPによる公知がなく、販売店によるカタログ公開も少ないため、これまでのマキタの新製品公表としては異例の展開です。

40V MAXは、18Vバッテリーのサイズのまま36V化した新しい電動工具シリーズで、18V電動工具よりも高性能であることをアピールしています。40V MAXのバッテリーはマキタがこれまで展開していた18V電動工具との互換性を排しています

40V MAXは日本国内で展開されるシリーズ名で、海外においては2019年6月時点でXGTの商標が登録されており、海外市場では『XGT』が使われると考えられます。

  • 2019年10月にマキタが展開する新しい電動工具シリーズ『40V MAX』
  • バッテリーが防水防じん構造のIP56に対応
  • 専用設計のバッテリーにより衝撃への耐久性が向上
  • 計8機種の製品がラインナップ
  • 18Vシリーズとの互換性なし

バッテリーは2.5Ahと4.0Ahの2種類、IP56の防水防じん構造を搭載

『40V MAX』最大の特徴は「専用設計」による18Vとの互換性を排した事で、電動工具としての信頼性を大きく向上させた点です。

電動工具メーカーが販売するバッテリーとして初となる防水防じん規格IP56の対応が実現し、振動や衝撃への耐久性も約40%向上しています。

他社の36V以上のバッテリーは互換性の電圧切替構造を搭載しているために端子接点が不安定になりやすい点がありますが、40V MAXでは互換性を排した事で接点の面積が広くなり、電気的な信頼性も非常に高くなっていると考えられます。

バッテリー容量展開に関しても、既存の18Vシリーズの制限から解放された事で、一回り大きいサイズのリチウムイオンセル(21700セル)が採用できるようになり、バッテリーの高出力化と大容量化を実現しています。

40V MAXシリーズは計8機種がラインナップ

40V MAXシリーズでは計8機種の製品ラインナップが予告されています。現時点では発売日等が不明で、この先のラインナップ追加等も不明ですが、現時点で判明している製品は下記の通りです。

  • 充電式インパクトドライバ TD001G
  • 充電式165mmマルノコ HS001G, HS002G
  • 充電式ドライバドリル DF001G
  • 充電式震動ドライバドリル HP001G
  • 充電式165mmスライドマルノコ LS001G
  • 充電式28mmハンマドリル HR001G
  • 充電式グラインダ GA001G(100mm), GA002G(125mm)
  • 充電式レシプロソー JR001G

一部製品のカタログを見る限りでは、これまでの18V電動工具に対し大幅なスペック向上や独特な機能の搭載を実現した製品もあるようです。

これらの製品の詳細については、カタログや現品を確認し次第情報を追加します。

『40V MAX』の名称も、中身は36Vバッテリーである点に注意

40V MAXで使用されるバッテリーは36Vバッテリーとなっています。バッテリー自体の性能も他社との大きな差はないと考えられます。

こような名前にした裏には営業的な理由が絡んでいると考えられます。リチウムイオンバッテリーの公証電圧は3.6V~3.7Vですが、充電完了直後の満充電電圧は4.2V前後になります。マキタはこの点を利用し、製品を少しでも良く見せるために営業戦略から『40V MAX』と命名したと予想されます。

満充電電圧でバッテリー電圧を表すのは海外電動工具メーカーによく見られる表現で、DeWALTや各社10.8Vバッテリーシリーズなどが単セル4.0Vで表現しています。

日本市場においては、慣例上全ての電動工具メーカーが単セル3.6Vで計算しているため36Vと表記していますが、マキタは「40V “MAX”は満充電電圧を表しているため間違いではない」と考えたのかもしれません。

動画からバッテリーのスペックを確認できる。非常に見難いが「DC36V 2.5Ah (90Wh)」と記載されているのが確認できる。40V(MAX)と隣に書かれているのは景表法対応のためと考えられる。

マキタ大きな決断か、40V MAXシリーズに対する所感

マキタには従来の36VシリーズとしてLXTx2が展開されていますが、それらの互換性を排してまで新構造のバッテリーを展開するのはマキタにとっては大きな決断になると予想されます。

既存の18V電動工具であるLXTシリーズは、LXTx2による36V化など様々な展開が行われていましたが、電動工具メーカー各社が採用を始めた大型の21700セルを採用できなかったのが同シリーズの最大の課題だったと考えられます。

今回、18Vとの互換性を排してまで新シリーズを立ち上げたのは、今後の製品展開に対して信頼性と発展性に確実な一手を打つための戦略と考えられ、互換性を排したことで今後思い切った製品展開も可能となり、製品展開の動向によってはマキタ主力のシリーズとなる可能性も考えられます。

製品戦略として考えると、18Vシリーズと36Vシリーズのユーザー層は同一であり、18Vと36Vでクラス分けやユーザー層の切り分けを行うのは電動工具メーカー各社が避けてきた難しい戦略と言えます。今後マキタが40V MAXで「18Vと36Vでクラス分け」か「36Vに移行」のどちらの路線に進むのかはマキタユーザーにとって非常に興味深いポイントとなるでしょう。

一方、対抗となるHiKOKIのマルチボルトシリーズは、先行する36V電動工具として「製品ラインナップ数」「AC電源でも動作可能」「18Vシリーズとの互換性」など既に大きな優位点を確保しており、「同じ36Vの電動工具を新しく揃えるなら、HiKOKIのマルチボルトの方が得」と考えるユーザーに対して、マキタが今後どのようにカバーしていくのかが重要になると考えられます。

また、40V MAXは18Vとの互換性を望むユーザーの声が多く上がる事も考えられます。18Vバッテリーのベルトアダプタや、PDC01の40V MAX対応コネクタの展開なども可能性としてはありそうですが、既に18V電動工具に対してネイティブな互換性を実現しているHiKOKIのマルチボルトが存在する以上、ユーザーが互換アダプターをどこまで受け入れられるかは未知数です。

40V MAXについて確信的な事は言えませんが、現時点では「互換性を排する程の性能向上」や「その他メリットが存在するのか」などの観点から情報収集を行う必要があるでしょう。

電動工具メーカーが展開するバッテリーとして初めて防水防じん構造IP56を採用するなど、目新しい点もある40V MAXシリーズですが、18Vシリーズとの互換性を排した点と現行36VシリーズであるLXTx2との競合に関して、マキタが今後どのような展開を行うのか注目されます。

Return Top